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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師の先輩との会合〜 第1章 先輩冒険者との再会

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98/103

第98話 みんなで星空を

「最初はグー!」

「じゃんけんぽん!」

「……私の勝ちだな」

「メリメリ!」


 寝る前に俺達はじゃんけんをして、

 サイレンが勝った。


「おっ!

 決まったのか?」

「ああ……

 私が勝ったから、みんな一緒に寝ることになった」

「よし!

 任せておけ!」

「……では、少しお待ちください」

「メリ?」


 リアーは杖を持つと中央に立った。


「我が魔力の化身よ、

 如何なる敵からも我らを守りたまえ!

 《ライフ・フォース・バリア》!」


 リアーが詠唱を終えると、地面に魔法陣が展開された。


「続けて……

 我が魔力の化身よ、

 我らを温かく見守りたまえ!

 《ホットコールド・ウィンドレイン・バリア》!」


 リアーはさらに詠唱を唱え、魔法陣の上に別の魔法陣を重ねた。


「バリアってことは結界のようやけど、

 どんな効果があるねん?」

「まず、ライフ・フォース・バリアは、

 凶暴な魔獣や人間が入らなくする結界で、

 この結界がある限り襲われることはないのですよ。

 もちろん、虫の影響もありません」

「ふむふむ」

「次にホットコールド・ウィンドレイン・バリアは、

 気温の変化、雨や風から身を守ってくれる結界なのです」

「家みたいなもんか……

 せやけど、俺、初めて詠唱を聞いたんやけど」


 魔術師であるサイレンは詠唱が必要な魔法を使わない。

 だから、どこか新鮮である。


「サイレン様の属性攻撃魔法は、

 バレット、ライフル、ショット、カッター……

 そして、バーニング……

 これらは全て魔術師にとって、

 基本的な攻撃魔法なのです。

 サイレン様のは、他の魔術師と比べても洗練されていて、

 威力も桁違いなのですが、

 詠唱がいらないタイプばかりなのですよ」

「ほんなら、リアーのは?」

「私の結界は上級魔法という位置付けなので、

 詠唱が必要なのですよ」

「……基本的に詠唱が必要な魔法は三拍子以上だ」

「……あれ?

 ほんなら、シャイニング・ロアー・バーニングとかの、

 シャイニング・バーニングシリーズは?

 それに俺のダブル・パワード・アップは?」

「サイレン様のシャイニング・バーニングシリーズは、

 本を正せば同じ《シャイニング・バーニング》なので、

 詠唱はいらないのですよ。

 普通に信じられない話ですが……」

「……練人のダブル・パワード・アップも、

 正確に言えばパワード・アップをまとめて一気に発動するもの……

 だから、詠唱はいらないんだ」

「な、なるほど……

 サイレンは使わへんのか?」

「……ふむ。

 ……使おうと思ったら使えるが、

 今のところは必要とは思えない」

「……せやな」

「……リシアならもう覚えている頃だろう」

「サイレン、負けてへん?」

「……上級魔法を使う前に叩けばいい。

 ……それに近くに町がある状態で、

 殺傷能力のある上級魔法を使ってはいけないんだ。

 ……単純に危険だからな」

「せやろうな」

「おおい!

 終わったぞ!」

「……あっ……

 す、すまん!

 一人でやらしてもうたわ!」

「ハッハッハ!

 構わないさ!」

「……ありがとう。

 では、寝ようか」

「メリ!」


 そして、俺達は円になって寝始める。

 エアリーは俺に近寄って抱きしめて欲しいとねだる。


「はいよ」

「メリ!」


 見上げると、星空が輝いて綺麗だった。


「おお!」

「メリ〜!」

「……綺麗」

「……そうだな」

「旅の醍醐味だな!」

「……ベンガスの言う通りだ」


 この光景は元の世界では滅多に見られないだろう。

 元の世界では電気などがあるから、

 星の輝きは見えにくくなっている。

 緑が多い田舎とかでないといけないのだ。


 そう考えると異世界転移して良かったと思える。


「……《シャイン》」

「メリ!」


 すると、サイレンは手のひらから光球を出した。

 その光はまるで星になろうとぷかぷかと浮かび、

 そして、シャボン玉のように弾けて消えてしまった。


 エアリーは嬉しそうに手を伸ばして光を掴もうとする。


「……リアー、好きな魔法ってあるか?」

「メリ?」

「好きな魔法ですか?

