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プリローダ①

エルフィン達の事があり、すっかり忘れていたこの地の名前。

結局は【プリローダ】と言う名前に決めたのはマォだった。

ロシアだったかそこら辺の国の言葉で自然と言う意味である。


「ふむ、良いではないか。

 ではプリローダで明記しておこう。

 挨拶状などはすべて私経由で届ける事にするがよいだろうか」

「悪いね、面倒掛けるけどよろしく頼むよ」

「なに、気にするでない。

 私としてもこちらに来る口実になって丁度良い」

「兄上・・・

 ああそうだ。万が一にも使者が送られてくることになっても断ってくれ」

「分かっておる。だがどうしてもと引かない国もあるだろうな」

「相手は国だからな・・・」

「でもさ、この国の使者には会うけどそっちの国の使者とは合わないとか

 揉め事の原因になりそうじゃん。

 どうせなら会うけど、ここじゃない場所がええね。

 あ、でもまずは挨拶状からじゃねぇ。

 挨拶状無しで行き成り使者とか送ってきたら蹴るよ?」

「おかん、蹴るのはマズイんじゃないか?」

「んじゃどつく?」

「それもマズイのではないかな・・・」

「えー・・・じゃぁ毟る?」

「「「 なにを?! 」」」

「髪の毛」

「「「 ひっ 」」」


一斉に自分の頭を押さえる男性陣。


「皆にやる事は無いじゃろぉけぇ心配せんでもええよ」

「脅かさないでくれマォ殿・・・

 では挨拶状は一度こちらで確認してから届けるとしよう。

 不適切な物があった場合はこちらで処理しておく」

「それがよかろう。

 返事を出す場合は私かアムリタが代筆しよう」

「そうだな、アムリタとルークならば慣れておろう」

「私も出来ると思うのだが・・・」

「エルフィンはしばらく表に出るな」

「そうか、それもそうだな。大人しくしておこう」


土地の名前も決まり話もやっと纏まったので自分の館へとスカイラーは帰って行った。


その後は平穏な日々が続き、アムリタ達はすっかりとここの暮らしに馴染んでいた。

エルフィンも皆にあれやこれと手解きを受けながら筋肉痛の体を引きずって頑張っている。

この平穏がずっと続けばいいのにとマォは思う。


そんなある日、冬の大嵐がやってきた。

ゴォォと風が吹き荒れカタカタと雨戸が音を立てて揺れている。

前日までは雪も降らずに比較的穏やかな天気だったのにと嘆くマォ。

マォの住む家には雨戸があるから良いとしてほかの皆は大丈夫だろうかと心配になる。


「おかん、大丈夫か?」

「うん、儂はええんじゃけど他の皆は大丈夫じゃろうか」

「皆慣れているから大丈夫だろう。

 この嵐が終わればすぐに雪解けだからな」

「そうなん?」


どうやらこの嵐が春の訪れの前兆のようだった。

渡り廊下のお陰で風も避けられるから食事に困る事も無いだろうと安心するマォ。

ただ2~3日は吹き荒れるらしいのでなるべくは出歩かない様にとアルノーに言われた。

マォとアルノーの場合は家に台所もあるしマォが料理も作れるので引きこもっていても安心である。


「そうじゃねぇ、せっかくだし体が温まるすいとんでも作るか」

「すいとんとは?」

「簡単に言えば小麦粉で練った団子を入れた汁物じゃろうか」

「なるほど、汁物であれば確かに体も温まるな」


マォは早速地下にある食料保存庫から野菜類を取ってくる。

自作の乾燥キノコもあるし美味しいすいとんが作れそうだとホクホクしている。

野菜類はすべてダンジョン産で肉はアルノーが狩って来たワイルドダッグ・いわゆる鴨なのだがサイズ感がおかしく牛サイズであった。

捌いてあると見た目は鴨肉そのものだった。

鴨肉入りのすいとん。なんとも贅沢である。

切った野菜に乾燥キノコと肉を入れ煮込む間に小麦粉団子を用意する。

野菜が煮えたら団子を入れて火が通れば味付けをして完成だ。


「これがすいとんか。旨いし体か温まる」

「そうじゃろ?生姜もいれてあるから体もポカポカになるんよ」

「へぇ、おいしそうですね」

「「 ぶほっ 」」

「私もご相伴にあずかりたいなぁ」

「ダルク?いつのまに」

「声は掛けたんですけどね?」

「ごめん、気付かんかったわ。

 食べる?」

「喜んでいただきます」


3人で囲炉裏を囲みハフハフと食べ終えた頃にやって来たルークは空の鍋を見て涙目になるのだった。

それを見て少しばかり気の毒になったマォはまた作るからとルークを慰めた。


「で、何か用事があったのでは?」

「ああそうだった。

 雪解けが終われば領地の各町で祭りがあるのだがな。

 我々も参加してみるのはどうかと思ってな」

「参加?なんか行事でもあるん?」

「無事に寒期を乗り越えた事を祝う祭りなんだ。

 各家庭で寒期の間に作った物を持ち寄って祭りの期間中に売るんだ。

 カレフからの観光客も増えるし、我々も露天を開かないか?」

