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ウォーカー領⑥

翌日は朝食を済ませて身支度を整えて、隣町へと向かった。

ニアとソニアの親族を探す為である。

今回はマォとアルノーの2人で出かける事にした。

何故なら昨日のオーウェンのように騒がれたくなかったからだ。


「まったくいい大人が子供の様に騒いでからに・・・」

「オーウェン殿はゆっくりと町にある店を覗く事はなかっただろうからな」

「それにしてもはしゃぎすぎだろ・・・」

「それはまぁ・・・」

「私は静かに出来るよ!」

「私もいい子に出来るよ!」

「うんうん、ニアもソニアもいい子じゃもんね」


すっかりマォに懐いた子供達である。


「伯父さんに会えるとええね」

「近くになったら匂いで分かると思うの」

「匂いで?」

「ニア達獣人だから鼻がとってもいいの」

「なるほどね」


隣町に着いてまずは冒険者が集まるギルドの建物へと向かった。


「ニア達の伯父上は冒険者ではないかと聞いたからな」

「違ったとしても何か情報があるかもしれんしね」


建物に到着して扉を開こうとした時、バンッ!と内側から開かれてマォの顔面に直撃した。


「ぶぇっ・・・」

「おかん!」

「マォ姉ちゃん大丈夫?」

「ニア!ソニア!よかった、心配したぞ」


ガタイの良い獣人が子供達を抱きしめる。


「おじちゃん!先にマォ姉ちゃんにあやまって!」

「ちゃんとごめんねして!」

「ん? マォ姉ちゃんとは誰だ」

「儂だね・・・」

「うぁ、これは申し訳ない事を・・・

 つい姪の匂いがして慌ててしまい・・・」


マォは鼻を押さえながら答えるのだが、つつつーと指の隙間から鼻血が滴る。


「ぅわぁ、マォ姉ちゃんが大変!」

「おじちゃんお薬もってきて!」

「ニア、ソニア。落ち着いて。こんなんすぐ止まるから」


マォは心の中で痛いの痛いの飛んでいけを唱える。

飛ばす先は勿論狸である。


「ほら、もぉ大丈夫。

 それよりも伯父さんにちゃんとご挨拶は?」

「ニアです、こんにちは!」

「ソニアです、こんにちは!」

「マォです、2人を保護して親族である貴方を訪ねて此処に参りました」

「これはご丁寧に。慌てていたとはいえ申し訳ない事をいたしました。

 2人の伯父にあたるケビンと申します。

 2人を保護して頂きありがとうございます。もう会えないかと・・・」


詳しい説明をするにあたり子供達には聞かせたくなかったので、マォは子供達と店を覗いてくる事にし説明はアルノーに任せた。


「さて、何か見てみたいお店はあるかな?」

「うーん、でもニアお金持ってないよ」

「ソニアもない・・・」

「じゃじゃーん、これなぁんだ」

「「 なぁにぃ? 」」

「2人のお財布だよ。

 2人共いっぱいお手伝いしてくれたでしょ。だからお小遣いが入ってるんだよ」

「これニアの?」

「ソニアの?」

「うんうん、お手伝い頑張ったご褒美だから好きな物買うといいよ」

「わぁ、ありがとうマォ姉ちゃん!」

「ありがとぉー」


子供達の財布は長い紐が通してあるので首に掛けてやる。

2人はニコニコしながら小間物屋に行きたいと言うので行ってみる。


リボンやハンカチ、櫛や手鏡などの小物が置いてある。

小さな人形なんかも置いてあった。

マォは2人が何を選ぶのか遠くから見守りながら自分も品物を見てみる。


(おや、この木彫りの髪飾りはあの子達に似合いそうじゃん。

 こっちの髪飾りは透かし細工なのか、イザベルにいいかも)