 ……そうですね。

 ……《ヒール》です」


 リアーは懐かしそうに目を細めた。


「……ヒールは私が初めて使った回復魔法です。

 ……よく友達など他の子の怪我を治したのですよ。

 牧場の魔獣にも使いました」

「……そうか。

 ……やはり、初めて使った魔法は感慨深いよな」

「サイレン様は?」

「……私は《シャイン》だ」

「シャイン。

 サイレン様ならてっきりシャイニング・バーニングかと思いましたが」

「……確かにシャイニング・バーニングは思い出深い魔法だ。

 仲間を守るために鍛え続けた。

 ……だが、やはり、シャインが私にとっては一番なんだ」

「そうなのですか」

「……練人に教えたから言うが……

 ……私が初めて魔法を使ったのは四歳なんだ」

「よ、四歳!?」

「本当なのか、練人殿!?」

「メリ?」

「俺も聞いて驚いたんやけど、ほんまらしいで」


 やはり、凄いよな。

 俺が四歳の頃はまだ遊んでいたり、

 特撮を見たものだ。


 その時にサイレンはすでに魔法を使えていた。


「……両親からも驚かれたさ。

 ちなみに、他の原初魔法もすぐに使えるようになった」

「で、ですよね……

 シャインが使えるってことは他の原初魔法を使えるってことですし」

「……あの時の光をよく覚えている。

 ……とても綺麗で、魔法も私に使ってもらえて嬉しいと思ってくれて……

 ……あの時から私は魔法を愛していたんだ」

「サイレン様」

「……だが、母はしばらくの間は人前で魔法を使わないように言っていた」

「まあ、人よりも早いってそれだけでも目立つし、

 人間みんなええ奴ばっかやないから、

 変な目に遭いそうやもんな」

「……ああ。

 ……母もそれを心配したのだろう。

 ……だが、私からすれば大好きなおもちゃを取り上げられた気分になって、

 少しの間なら平気だったが、自由に魔法が使えないのはやはり嫌で、

 よく泣いていた」

「サイレン様がーー」

「ーー泣く」


 リアーとベンガスが驚いたように呟く。

 まあ、確かに今のサイレンが泣き叫ぶ姿をイメージするのは、

 かなり難しいだろう。


「……当時の私は四歳だからおかしくはないだろ?」


 だが、サイレンからすればそれは心外のようで、

 すぐに俺達にツッコミを入れる。


「い、いえ、分かってはいるのですが……」

「サイレン殿が泣くところは見たことがないから、

 てっきり最初から泣いてないものばかり」

「……私はどんな風に見られていたんだ」

「ほんで、魔法が使えないサイレンはどうしたんや?」

「そんな私に見かねて母は読書を勧めてくれた……

 読書だけでない、外で遊んで動き回ることも勧めてくれた」

「そうなのですか」

「ああ……

 読書は面白かったし、動き回るのは別に嫌ではなかったからな」

「せやな。

 サイレン、オールラウンダーって感じがするわ」


 普通の魔術師はインドア派というか、

 よく読書をして知識を溜め込むし、

 サイレンも例外ではないが、

 かといってサイレンは動かないと言えばそんなことはない。

 むしろ、よく動く。


「……だが、やはり、魔法を自由に使えないのは私にとっては窮屈だった。

 授業で魔法を教えるようになった時に解禁された。

 ……私は嬉しくて、すぐに基本魔法を使った」

「……授業で魔法を教えるって、

 普通は八歳からですよね?」

「……その時にすでに基本魔法は全て使えるようになった」

「魔法の天才だな」

「……やめてくれ。

 ……私はただ魔法を愛しているだけだ。

 天才や神童という言葉は私には何も価値もない……

 不要な言葉だ……」

「そう言い切れるのはカッコええわ」

「……かっこいいのか?」

「せや。

 普通はその言葉が欲しいもんや。

 それが不要って言い切れるのは、サイレンらしいわ」

「……私らしいか。

 ……それもそうか」


 サイレンは再び星空を見上げた。


「……《シャイン》」


 再び星空に向けて光の原初魔法を使う。


「……感慨深い時にはよくシャインを使う。

 ……私の魔法が星と一緒になると思えるし、

 魔法が私を導いてくれると信じられるからな」


 そう言って、サイレンは微笑んだ。


「……すまない。

 そろそろ眠気が……」


 ベンガスが眠たそうに大きな欠伸をした。


「……そろそろ寝よう」

「ああ、おやすみ、みんな」

「おやすみなさい」


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