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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師と戦士の讃歌〜 第4章 進化する剣

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第96話 さらば、北リーマハ

「待たせたな」


 そうオームさんが言ってた。


「……少し予定変える必要があったな」

「雨多かったもんな」


 あれからしばらく経って六月四日になっていた。

 今日まで天気が悪くなっており、

 北リーマハに滞在していた。


「ほんまに結構降ったよな」


 六月は梅雨の時期なのは、

 この世界でも同じだった。


「練人殿!」

「おう、もう積み終えたで!」


 天気が良くなった今、

 俺達は荷物を積み込んで出発することになった。


「でも、次の旅が馬車とは贅沢やわ〜」

「……そうだな」

「ギルド職員に聞いたんやが、

 七日までは雨降らんらしいからな」

「……これからは天気も気にしないといけないな」

「六月は雨の日が多いからな」


 この分だと、次の章は依頼を受ける回数は、

 少なくなりそうだ。

 俺達のパーティーは、基本的に雨の日は休みにするし。


「……そうだな。

 ……下手に厳しくする必要もない」


 下手に厳しくして負けて死んだら、

 それこそ意味がない。

 雨の日に学校に行くのはいいが、

 そういう日も屋内になることがある。


「……そう考えると雨の日でも働く人ってすごいよな」

「……ああ」

「うむ。

 俺の場合は踏ん張る必要があるから滑って怪我でもしたら大変だ」

「ベンガス様、馬の扱い方、覚えました?」

「ああ!

 あれからさらに時間が経ったんだ。

 もはや完璧さ!」

「それは良かったです」

「……ちなみに私はもうすぐ誕生日だ」

「……え?」

「……六月二十二日は私の誕生日だからな」

「そ、そうだったんですか!?」


 俺は知っていたから、

 実はこの数日バイトしていたなんて言えねえ。


「えっと、私はどうすればーー」

「……?

 ……馬車がプレゼントにすればいいのでは?

 ……私からすれば十分過ぎる」

「そういう訳にはいかないのですよ!

 馬車は私達パーティーの贈り物なのですから!」

「練人殿、一緒に金策頑張ろうぞ」

「お、おう。

 頑張ろうな」


 まあ、誕生日を祝う資金は増えても困らないしな。

 ただ、女性にプレゼントを贈ることも、

 誕生パーティーすら参加していないので、

 資金が集まっても何を贈ればいいのか、

 全くわからないのだ。


「……なら、私は楽しみにして待っておこう」


 サイレンは面白そうに微笑んだ。


「メリリ?」


 さっぱりしたエアリーはサイレンに抱きついた。


「……本当にスッキリしたな、エアリー」

「メリ!」


 エアリーは一日中抱きつく権利でも良さそうだな。


「君達、馬車に乗る準備はできているか?」

「あ、ああ!

 できとるで!」


 それはともかく初めて馬車に乗るのだから、

 やはり緊張してしまう。


「……私もだ。

 ……やはり、この馬車がプレゼントでも異論はない。

 ……こうして馬車に乗って冒険するのもロマンがあっていいからな」

「サイレン様」

「……こういうのっていずれ船とか乗ることになりそうなんやけど、

 どないや?」

「……船か。

 用意された船を乗ることになりそうだな」

「馬車がもったいないので、馬車も乗ることになりますが、

 そうだとそれなりに大きい船になりますよ」

「……流石に船の動かし方はわからない」

「俺もだ。

 自分達の船が欲しいなら乗組員も用意する必要があるから」

「やっぱ現実的ではないよな」


 まあ、大きい船に乗ることはなくても、

 小さい船や連絡船に乗って島を渡ることもあるだろう。

 それも冒険と考えれば悪くない。


「……むしろ、探偵小説としては悪くない導入やしな」

「……何を言っているんだ?」

「こっちの話や」

「……そうか。

 ……では乗ろうか」


 最初に入ったのはリーダーであるサイレン。

 次に俺。

 俺は前にも言ったように小説が書ける机が近くにある席に座る。


「ん?

 何や?」

「最初はぐー」

「じゃんけんぽん」


 乗る直前にリアーとベンガスがじゃんけんしていた。


「あいこでしょ!

 あいこでしょ!

 やったー!

 勝ちました!」

「くそ!

 負けた!」


 何度もあいこになった後で、

 リアーがパーを出し、ベンガスがグー。

 リアーが勝った。

 そして、意気揚々と馬車に乗り込む。


「ああ、なるほど。

 どっちが馭者になるかじゃんけんをしていたんやな」

「はい、そういうことです。

 サイレン様、道のりはどうしましょう?」

「……次の目的地は南リーマハだから、

 距離は遠くない。

 ……だが、せっかくの馬車の旅だ。

 節約したい気持ちもあるが、

 今回に限っては蛇行して一日経ってから行こうと思っている」

「まあ、せっかく馬車が手に入ったのに、

 すぐに体験が終わるのは味気なさ過ぎるわな」


 リアルタイムアタックをしている訳でもない。

 偶には時間をかけて進みたい時もある。


「……そう考えると、私達の目的地は」

「あ、ちょい待って。

 メモるわ」


 俺がいらない紙を使ってライトで書く。

 サイレンは地図を広げてある場所を赤丸した。


「……ここのキャンプ地になる」

「ああ、一回野宿するってことやな」

「ああ……

 まあ、場合によってはお風呂に入れない日が出るが、

 そこは仕方がない。

 ……臨機応変で行こう」

「……流石に簡易シャワー室とか手に入ってへんしな」


 今の状態でもデラルを大量に使ったから、

 流石に予算オーバーだ。


「……南リーマハでは資金を調達しつつ、

 さらに外で快適に過ごせるアイテムを調達。

 共有資産も今後は食糧費、馬車の維持費などに使うことにする」

「わかりました」

「よし、メモ終わったわ。

 この会議をベンガスに渡しとくで」

「ああ……」

「サイレン様、今後は馬車で出発前に、

 こういう会議をしてもよろしいのではないでしょうか?」

「……そうだな。

 今回のような誰かが抜きに進む会議はなしにする」

「ほんなら、このメモをベンガスに渡してくるわ」


 そう言って、俺は馬車の外に出た。


「ベンガス」

「む?

 どうした、練人殿?」

「今後の方針や。

 メモしといたし、地図ももらったから見といてや」

「おう、ありがとうな」

「……では、本当にお世話になりました」

「気をつけてな」

「これからも娘をよろしくお願いします」


 オームさんとハイプさんは頭を下げた。


「はい。

 お二人もお元気で!

 どうもありがとうございました!」


 そして、俺達は馬車に乗って旅に出た。

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