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プリローダ⑤

10通もの挨拶状に目を通し、返事を書いていくマォ。

勿論ルークにアドバイスをもらいながらである。

元の世界では手紙や書類などを描いた事はある。

だがこの世界、しかも王族相手に書くとなれば要領がわからないからだ。

ルークが代筆を申し出たのだが、マォは自分で書くのが筋だからと断ったのだ。


(やっぱ代筆してもらやあよかった・・・

 言い回しとかぶち面倒臭せぇ・・・)


四苦八苦して書き上げたものの、次回からはルークに任せようと思うのだった。


「マォの言葉で描いて貰えば私が良い様に清書をするから」

「うん、次回から頼むわ・・・

 人の厚意は素直に受け取るもんじゃね・・・」


初回だけでも自分で書けば誠意は伝わるだろうとマォは思ったのだが、まさかそれが各国王の政務室に飾られるだなんて誰が想像できるだろうか・・・


各国からの挨拶状と一緒にそれぞれの特産品が届けられていたので、こちらも何か返礼品が必要である。

なにがいいだろうかと考えているとルークが提案をしてきた。


「どうやら祭りの際に使者殿が紛れていたようでな。

 メドベージェの人形が売り切れで買えなかったそうだ。

 マォのタンフルと絵も買えなかったらしくてな。

 タンフルは諦めるから絵だけでもなんとかならないかと・・・」

「木彫り人形はええとして、なんで儂の絵・・・」


立派な油絵とかではない、パステルで描いたデフォルメイラストなのだ。

そんなもの王族が欲しがってどうすると不思議に思うマォ。


「なんでもご利益があるとかで噂になっているらしいのだ」

「ぶっ、ご利益ってなんのだよ?!」

「腰痛が治ったとか、なかなか子供が出来ずにいた夫婦が懐妊したとか。

 学院の入学試験に受かったとかというのもあったな・・・」

「いやそれ儂の絵関係なくね?・・・」


そう思うマォであったが、まぁ皆が喜ぶならいいかと自分を納得させた。

2日かけてイラストを完成させ、メドベージェの木彫り人形と共に返事の手紙を添えて送ってもらう。


その後はオルガやジャックと共に畑仕事に勤しむ日々を送る。

オルガは小さな畑と言っていたのだが実際はそれなりに広さがあった。


(儂の畑の5倍はあるんじゃなかろうか)


畝造りからかと取り掛かろうとしたのだが、モコモコとあっという間に出来上がってしまった。


「これでよいかの?」

「玄武さんか。ありがとう」

「ほっほっほっ。山間にあるだけあってよい土壌じゃぞ。

 ちなみに我は南瓜が好物じゃ。ではの」


ひょっこりと顔を覗かせ好物を告げて地中へと戻るおちゃめな玄武であった。


(南瓜が好きなんだ・・・まぁ植えるつもりだったからいいけども・・・)


ガイアも小さな手に小さなスコップを持って手伝う。

とはいっても手伝っているつもりなだけで、単に土遊びなのだが。

不思議と野菜や果物などは元の世界と同じものが多い。

野菜の種はダンジョン産で色々とある。

これだけの広さがあるので何を作ろうかと迷う。


(大根は必須なんだよなぁ。人参とキュウリと茄子とトマトもいいな。

 芋とキャベツは面倒だからパスとして・・・

 ズッキーニは気を付けないと豊作過ぎて余ら・・・ないなここのメンバーじゃ)


以前ズッキーニの苗を2株植えたら豊作過ぎて食べきれずに困った経験を思い出す。

南瓜も同じ事が起きた事があるので、それ以来南瓜もズッキーニも1株しか植えなくなったのだ。


(まぁここなら2株植えても大丈夫じゃろ・・・)


大豆は2畝植えようかと考える。

早めに収穫すれば枝豆として食べれるし、熟せば大豆として収穫出来る。


(大豆があれば豆乳にも出来るし豆腐も作れるし。

 枝豆として塩ゆでしても旨いし・・・2畝で足りるか?)


