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計画を立てる

「ならばマォ殿我々も国を出ようではないか」

「「「 は?! 」」」

「まてまて親父殿。仮にもこの国の宰相だろう」

「なに、此度の件で責任を取り辞職すると言えば良いだけの事。

 これまでもどれだけ煮え湯を飲まされて来た事か。

 息子や親族を愚弄されてなおも国に仕えるなどありえん」

「ん?待ってルーク。親族って?」

「あー、話しておらぬのか。

 俺は正確には親父殿の甥になる。

 俺の母はカレフ国の王妃で親父殿の姉だ。

 母にとって我が国の民は家族同然、親父殿もそう思ってくれているのだ」

「ん?? つまりリオルはカレフの王子?

 んでルークは王妃の弟?

 人族と獣人族が結婚?なにそれうらやましい」

「マォ殿、話がずれています・・・」

「はっ、ごめんアルノー」


とりあえずは部屋に入り落ち着いて話そうという事になった。

赤ん坊にミルクも飲ませねばならない。


「えーっと、ヤギのミルクってあるじゃろか?

 というかヤギっておるんじゃろか・・・」

「ヤギ・・・どのような魔物で?」

「いやいや魔物じゃなくて普通の動物・・・おらんのか」

「団長!エアレーの乳ならば良いかと思うであります!」

「エアレーとはなんじゃろか」

「角が2本ある毛がモフモフした魔獣であります!」

「見せてもらってもいい?」

「イェスマム!案内するであります!」

「ルーク、ちょっと見てくるからこの子抱いて先に中へ入っちょって」

「あ、ああ」


(イェスマムってマォ殿は上官ではないのだぞジャック)

(本能で強者だと察したんでしょうか)

(マォ殿もマォ殿で普通に受け止めておったな)

(これはどう受け止めればよいのだ親父殿)

(私に聞くな)

(下手に突っ込まない方がいいでしょうね・・・)


などとコソコソ話す3人だった。

まさかこのあと「イェスマム」が定着するとは思わずに・・・



マォがエアレーを見に言っている間に3人は今後について話し合う。


「なんやかんやと理由を付けて引き止めてきそうですよね」

「何を言われようと留まるつもりはない。

 そもそも近い内に引退も視野にいれて準備はしてあったしな」

「さすが親父殿、用意周到という事か。

 国同士友好関係を築く為にとそちらの頼みを引き受けたというのに。

 契約期間はとうに終了している、いつ出て行こうが文句は言わせん」

「皆さんはカレフ国に戻るのでよいとして、マォ殿はどうしましょうか」

「カレフに来てもらっても構わぬが」

「いえ、それだとこの国があれこれと難癖つけてきそうですし」

「ああ、あの狸共がこれ幸いにと言い出しそうだな」

「国交を辞めてしまえばよいではないか。

 国境の門を閉じればよかろう」

「だが自分が原因でカレフに被害が出ればマォ殿は自分を責めるだろう」

「ではカレフとこの国の狭間にある辺境の地はいかがです?」

「ああ、確かどちらの国にも属さぬ捨てられた地だったか」

「おいリオル、言葉を慎め。辺境の地はアルノーの故郷だ」

「それはすまなかった・・・」

「いえお気になさらず、実際今は誰も住んでおらずそう呼ばれておりますから」


辺境の地、それは山に囲まれ森が広がり、魔獣や妖獣が多く住む土地だった。

あちらこちらの国から集まった難民や移民が助け合いながら静かに暮らしていたのだが12年前に起きたスタンピードにより村は壊滅。

どこからも復興支援は受けられず、生き残った人々は周辺の小さな村や町へと移って行った。

それ以来そこへ立ち入る人もおらず人々の記憶からも消えていき、いつしか捨てられた土地と呼ばれるようになったのだ。


「ではその辺境の地へマォ殿が行くとして、住む場所が必要だろう。

 それはどうするつもりだ」

「ん?っ辺境にいくの? 簡単な小屋なら作れるけど?」

「うぉっ、驚いた・・・」

「マォ殿脅かさないでくださいよ」

「いつからそこに。と言うか小屋なら作れるのか・・・」

「辺境へ行くとして住む場所が、からであります!

