宰相との会談②
ここから旧作と違う部分が出てきます。
「また話がずれてしまいましたね、申し訳ありません。
話を戻しましょうか。
招き人様は現在準王族という位置付けになっております」
「ちょっと待って」
「いかがなさいました?準王族扱いなのは諦めてください」
「いやそうではなくて。その招き人って呼び方やめて欲しいんじゃけど。
マォと呼んでもらっても?」
「よろしいのですか?」
「どうせ素で話すんじゃし堅苦しいのは抜きでいこうよ」
「ではお言葉に甘えまして。
私の事もダルクと読んで頂けると嬉しいです。
では、マォ様は現在準王族という位置付けになっております。
そこで身分証を発行するにあたり鑑定を行いたく」
「鑑定? ステータスが分かるってやつ?」
「そうです。
持っている魔力の量や属性、固有スキルやギフトの有無などが分かります」
「なるほど、それは儂も知りたい。
それによって今後の生活もどうするか選択肢が広がりそうじゃね」
「はい、ではこちらの鑑定機で手をかざしてくださいますか」
「鑑定機って・・・これ?」
「はい、これでございますよ」
そう言われて差し出された鑑定機がどうみてもお地蔵様だった。
クリスタルで出来たお地蔵様・・・
「えーと・・・このデザインって・・・」
「過去の招き人様が考案されたと聞いております」
「なるほど、過去の招き人も日本人でしたよと・・・」
取り合えずお地蔵さまに手をかざす。
気が付けばかざすつもりが頭を撫でていた。
ナデナデナデ・・・
『 マォ 日本種の異世界人
魔力量∞ 属性:ランクⅠの全属性持ち
スキル:想像力次第 固有スキル:どつく・急所掴み
ギフト:おかん 』
お地蔵さまが喋った。
待って欲しい、ゲームの様なステータスウィンドウが開くとかじゃないのか。
音声だと周囲に駄々洩れじゃないかと眩暈がした。
(普通ステータスなんて自分しか見えないんじゃないの?
儂ゲームでもステ隠すタイプなんじゃけど?
なに晒してくれてんの?! ねぇお地蔵様?・・・)
別にこのお地蔵さまが悪い訳ではないのだが。
「ご心配なく、これは特別仕様で音声で出ましたが
一般的な物は身分証に表示されるんです」
「身分証に?」
「ほらこのように」
ダルクが示した場所を見ればお地蔵さまの足元に少し大きめなドッグタグのような物が置かれていた。
「王族や準王族はこの様に音声でも確認し立会人にもわかるようになっています。
入れ替わりやなりすましの防止対策ですね」
「あー、なるほど。魔力は個々によって波動が違うんだっけ。
確か読んだ本にそう書いてあったな」
この世界には血液や遺伝子で個を判別する技術がないようで、代わりに魔力の持つ波動で判別するらしいのだ。
「しかしこれは予想外の結果で困りましたね」
「このような事は聞いた事がないのだが」
「そうですね」
「なにかマズイ結果だったん?」
「いえ、そうではないのですが」
「マォ殿、ランクⅠの全属性など聞いた事がないのだよ」
「つまりへっぽこすぎ?」
「いやそうではなくてな・・・」
魔法にはランクがあってⅠ~Ⅴまでに分かれるそうなんだがⅠは最下位らしい。
「全属性がまず稀なのにランクⅠとはある意味前代未聞だな」
「前代未聞と言われても要はランクⅠなんだからへっぽこなんじゃん」
平民を含む多くの人は1~2つの属性を持ち、3つあれば上々。
4つ以上だと王城務めの上位魔法職に付けるというか強制的にそうなる。
そして4つ以上の属性持ちはほぼすべての人がランクⅢ以上。
このランクが高ければ高いほど高度な魔法が使えると言う事らしいのだ。
「そう言われてもなぁ。全属性持ちでもランクⅠならへっぽこじゃん。
要は生活魔法と初期魔法しか使えないって事じゃろ?
