第97話 肉の保存方法?
「俺は小説家志望の高校生、
【静川練人】!
二月二十八日に、
惑星直列を撮るために出かけて行って、
星を見とった。
星を見る時に、
星から眩い光が発した。
余りの光の強さに、
目が眩み俺は目を閉じてしまったんや。
光が収まり、
目を開いたら……
ファンタジーの世界に来ていたんや!
今いる世界が元の世界やあらへんと知った俺は、
金がなくなり道具も変化、
あるいは消滅したことにも気づいた。
冒険者登録の時【練人】と名乗り、
元の世界に帰る方法、
そして生きる手段を手に入れるために、
冒険者として戦うことにした!
俺の頼もしい仲間で協力者、
【サイレン・マジャン】!
彼女は光属性の魔術師で俺と同い年。
冒険者になって世界を旅することが夢で、
俺とパーティーを組むことになった。
彼女の魔法は強く、
得意魔法は《シャイニング・バーニング》!
シャイニング・バーニングで多くの魔獣を倒して、
バリエーションも豊富!
俺達のパーティーのリーダーでもあり、
俺の正体や夢を知るただ一人の人物でもある。
俺がこの小説を書いていることを知っている、
人物でもあるんや。
俺の使い魔である、
メリボーの【エアリー】!
小学生レベルの知能を持っとり、
女性冒険者のマスコット的な存在なんや。
俺の頭に乗るのが趣味らしいで。
そして、もう一人。
イナミ地方で俺達の仲間になった守護者。
【ベンガス・アレクサンダー】。
彼は一度、ラミアに食い殺されそうになったところ、
俺の活躍で命を救われ、
仲間に加わることを決意したんや。
ハルバードを持って、
果敢に魔獣に挑むんや!
そして、俺達の新しい仲間。
【リアー・ドドタル】。
回復士で回復魔法と補助魔法が得意なんや。
さらに彼女は牧場主の娘であり、
俺達に移動手段の馬車を提供してくれたんや!
「……練人、仲間が増えただけではないだろ?」
「おっ、サイレンも参加するんか?」
「……せっかくだからな。
前の章で練人はかなり様変わりした。
……まずは剣が魔法の剣に進化した。
……加えて、新しい戦法。
まずはパワーとスピードのバランスが優れている、
《ダブル・アップ》。
戦う相手の様子見に使える身体能力アップ系だ。
続けてスピードが落ちる代わりにパワーが大幅に上がる、
《ダブル・パワード・アップ》。
練人が初めて使った魔法で、
力自慢の魔獣と戦う時に使う。
そして、パワーが落ちる代わりにスピードが大幅に上がる、
《ダブル・スピード・アップ》。
高速で移動する形態で、逃げる魔獣を追いかけたり、
攻撃を回避するために使う。
パワーダウンも武器を使えば補える。
……私としても興味深い戦法だ」
「おっ、サイレンが褒めてくれるんやったら嬉しいわ」
「……それよりもいつもの奴を早くした方がいい」
「せやな。
何故、俺が今いる世界に転移されたのかも、
他にも同じ人がいるのかも謎や。
別世界に行っても好奇心はいつも通りな冒険者!
世界を旅し尽くそう!」
「……終わったな。
……この冒頭をいつもやるのか?」
「まだまだ増えると思うで」
「……やれやれだ」
「練人殿!
準備は終わったか?」
「焚き火に使う枝持ってきました」
「メリリ!」
「お、終わったで……
って、ベンガス!
それはーー」
ベンガスはぐったりと倒れている血まみれの猪を担いでいた。
「おう!
焚き火に使う枝を拾っている間に、
襲いかかってきてな!
肉が欲しかったし、倒したぞ!」
「……【タックル・ボア】。
気性が荒く、好戦的だ。
……草食で肉も美味しいと聞く」
「こいつを料理の材料にする気だが、どうだ?」
「ええやん!