「なるほど、それはいいね。

 じゃあこの嵐が収まったら皆で相談しよう」


それから3日経っても嵐は収まらず5日目になってやっと収まった。

久々に外へと出てみればまるで北極圏のような景色が広がっていた。


「うわぁ、ぶち綺麗じゃね」


見渡す限り雪と氷の銀世界で空にはオーロラが現れている。

子供や孫達にもみせてやりたかったと思うマォ。

気が付けばマォやアルノー以外の皆も家から出て来ていて空を眺めていた。


「オーロラはめったに現れないからな」

「そうなんじゃ」


しばらく眺めていればエディが叫んだ。


「マム!つかぬ事を聞くでありますが、マムは空飛ぶ亀をご存じでありますか!」

「はへ?!」

「西の方角から亀が飛んでくるであります!」

「へぇ、カメが飛んでるんだ。

 ん?・・・

 待って待って待って?

 カメは陸地を歩くか海中を泳ぐかする生き物じゃろ?

 あ、こっちの世界だと魔獣か妖獣になるから飛べるんじゃろか」

「おかん、こっちの世界でも亀が空を飛ぶ事はないぞ・・・」

「へ? でもエディがカメが空飛んじょるって・・・」

「マォ、俺も確認できたが亀で間違いなさそうだ」


そういったのはリオルである。


「ちなみにどうゆう風に飛びよるん?

 パタパタ? それともブーン?」

「イェスマム!

 これはどう表現すればよいか自分には解かりかねるであります!」

「ぶ・・・ ちなみにリオルは?」

「とてつもない勢いでこちらに近付いているとしか・・・」

「へ? こっちに来よるん?! マジで?」

「マム!自分も確認出来たであります!

 前後左右から炎が噴き出ており高速で回転している様であります!」

「炎が噴き出て高速回転?・・・」


ジャックの説明にガ〇ラかよっ!とボソリと呟いたマォである。

そのうちマォやアルノーでも確認できる大きさになりマォは手にしていたコーヒーを盛大にぶちまける。

巨大なミドリガメがガ〇ラよろしく火炎噴射で回転して飛んでいるのだ。

しかもその背中?甲羅の上には人影が見える。


「ぶほっげほっぐぅえほっ・・・」

「おかん大丈夫か?!」

「マォどうした!」

「う、上に、人影・・・げっほげほっ」


マォの言葉で一斉に亀の甲羅の上に視線が集まる。


「おぉ、本当だ。人が乗っておる」

「ん?あれは・・・子供ではないだろうか」

「確かに小さな人影ではあるが」


キィィーンとジャンボジェットようなエンジン音が響き渡り、ザワザワと木々は揺れ雪が舞い上がる。

ゴゴゴッと頭上に到着すれば炎が消えドスンと亀が落ちて来た。

その様子を皆固唾を飲んで見守っている。

雪煙の中から姿を現したのは・・・


「きゃはははっ、あぁ~おもしろかったぁ。

 ばぁばぁ~! ゆっちゃん来たよぉ~!」


小さな手を振り駆け寄ってくるゆっちゃんだった。


「え? は? 嘘、マジで?

 いやいや、来たよぉ~じゃないんだわ」


戸惑うマォにバフンと抱きつき、ニコニコと見上げているゆっゃん。


「おかん、ゆっちゃんとはあのゆっちゃんか?」

「たぶん? 儂夢を見よるんじゃろか・・・」

「もぉばぁば! 夢じゃなくてゆっちゃん此処におるじゃん!」

「そ、そっか。そうだよね。ははは・・・」

「あ、イケメンのおじちゃんにハチのおにいちゃんもおるー!

 やっほぉー! あ、綺麗なお姉ちゃんもおった!」

「おかん、やっほーとはなんだ・・・」

「友人同士の気軽な挨拶というか、まぁそんなもん・・・」

「そ、そうか・・・ 俺もやっほーと言った方がいいのだろうか」

「いや、言わんでもええよ・・・

 ゆっちゃん、やっほーじゃなくてちゃんとご挨拶は?」

「えー・・・」

「えー、じゃないん。挨拶出来ん子はばぁば嫌いよ?」

「はぁい・・・

 えーっと、初めまして。ばぁばの孫のゆっちゃんです!

 出来たよ、ばぁば」

「えらいえらい」


頭を撫でてやればゆっちゃんは嬉しそうにしている。

そしてニコニコと愛らしいゆっちゃんに皆もほっこりと笑顔になる。


「ゆっちゃんママは? 一人で来たん? どうやって此処に来たん?」

「ん~とねぇ・・・」

「マォ、中に入って貰ったらどうだ。

 先程コレットは茶の要旨をしに食堂へ行ったから食堂がいいだろう」

「マム、外は寒いでありますからゆっちゃん殿が凍えるやもしれないであります!」

「あ、確かにそうじゃね。 ゆっちゃん、中に入ろうか」

「うん!!」


マォが抱きかかえようとしたのだが、ルークが横から抱きかかえてしまう。

何故にルークが?と疑問に思うマォだったがゆっちゃんは喜んでいる。


「インテリじぃじー!」

「そうか、私はじぃじか。ゆっちゃんは可愛いなぁ」


じぃじと呼ばれ何故か喜ぶルークを見てさらに疑問が深まるマォであった。

読んで下さりありがとうございます。

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