会計を済ませてプレゼント用に包んで貰った後子供達の様子をみれば、2人で相談して何を買うのか決めたようだった。


「決まった?」

「うん、決まった」

「待っててね」


2人は会計をしにいったのでマォは出入口で待つ事にする。

会計を済ませた2人はニコニコしながら小さな包みを抱えていた。


「お金は足りたかな?」

「うん、大丈夫だよ」

「ちゃんと考えて買ったよ」

「そうか、えらいね」


2人の頭を撫でてやる。


店を出るとちょうとアルノーとケビンがこちらに向かって歩いてくるところだった。


「買い物は済んだのか?」

「うん、買えたよ!」

「ねぇー」

「そうか、よかったなぁ。

 こっちも話は終わったぞ、おかん」

「アルノーお疲れ様、ありがとね」

「本当に皆さまにはお世話になりまして」

「気にせんでええよ。それよりもこの子達はどうするつもりなんじゃろか」

「妻とも話したのですが、うちは息子しかおらず娘が欲しかったので

 2人を引き取って育てるつもりです」

「そうか、嫁様とも相談してあるならよかったよ。

 じゃあこの子達を任せても大丈夫じゃろか」

「はい、お任せください。

 ニア、ソニア。今日からは私がパパだ」

「おじちゃんがパパになるの?」

「私達ここにいていいの?」

「勿論だとも」


2人はケビンに抱き着く。


「よかったじゃん2人共。

 時々はこの町にも来るからさ、その時は元気な顔みせてね」

「あのね、マォ姉ちゃん。私達も時々遊びに行ってもいい?」

「いい?」

「えーっと・・・今居る場所よりも遠くなるからなぁ」

「ご迷惑でなければ私の仕事が無い時に連れて行ってもよいでしょうか」

「迷惑ではないしむしろ嬉しいんだけど、ケビンさんが大変じゃない?」

「この子達が喜ぶのであれば大変でもなんでもありませんよ」

「そっか、それならお願いしようかな」


話も纏まりそろそろ別れを告げようかと思った時、猛ダッシュで近寄ってくる人影があった。


「うちの甥は!甥の事を何か知らないか!」

「落ち着けラーニャ。その手を放さないか」

「手を放してくれ、おかんが白目に」

「ん? うわぁぁすまん。おい、大丈夫か!」

「だから落ち着けラーニャ」


掴んだままガックンガックンと揺さぶるものだからマォの顔いろは益々悪くなっていく。

アルノーとケビンがなんとか宥めてマォを解放したがぐったりしている。


「いつも言っているだろう、人族は我々獣人族や魔人族とちがってか弱いのだと」

「悪い、つい焦って。はっ、そうだ回復薬を」


ラーニャは瓶を取り出してマォに飲ませた。


「うぉえぇっ、にがっ」


マォはあまりの苦さに目を覚ます。


「何があった?儂の身に何が起きた?

 ちゅうかにがっ、口の中がすっげぇ苦いんじゃけど!」

「おかん、取り合えず水を飲め、ほら」


アルノーに渡された水筒で口の中を洗い流す。


「それで何が起きた?」

「ラーニャは同じチームに所属する魔人族の冒険者なのですが・・・」

「姉からの最後の手紙でこの子達の家族と一緒になったと書いてあったんだ。

 だからこの子達が見つかったのなら甥も一緒に居るのではと思ったのだが」

「気が逸るあまりにおかんに突進したみたいだ」

「なるほど?・・・ 甥ってのはアレックスの事じゃろか。

 アレックスなら今日は留守番で屋敷に残っちょるよ」

「無事か!無事なのか?!」

「だからラーニャ!やめろと!手を放せ!」

「ぐえぇ・・・」

「はっ、すまん・・・」

「げほっげほっ・・・なるほど、さっき儂が気を失ったのもこれか!」

「本当にすまない」

「まぁええわ・・・ んじゃアレックスを迎えに行くかい?」

「ああ、すぐにでも会いたい」


善は急げという事で、ニア・ソニア・ケビンに別れを告げ屋敷に戻る事にする。


「ニア、ソニア。2人の事だから心配はいらないだろうけど、元気でね。

 ほらこれ、2人プレゼントだ」


先程買っておいた髪飾りの入った袋を渡す。


「あのね、私達からもマォ姉ちゃんにプレゼント」

「ニアと一緒に選んだの」


大事そうに抱えていた包みをマォに渡す。


「なんだ2人共こんな気を遣わずに自分の物を買えばよかったのに。

 ありがとう、開けてみてもいい?」

「うん。私達も開けてみていい?」

「いい?」

「どうぞ、開けてみてごらん」


子供達は中に入っていた髪飾りを見て喜んでいる。

マォも包みを開けてみると木のバングルが入っていた。

模様にはサンダーソニアの花が掘られている。


「この模様のお花ね、私たちの名前に似ているの。

 だからこれを見たら私達の事思い出してもらえるかなって」

「忘れる訳ないじゃん、いつでも思い出すよ。2人共大好きだよ」


名残惜しいが抱き締めあった後に別れる。

自分達はモッフルで移動だがラーニャはどうやって移動するのだろうと思っていれば、コモドドラゴンを大きくしたような蜥蜴に乗って現れた。


「でかっ」

「ドランに乗っているのか、さすが魔人族だな」

「ドランっていうんだ、格好良いな。さて行こうか」

(もっちゃん、負けない!)

(もふりんだって、負けない!)

「へ?何が?何が負けないなの?」

「待てもふりん、落ちつ・・・・うおぉぉお」


ドランは小型の地竜である。その為移動速度が速い。

マォが格好良いなんて言うものだから対抗意識を燃やした2匹は猛ダッシュしたのである。

もっちゃんは風よけのシールドを張るのを忘れずにいたのだが、もふりんは走るのに夢中でシールドの事などどこへやら。

綺麗さっぱりと忘れたためアルノーは大変な目に合うのだった。






保護中ニャンコ

挿絵(By みてみん)

読んで下さりありがとうございます。

誤字報告やブックマーク、リアクションなども本当にありがとうございます。

後が気に画像が載せれないので本編の最後にニャンコ載せました。

やっと目が開いてくれました(*'ω'*)

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