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辺境①

木々の枝をひょいひょいと渡り、虫?らしからぬ動きをするもっちゃん。

その後ろに続くチョコとモモ。

それを羨ましそうに見るアルノーとルーク。


「なぁもふりん」

『出来ないからね、もふりんは無理だからね!』

「もっふ・・・」

『無理だから!』


被せ気味に言うもっふる。

モフーなんかはオーウェンが何か言う前に走り出していた。

2匹も走り始める。

森を抜けた先には元は居住区であったろう雑草だらけの荒れ地が広がっていた。

所々に建物の残骸であろう瓦礫が転がっている。


「なんと言うか・・・」

「気にするなおかん。もともと質素な小屋に暮らしていたんだからな。

 朽ち果てていてもおかしくはないさ」


風雨がしのげればそれでいい、そんな感じの小屋だったのだ。

多少なりとも瓦礫が残っているだけマシだと思うアルノーだった。


「おかん、この奥に井戸があるんだ。

 オルガも待っているだろうから行こう」

「そうじゃね、行こうか」


草をかき分けながら一行は奥へと進んで行く。

10mくらい進んだところで草が途切れて道らしきものが現れた。


「ん? なぜ道が出来ているんだ・・・」


訝しげにアルノーが周囲を見渡すと近づいてくる人影を見つける事が出来た。

誰だと警戒する一行だったが声を聞いて力が抜ける。


「親父殿!無事に到着出来てよかった」

「なんだリオル、来ていたのか」

「ああ、一旦は国へ帰ったんだがな。母上がその・・・」

「まさか自分が来るとかいいだしたのか」

「なんとか宥めて代わりに俺が来る事で納得してもらったんだ」


そう言って1通の手紙をルークに渡した。


『招き人殿が快適に暮らせるよう尽力なさい。

 泣かせたりなんかしたら、解っているでしょう?』


意味深に微笑む姉の顔が浮かんだルークである。


「ルーク、顔色悪いけど大丈夫?」

「あ、ああ。大丈夫だ」

「それでこの道はリオル殿が作ったん?」

「ああ、マォ殿。呼び捨てで構わぬよ」

「そう? んじゃリオルも儂の事呼び捨てで宜しく」

「お、おう。分かった」

「この際だからさ、いい加減皆も呼び捨てにしてよね」

「「「分かった・・・」」」

「で、この道はリオルが作ったん?」

「いやこれはオーガ達が作ってくれたんだ」

「なるほど、オルガ達か」

「知り合いなのか?」

「まぁちょっとした縁があったんよ」

「あの、話は一旦やめて奥へと進みませんかね・・・」

「そうだな、すまん」


ダルクに指摘され奥へと進む一行だった。


「この井戸を中心として居住区を作ろうと思うんだがどうだろうか」

「この井戸ってまだ生きちょん?」

「ああ、使えるし水質にも問題はない」

「なるほど、一安心じゃね」

「まぁいざとなれば生活魔法でも水は作れますし」

「それでだな、こっちへ来てくれ」


少し離れた場所に案内されるとそこには間取り図の様な物が地面に書かれていた。


「これリオルが描いたん?」

「まさか、自慢ではないが私は画力皆無だ」

「ではどなたが?」

「ワタシだ」

「オルガ!久しぶり。体調はどうなん? もぉええん?」

「マォのお陰で大丈夫。家の地図描いた」

「家の地図?」


よくよく見れば間取り図ではなく、家の配置図といった感じだった。


「ここ、日当たりいい場所。畑作る。

 ここ、皆で家を並べて作る」

「なるほど、風通しもよさそうだもんね」

「マォ来たから明日父たち呼ぶ。

 父、マォの家作ると張り切ってる」

「それは助かる。ありがとう」


当然ながら他の皆にはオルガの声は「ウガッ」としか聞こえていないのでマォが通訳をする。


「確かに畑があるのはよいと思うが、だれも畑など触ったことが無いのでは」

「オルガ出来る」

「儂とオルガが出来るよ」

「俺も少しなら出来るな」

「自分も手伝い程度なら出来るであります!」

「アルノーはまだしもジャックもか!」

「何気にすごいなジャック」


マォに褒められて心の中でガッツポーズを取るジャックである。


「よし、しばらくはテント生活となるが我が国のテントは快適だぞ。

 向こう側に設置してあるから荷物を置いてきてくれ」


そう指さされた場所にあったのは遊牧民のゲルに似たテントだった。

中にはベットやテーブルまで設置されているし、中央にはストーブまで置かれていた。

中を覗いてストーブを見たマォはふと思う。


(そういえば季節はどうなってんだろう。日本みたいな四季はなさそうじゃけど)


