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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師と戦士の讃歌〜 第4章 進化する剣

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第94話 馬車生活に向けて

「……メモはあるな?」

「おう」


 今日は俺達は二人で馬車で生活するために、

 必要なものを買いに来ていた。

 エアリーはハイプさんが世話してくれている。

 何でも、そろそろ毛を刈らないといけないらしい。

 リアーも午前はハイプさんから教えてもらっている。


「確か馬車の生活で必要になってくるもんは、

 醤油や味噌、塩、砂糖のような調味料、

 小麦粉、野菜と果物、

 折りたたみ式の机や椅子、

 テント、焚き火台大小一つずつ、寝具に、

 鍋大小二つずつ、キャレッジ用の油とタール、

 人数分のナイフと皿、まな板、バケツ四つ、

 大工用品一式、ランタン……

 やったな」

「ああ……

 ……ふっ、本格的な大冒険に向けての容易だな」


 サイレンは面白そうに笑っている。

 まあ、そうだろうな。

 一種のキャンピングカー生活のようなものだ。

 宿から宿へ移る旅もいいが、

 馬車に乗っての旅もそれはそれで浪漫だ。


「……それよりも大丈夫なのか?

 ……買い揃えるために荷台を借りてはいるが」

「ベンガスもオームさんから勉強しとるから忙しいんや。

 サイレン一人やと大変やろ?」

「……それはそうだが……

 ……練人、運べるのか?」

「ここで発揮するのがアップ系や……

 ダブル・アップで引くわ。

 いざとなればダブル・パワード・アップや」


 もちろん、今使うほどアホではないが、

 重くなればすぐに使うつもりだ。


「……ダブル・パワード・アップも使うのか。

 それのために使うのは……

 いや、私が言える立場ではないな」

「せやな。

 サイレンも魚を釣るためにドローを使うし、

 似たようなものだ。


「……あ、せや。

 コーヒー粉とかココア粉とか買わへん?」

「……いいな。

 ……早朝に飲むコーヒーとココアか」

「……《ウォーター》あって良かったな」


 あれがあるから飲み水などに困ることはない。


「……では、湿気対策なども兼ねてまたあの店に行かないか?」

「あの店って、貯魔石があった店?」

「ああ……

 貯魔石のように、

 待機中の水分を吸収する『吸空水石』もある」

「……買おう。

 湿気対策や夏対策も兼ねて」

「……夏?」

「湿度が下がれば汗が蒸発して、

 その気化熱で熱が拡散するから涼しくなるんや」

「……なるほど」


 風の原初魔法ウィンドもあるし、

 この分だとクーラーの出番はなさそうだ。


「……思ったよりもこの町で出費があるな」

「その分、ええこともあるし……

 多分、普通やったらもっとかかるで」

「……それもそうだな」


 俺だってまさか馬車で旅ができるとは思ってもみなかった。


「えっと、この地図やと雑貨店からスタートで、

 家具店、武具店、魔道具店、調味料の店やな?」

「ああ……

 食材は当日でいいだろ」

「そっちの方が腐りにくいしな」


 長い旅になるのだ。

 できるだけ用意して、後悔のない旅にしたいものだ。


「……ナイフとか机はどないする?

 一応、形とか聞いてみたんやが、

 何でもええって言われたんやけど」


 人にはそれぞれ好みがあるものだ。

 あらかじめ聞いた方がいい。

 そう思って聞いてみたが、俺のセンスに任せるらしい。


「……信頼されているってことだ」

「それもそうやな」

「……そろそろだな」

「大丈夫やろうか?

 俺、テントの貼り方なんてわからへんで」

「……今言うのか。

 ……だが、そんな気はしていた。

 ……私は先輩冒険者に教えてもらったから後で教えてやろう」

「……お願いします」


 そして、サイレンと一緒に買い物をした。


「……テントはシンプルでいいな」

「せやな。

 サイレン達はキャレッジで寝るんやろ?」

「……焚き火に囲んで寝るのもいいと思うのだが……」

「……あ〜」


 そういえば、男女が同じ部屋で寝ることに気にしないタイプだった。

 それに冒険アニメで一緒に軽い寝具で寝て夜空を眺めながら、

 仲間と一緒に寝るのもそれはそれで浪漫だ。


「……リアーも巻き込んでじゃんけんかな?」

「……ふむ。

 ……私は一緒に寝る方、

 練人は男子がキャレッジを使う方、

 リアーは女子がキャレッジを使う方……

 それでどうだ?」


 数ヶ月も一緒にいたこともあって、

 サイレンは俺がどういうタイプの人間かよくわかっているようだ。

 だが、サイレンとしても外で寝たいと思う時がある。

 故にこう言う条件だろう。


「……気になったんやけど、

 先に宣告すればええんとちゃうん?」

「……そうなれば練人は女子がキャレッジを使う方にするだろ。

 結局平行線になる」

「……ご尤も」


 そう言われたら何も言えない。

 サイレンの言う通りだからだ。


「……それよりもコップは樽ジョッキ、皿は鉄製でいいな?」

「おう」


 続いて、家具店。


「……小型の机はそこまで悩むのか?」

「俺やて、早朝にええ感じに小説を書きたいからな。

 朝、外でコーヒーを飲みながら優雅に書く。

 結構ええやろ?」

「……それもそうか」


 そして、俺はかなり良い折りたたみ式の机を買った。


 続いて、武具屋。


「ナイフとかどないするん?」

「……私はこのナイフでいい」


 サイレンはシンプルなナイフを選んだ。

 リアーのナイフもサイレンが選んで、

 これはまたシンプルなナイフだ。


「俺とベンガスは、このデザインがええ奴な」

「……好きにしろ」

「すんません!

 砥石もお願いするわ!」


 この段階で荷車が重くなったから、

 ダブル・アップを使い始めた。


 次は魔道具店。

 これは買うものはあらかじめ決めてあったため、

 早く買うことができた。


 そして、調味料を売っている店。


「おお!

 兄ちゃん力持ちだね〜!」

「そりゃ、どうも」

「……コーヒーはどれがいいんだ?」

「馬車の旅をするなら、

 このコーヒーがおすすめだよ〜!

 朝を優雅に飲むのはこれが一番だ」

「……ふむ」

「そこまで違うんか」

「違うよ。

 サービスするから買ってよ」

「……試しに買おう」

「せ、せやな」


 そうして、馬車生活のために、

 使うものを買うために使ったデラルは、

 二千デラルになった。


「結構使ったな」

「……そうだな。

 ……だが、楽しみだ」

「俺も楽しみやわ」


 俺達は笑いながら、今後の旅がどのように変わるか、

 ワクワクしていた。

 どれだけ強くなっても、どれだけ変わっても、

 やはり楽しむ気持ちは大事だ。


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