元々魔力も魔法も存在しない世界から来てる訳だし使えるだけマシじゃけど」
「ですがマォ様、ここのスキルの所をご覧下さい。
想像力次第となっているじゃないですか。
普通ですと、ほら私のようにLV3地属性スキル・LV3植物魔法スキルと
この様な表示なのです。つまりは」
「つまりは?」
「想像力次第でいかなる魔法スキルも使用可能という事か」
「でもランクⅠなんだよね?」
「ランクⅠですが魔力は∞となっておりますし」
「ねぇ、意味わからんのじゃけど」
「私にも分かりかねます」
「私も分からぬな」
「だよねー、まぁその内使ってりゃ分かってくるんじゃね?」
「そうですね。
ただ勝手が分かるまではあまり威力のある物を想像しないで下さいね」
「確かにそうだね、加減が分からず暴走したら怖いものね。気を付けるよ」
この世界ではこの身分証が通行許可証にもなるし、買い物などの支払いも可能らしい。
なるほどと思いつつもマォは現金派だ。電子マネーなどは某コンビニのナ〇コカードしか使った事もない。
使い慣れていないとは言え、身分証なのだから大事に持っておこうと思う。
「こうやって首から下げておくとよいですよ」
なるほど、まんま兵士のドッグタグじゃないかと思うのだった。
まじまじとドッグタグを見つめて気付く。
「ねぇ、ランクⅠだけど全属性持ちとか表示されてたらマズイんじゃ?」
「「 ・・・ 」」
「マォ殿は支払いは現金払いを好むのであったな。
ならば別途簡易身分証を発行すればよいのでは」
「あぁそれは名案ですね、そうしましょう」
王族や上位貴族など属性やスキルを隠したい人用に簡易身分証というのがあるらしい。
但しこれだとカード払いが出来ない。
もっとも王族や上位貴族は自分で支払う事が無いので不自由はないのだそうだ。
身分証も出来た事だしこれで話は終わったのかと思えばまだだったらしい。
「マォ殿の希望としては平民と同じように町で生活したいとの事だが」
「元の暮らしと同じように暮らしたいんよ、城生活とか貴族マナーとか無理!」
「城生活も悪くないと思うのだが」
「じゃぁさ、逆に見知らぬ遠い異国に攫われてさ、自分の持ち物も一切なくて
行き成り平民の生活しろって言われたら2人とも出来る?」
「平民の暮らしぶりはよくわからぬが・・・
まず料理が出来ぬな・・・」
「それどころか閣下、湯の沸かし方もわからないでしょう・・・」
「む、茶ぐらいは淹れれるぞ」
「風呂は溜れますか・・・」
「そういうダルクはどうなのだ」
「私ですか? 無理に決まってるじゃありませんか」
そこは自信たっぷりにいう事ではないと思うのだが。
「ほら無理じゃろ?
徐々に覚えてなんとかなるとか思ってる?
形だけならなんとかなるかもしれん。
でもさ、どうも根本的に考え方が違う気がするんよね。
幼子ならまだしもこの年で順応できるとは思えん」
「確かに私も他国の王侯貴族に馴染めと言われたら・・・」
「うむ、無理だな。
だが今すぐと言う訳にもいくまい。
まずはあの貴族達をなんとかせねばな」
「すぐにとは思わんけど、城下町?王都?ここの町にはいってみてもいい?
どんな街並みなのかとかどんな店があるのかとかさ。
町の雰囲気や人々の生活を見てみたいんよね」
「王都をですか」
「確かにこの国を知ってもらうなら町を見てもらう事も必要だろうな」
「ですが警備の面で不安がありますし」
「いいじゃないか、僕が案内するよ」
「へ?!」
「殿下!」
突如新しい声が聞こえ驚く3人。
イザベルと騎士はすました顔で立っている。
「ここで殿下と呼ぶのはよろしくないね、ダルク」
「申し訳ありません」
「初めまして招き人殿。
僕はオーウェン。エルフィンの弟でルークの従弟だよ。
騎士団長でもある僕が一緒なら心配いらないだろう」
エルフィンは分る。国王だ。だけどもルークは誰だとイザベルに目で訴えるマォ。
「ルーク・ウォーカー。宰相閣下の名前にございます」
「なるほど、宰相殿の名前か」
助かったよイザベル、でも出来れば小声でお願いしたかった。
そんなマォの思いなど知らないイザベルはニコリと微笑む。
「なんだ名乗って無かったのか」
「タイミングを逃したのでな」
「すぐに本題に入りましたからね」
(途中脱線したけどね)
「では招き人殿」
「マォです」
「ではマォ殿、明日の午後からではどうだろうか」
「ありがとうございます。楽しみにしてますね」
「僕にも普通に話して欲しいんだけどな」
「王弟殿下に恐れ多い」
「でも街中で敬語を使うのは変だと思うんだよね」
「うっ、確かに・・・では出先でのみ・・・」
「残念だなぁ」
「まぁまぁ殿下、慣れれば普通にしゃべって貰えるかもしれませんし」
「だからダルク、殿下はダメだといってるだろう。
僕は普段身分を隠して騎士団にいるからマォ殿も僕と話すときは気を付けてね」
「では団長殿でいいですか?」
「オーウェンと呼んでくれてもいいんだけどな」
「慣れたら・・・で」
なんか人懐っこい人だなと思った。
王弟が退室した後で教えて貰ったのだけど、周辺諸国に留学していた期間が長く幼少期は病弱だった事もあり存在はあまり広く知られていないのだとか。
本人もよからぬ貴族達の旗頭にされたくないからとおおっぴらにする事を望んでいない。
なるほどと思いながら話を切り上げて自室に戻る事にした。
読んで下さりありがとうございます。
リアクションもいつまりがとうございます。