うまそうやんか!」
「では、少し待っていろ。
解体してやるからな」
「ってことは、猪肉になるんやな。
確か味噌あったよな?」
「……ああ。
……買ってある」
「買ってあるのですね」
「ほんならネギを含む野菜も切って、
水で煮ろう」
「……練人は慣れているのか?」
「メリ?」
エアリーはリアーの頭の上に乗っている。
「料理はちょいとしかしてへんけど、
野菜切るだけやしな」
「……それもそうだな」
「味噌は最後やで〜
今入れると味噌の風味とかなくなるからのぅ」
「……わかった」
「……問題は肉よな〜
簡易的な冷蔵庫とかあったっけ?」
「……あるわけない」
「せやな。
すまん」
猪一頭分は七十五人前になるが、
肉を保存するためには乾燥して干し肉にしたり、
燻製にしたりするが、
今の俺達にそういう方法を使うための機材はない。
「……確か空いとる壺あったよな?」
「ああ……」
「……よし、ベンガスに猪の背脂、ラードを大量に作る。
ほんで、猪肉を火で通す。
ドロドロのラードに肉が完全に隠れるまで注ぎ込む。
そうすれば保存できるんや」
「へぇ〜」
「こういうのはコンフィって言うんや」
「では、ベンガス様に伝えて行きますね」
「メリリ!」
リアーはベンガスの方へ向かった。
ついでにエアリーを抱きしめている。
「……にしても、小説で肉の保存とか、
肉をどうするんだで悩む話を書くことになるとはのぅ」
「……そういう小説はあるのか?」
「滅多にあらへんわ。
あるんは物語が進むために魔獣と戦ったり、
大魔王を倒すための旅やったり、
オームさんやハイプさんのような生活を送ろうとする、
スローライフやったり、料理小説やったり、
多種多様や。
今では単純に大魔王側がヤバいやのぅて、
人間側がヤバい展開が多いんや」
正直、そういう小説は書きたくない。
そういう小説を書くと気が滅入るものだ。
「……なら、今練人が書いている小説でもいいだろ?
……小説が多種多様なら、練人が書いている物語も、
その中に含まれる」
「サイレン」
「……私も別に私が最強を証明するために戦うわけでない。
……仲間と一緒に旅するために冒険者になったんだ」
「サイレンらしいわ」
「……私は運がいい。
……仲間に恵まれている。
……一緒にいて楽しいと思えている。
……馬車で旅することも、
みんなでこうしてキャンプすることも、願っていた。
……こうして叶っている。
……魔法が私を導いてくれている。
……私は幸せだ」
まるで、天気を話すようにサイレンは星を眺めながら呟いた。
「……サイレンがそう言ってくれるんやったら、嬉しいわ」
俺は野菜を切って鍋に入れながら聞いていた。
「……強くなって……
……良かった」
「練人様!
サイレン様!」
「練人殿が言ったように背脂を集めましたぞ!」
「……おう。
……ほんなら肉に火を通して、
食べるところは鍋に、
それ以外はコンフィにするで!」
そして、幾つもの焚き火をして、
鍋を煮込みながら、肉を焼く。
「うーん!
肉の香ばしい良い匂いがしてきた!」
「ほんなら、ある程度、肉を分けて、鍋に入れようや」
「おう!」
鍋に肉を入れた後で、陶器の壺に残りの肉を入れた。
「ラードもできとるか?」
「おう!
ドロドロだ!」
「ほんなら、肉が隠れるように全部入れて」
最後に壺に蓋をした。
「これでコンフィの完成や。
ギルドについたら売ってみるで」
「どのくらい売れるか楽しみだ!」
「……鍋もそろそろ良いのではないか?」
「ん?
せやな」
鍋を持って離す。
そして、味噌を混ぜる。
「できたで!
牡丹鍋や!」
牡丹鍋は昔の日本人が好んで食べており、
肉が禁止の時代で薬扱いされていた。
または山の鯨として山鯨。
「良い匂いだ」
「ほんなら皿を持って入れるで」
おたまで鍋を掬い、皿に移す。
牡丹鍋の良い匂いが漂う。
「……いただきます」
「「「いただきます」」」
そして、各々食べ始める。
「おお!
これは美味だ!」
「……確かにそうだな」
「味噌の風味も野菜に染み込んでいて美味しいです」
ベンガスは野菜は少なめで食べ、
リアーは逆に野菜を多めに食べる。
「ああ〜!
白米と一緒に食いたいわ!」
「……確かに、味噌はご飯によく合うからな」
それでも、味噌は発酵食品で大豆から作られている。
ダイエットとしては意外と有効なのだ。
この世界に雑穀ご飯があるかどうか知らない。
「メリ!」
エアリーは美味しそうにきのみを食べている。
さっきは肉の保存方法など小説に書くべきか悩んでいたが、
まあ、こういう日常も悪くないよな。