冬があるのであれば冬の準備もしなくてはならないだろうと思ったのだった。


「では1つはマォとイザベルが使うとして、男は二手に別れるか」

「ああ、それがよいだろう」

「自分は同僚と使うであります!」

「ならば僕とアルノーで使おうか」

「私とルーク様ですね。承知しました」


それぞれが荷物を置いた後に井戸の前へと集まる。


「今日はこのままゆっくりするとして、明日からは家作りか」

「あ、それ心配いらんかも。なんかオルガのお父さんたちが作ってくれるらしい」

「「なんと!」」

「 『兄や姉も張り切っている。任せろ』だってさ 」

「では我々は木材や薪を集めるか」

「狩りもして肉を備蓄した方がいいな」

「そうそう、聞こうと思ったんじゃけど此処って季節どうなっちょん?」

「どうとは?」

「春夏秋冬ってあるん?」

「「「 ??? 」」」

「あ、無いんじゃね・・・」

「マォ様、1年のほとんどが今と同じような気温です。

 ですが2か月もすれば寒期がやってまいります。

 寒期は3か月ほどでしょうか」

「なるほど、説明ありがとうイザベル。

 だったら冬の準備もしないとって事じゃね。

 どんくらい寒くなるんじゃろう」

「そうですね、川や湖が凍りつくくらいでしょうか」

「なるほど氷点下になる事もあるんじゃね、分かったよ」


マォは北国で生活していた頃を思い出す。

コンビニで買って来たロールケーキを置いたまま手洗いを済ませて戻って来てみれば凍ってアイスの様になっていた事。

余った豚汁を翌日も飲むつもりで鍋のまま寝たら、次の朝氷柱花のような塊になっていた事。

カーテンを開けたら2階の窓まで雪が積もっていて家から出られなくなった事。


「雪は降るんじゃろか」

「降りはしますがそんなに積もりませんよ」

「どんくらい?」

「膝上くらいですかね」

「十分積もっちょるじゃん!」


これは雪かきも必要になりそうだと思うマォである。

食料保存庫と地下室が欲しいとも思う。


「なんかあれこれ忙しくなるかも?」

「大丈夫ですよマォ殿。いざとなれば魔法でなんとかなる部分もあるかと」

「あー、なるほどね。でもさダルク。殿いらんゆうたよね?」

「あ、失礼しました」

「よし、明日からどう動くかの計画を立ててしまおう」

「待ってくれ親父殿、先に部下を紹介したいんだが」

「そうだな、頼む」


紹介されたのはエディ、アシーナ、バックリーの3人だ。


「エディは薬師のスキルもあるし戦闘力も申し分ない。

 アシーナは元ハンターで手先も起用だ。

 バックリーは力自慢で頼れる奴だ。

 3人共自ら申し出てくれたんだ」

「そっか、よろしくね」

「「「 イェスマム! 」」」

(ジャックが増えた・・・)

(何故皆そうなる・・・)

(伯父上の騎士をぼっこぼこにしたと噂が流れていてだな・・・)

(ぼっこぼこどころか一瞬で終わったのだが・・・)

(これは気にせぬほうがよいのでは?)

(うむ、慣れだな。慣れるしかない・・・)


次に騎獣達も紹介してもらう。

リオルのクッキーとジャックのチョコは解るとして、ほかの子が気になって仕方がないマォである。

エディの騎獣はサブレと言う名前のラッセルサーペント。

アシーナの騎獣はモルトと言う名前のラージモス。ぱっと見はモ〇ラに近い。

バックリーの騎獣はササミと言う名前のコカトリス。モモの親らしい。


(モモとササミって肉の部位じゃねぇかよ!)


叫ぶ訳にもいかず心の中で突っ込みを入れるマォであった。

紹介も終わったので明日からの事を話し合っていく。


まずは建材となる木材を集める組、バックリーとアルノー、オーウェンが担当する事になった。

さすがにオーガ達に丸投げする訳にもいかないからである。

次に薪を集める組、これはルークとダルクが担当する事になった。

冬の暖を取るのにも必要だし調理にも使うからである。

次は肉類を狩る組、エディとリオルが受け持つ事にした。

マォとアシーナは木の実や山菜などを採取し、ジャックとイザベルが子守り担当に決まった。

オルガは自分の一族達と動くから心配いらないと言っていた。

取り合えず役割分担が決まったので夕飯の準備へと取り掛かる。


「マォ様皮むきなら私でも」

「やめーい!身が無くなるではないか!」


手伝いを申し出たイザベルを必死にオーウェンが止める。

代わりに手伝いを申し出てくれたのはアシーナだった。

ピーラーで剝いたのかというくらい綺麗に皮を剥くのでマォとしてはとても助かる。

夕飯は豚汁ならぬボア汁にするつもりだ。

先日のダンジョンで落ちた調味料の中に味噌があったし、野菜の中には大根人参牛蒡の他に生姜もあったのだ。

ダルクやオーウェンが牛蒡を木の根だと思い捨てようとするので慌てて止めたのはマォだ。

じゃが芋とキノコ類は町の住人から頂いたものがある。

豆腐や油揚げが欲しいところだが無いので仕方がない。

もしかしたらいつかダンジョンで巡り合えるかもしれないと思うマォである。

ボア汁にパンはちょっとなぁと思い、炊き込みご飯も作っておいた。

そう、バズに貰ったあの羽釜があるので石を積み上げ間に合わせの竈を作ったのである。


(某韓国バラエティ万歳!)


見よう見まねでもなんとかなるもんだと思うマォなのであった。

読んで下さりありがとうございます。

ブックマークにリアクション、本当にありがとうございます。

誤字報告も非常に助かっておりますと共に心の中で「やってもぉたぁ」と叫んでおります(;´Д`)

いつも足を運んでくださる皆さまに感謝です。

まだまだ暑い日が続きますので熱中症などには気を付けて下さいませ(*'ω'*)

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