 ただいま戻りました団長!」

「うむ、ご苦労だったなジャック。

 してエマレーの乳で大丈夫そうか?」

「大丈夫じゃった。ヤギと似てたし飲んでみたらヤギミルクと同じ味がした」

「そうか、飲んでみたのか。

 ん? 飲んだのか。生で?」

「え?飲まんのん?」

「いやミルクスープやチーズには使うが・・・」

「栄養価高いのにもったいない」

「団長、自分も飲んでみましたが濃厚で美味かったであります!」

「「「 マジか! 」」」


口調が崩れる3人であった。


その後はジャックが話し合いの間の赤ん坊の世話を引き受けた。

7人兄弟の長男という事もあり、世話にはなれているからと申し出てくれたのだ。

マォはすっかりジャックと仲良くなっており安心して赤ん坊を預ける事にした。


そして話し合いは進んでいく。

団長リオルと獣騎士団は話し合いが済めばすぐにでもここを出て行く事になった。

宰相ルークはすぐに辞表を書いて国王に提出し、一旦領地に寄った後辺境の地を目指す事になった。

マォは王妃と約束していた菓子を作り、国王に雷を落としてから城を出る事にした。

騎士アルノーは当然のようにマォの護衛を続け城を出る時は一緒に出ると言った。


「アルノー? せっかく護衛騎士にまで上り詰めたんじゃろ?

 やめるの勿体無くね?」

「元々は母が亡くなった後に

 母の知己であった前団長に引き取られて騎士になりましたから。

 自分は平民の出ですからね。

 よく思わない貴族連中もいますし騎士職に未練はありません。

 それに自分はマォ殿に仕えると誓いを立てましたので」

「ん? 儂に誓い立てたの?だめじゃん・・・」

「まぁまぁマォ殿。すべての騎士が国に仕える訳ではないのだ。

 自分の命を懸けても良いと思える人物に出会う事が出来れば

 個人に誓いを立てる事もあるのだよ」


騎士に誓いを立てて貰えるような人間なじゃないんだがなと思うが、その気持ちを無下にも出来ないマォである。

悩んだ末にこう言った。


「ねぇアルノー。

 儂元の世界に子供が3人おってさ、その内1人は息子じゃったんよ」

「ええ、存じております」

「二度と会えんじゃろうし儂1人ぼっちなんよね。

 騎士の誓いを立ててくれると言うならさ、どうせなら息子になってくれんかね?」

「む、息子ですか?」

「駄目じゃろうか」


騎士アルノーはぶつぶつと何か言いながら考える。


(確かにマォ殿は無き母を思わせる言動も多く・・・

 年齢的にも親子で通りはするが、俺なんかが息子でよいのだろうか。

 息子であれば離れずにずっと守る事も出来るが・・・

 マォ殿は黙って守られている人ではない気もするし。

 だがマォ殿は家族と引き裂かれている。

 俺で少しはその寂しさを埋める事が出来るだろうか)


しばらく自問自答を繰り返しアルノーは意を決めた。


「未熟な息子ではありますがよろしくお願いします」

「やった!ルーク、養子縁組ってどうやりゃええん?」

「マォ殿・・・マォ殿はまだ戸籍が」

「無いんか!がーん・・・

 いや、無くてよかったのか。あったら面倒な事になりそうじゃし」

「国民という事になってしまいますからね」

「ルークとリオルはどうしちょるん?」

「この国での手続きなんぞしておらぬ。カレフで養子縁組の手続きを取った。

 というか取らされた」

「親父殿も私も母には弱いのだよ。

 どうせあなたの事だから一生独身で通すのでしょう。

 寂しい老後を迎えるなんて姉として放っておけないわ。

 と押し切られたのだ。

 まぁ7人兄弟の末っ子だしな私は」


そのうち4人(2組)は双子なのだというからマォは驚いた。

お母さん、大変だったろうなぁと。


「では大まかな事も決まったし、それぞれで此処を出るとしよう」

「皆怪我の無い様に気を付けてね」

「マォ殿もお気をつけて。いずれまた会おう」

読んで下さりありがとうございます。

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