結局大豆は3畝にする事となった。


『マォ、これも植えていいか?』

「なにそれ?」

『アスパーラゴ』

「なんじゃろ、アスパラの親戚みたいなもんじゃろか。

 ちょっと興味あるから植えてみて」

『これ栄養沢山、オルガ達よく食べる』

「そうなんじゃ。んじゃ2畝くらい植える?」

『何度も収穫できる。1畝で大丈夫』

「そっか」

「マム、自分はこのラディッシュが好きであります!」

「んじゃそれも植えておこう」


自分達で育てない野菜は町で買えばよいし、ダンジョンで出るかもしれない。

なので比較的簡単に育つものを植えて満足するマォ。


「かぁちゃ、とみゃとありゅ?」

「あるよ。ガイアの好きなミニトマトも植えたからね」

「わぁい、ありがとかぁちゃ」


ガイアは喋れるようになっていた。

マォの感覚では3歳児くらいの成長ぶりなのだが実際はまだ1年経っていない。

まぁ異世界だし亜人だし成長速度が違うのだろうと思っている。


「おかん、そろそろ夕食の時間だから切り上げてくれってコルディが」

「丁度終わったよ。ガイア先にシャワー浴びで汚れ落とそうか」

「あーい、にぃにといっちょー」

「ん?俺か。分かった」


アルノーはガイアを抱えてシャワーを浴びに行った。


『マォ。また明日』

「うん、お疲れ様オルガ。

 ジャックもお疲れ様。シャワー浴びて飯にしよう」

「イェスマム!お疲れ様であります!」


道具を片付けてそれぞれがシャワーを浴びに帰る。

夕食を食べた後、ガイアを寝かし付けながら自分も寝落ちするマォである。

久々に体を動かしたので疲れたのであろう。


畑が一段落した数日後、マォとアルノーは前々から考えていた事を実行に移す事にする。


「此処に到着してすぐ冬支度に入ったから出来んかったんじゃけどさ。

 アルノーのお母さんとか此処に住んでてスタンピードの被害にあった人達の

 慰霊碑を作ろうと思うんじゃけどどうじゃろ?

 ついでに玄武や青龍とかの四神獣の像も作って祭ろうかと思うん」

「母の墓でもと思っていたのだがそれならいっそ慰霊碑にしたらどうだと

 おかんが言ってくれてな。

 此処に住む皆の意見も聞きたいのだがどうだろうか」

「よいのではないか?」

「四神獣の像はマムが絵を描いてくだされば自分達が彫り上げるであります!」

「玄武殿が実質このプリローダの守護神であろう。

 祭るのはよいのではなかろうか」

「ふむ、我がモデルになればよいのじゃな」

「うわぉっ、行き成り現れんでくれん?」

「ほっほっほっ」


慰霊碑はオルガが任せろと言ってくれた。

四神獣の像はジャック達獣人組が作ってくれる事になった。

リオルも張り切っているようだ。

マォとアルノーは像を祭るお堂を作る事にし、マォがこんな感じだと絵を描いて見せる。

ルークとダルクは何やら書類仕事が忙しく、手伝えない事を気にしていた。


「我々も手伝えればよかったのだが、すまぬ」

「気にせんでええよ。

 逆に儂書類とか苦手だから任せきりですまんね」

「適材適所という事でよいと思いますよ。

 どのみち私とルーク様は不器用ですから足をひっぱりそうですし・・・」

「まぁ向き不向きはだれしもあるけぇ仕方がないっちゅうことで・・・」


四神獣の絵もマォが描き、それを見ながらジャック達が彫って行く。

ちなみにデフォルメではなく頑張ってなるべく写実的に描いたみたマォである。

玄武は実物が居るので書かなくてもよいかと思ったのだが拗ねた為描く事になってしまう。

其々の絵を2日で書き上げ、お堂は3日で完成した。

これもオーガ達が手伝ってくれたおかげである。

オルガの慰霊碑と四神獣の像も4日で完成し、いよいよ設置となる。

慰霊碑は居住区の北側にある小高い丘の上に設置する事になり、四神獣の像はそれぞれ東西南北に設置する。

まずはお堂を移動させて設置する。

雨や雪にも耐えれるように少し足場を高くするのだがこれはダルクが魔法でやってくれた。

設置が終わればお堂の中に像を入れて固定させれば完成である。

皆で慰霊碑の前まで移動し、お供え物を置き黙とうを捧げる。

この世界では供え物をするという風習がないようだったので供養の為だとマォが教えた。

お供え物はコルディやカトル、侍女達で用意してくれたのだが、まさかボアの半身焼きが出てくるとは思わなかったマォである。

何故それをチョイスしたと聞けばアルノーの母の好物だったらしい。

黙とうが終わりマジマジと慰霊碑を眺めてみれば・・・


金色(こんじき)(ひぐま)とその仲間達 ここに眠る』


そう彫られている。


「ねぇ?羆ってこの世界におるん?」

「キリングベアと言う魔獣の亜種で金毛になる物がいるのだがな。

 それを見た過去の招き人が金色の羆だと言ったそうで

 それ以降は金毛のキリングベアを羆と呼ぶようになったそうだ」

「へぇ・・・

 つまりはアルノーのお母さんって

 そんくらい強いから金色の羆って異名がついたって事?」

「恐らくそうなのだろう。

 なにしろ母はキリングベアを素手で倒していたからな」

「「 は?! 」」

「嘘だろ・・・」

「まさかそこまでの強者だったとは・・・」

「ん?キリングベアって強いん?」

「Sランク、災害級の魔獣だ。滅多に遭遇はせぬがな・・・」

「災害級を素手で・・・ 凄いねアルノーのお母さん」

「だからってその名を刻まなくても良いだろう・・・」

「オルガよく人間の文字が掛けたね」

『ダルクが教えてくれた』

「へぇ、ダルクに教えて貰ったんだ」

「ダルク!お前の差し金か!」

「良いではないですか、我等からすれば英雄なのですよ!」

「だからってこの名でなくとも!」

「それ以外の名前知りませんので」

「 ・・・ 」

「まぁ今更変更出来んし、格好良いからええんじゃないん?」

「おかんがそういうならまぁ・・・」

『オルガ達オーガの中でも彼女は英雄』

「そうなんじゃ」


こうして慰霊碑や四神獣を祀り終わった頃には季節はほんのり汗ばむ時期になっていた。

読んで下さりありがとうございます。

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