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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師と戦士の讃歌〜 第4章 進化する剣

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第92話 リアーの意外な

「……コガワ以外にもあるんやな、

 テツノカメ……」


 看板には『テツノカメ:北リーマハ』と書かれている。


「……店が長く続くようにと願いを込めてつけたのが由来だな」

「……鶴千年亀万年てか?」


 実は亀は万年生きるとかではない。

 鶴も千年も生きない。

 間違えないようにな。


「……ここで俺の剣を強化するんな」

「おう!

 どのような県になるか楽しみだ!」

「練人様なら立派に扱えますよ」


 そう言われると照れてしまう。


「おう!

 お前ら冒険者だろ!

 何の用で来たんだ!」


 声を大きくして聞いてきたのはドワーフだった。


「あ、あの、俺の剣が錆びてしまったので、

 強化してくれへんか?」

「……見せてみろ」

「はい!」


 俺は錆びついてしまった剣をドワーフに見せた。


「ふむ。

 中々に使い込んでいる。

 それに何度も魔力を纏わせているな」

「ダメなんか?」

「……いや、むしろいい!

 魔力が多く纏っている剣は良い魔法の剣の材料になる」


 俺自身弱いのと、

 剣を弾く魔獣が多いからよくマジック・ウェポンを使っていたが、

 良い方向へ進んだようだ。


「……ガーゴイルの像の欠片もある。

 ……使えないか?」

「……砥石としては使えなくもないな。

 剣を綺麗に磨く時に使えば、

 より綺麗に、より魔力を纏うことができる」

「……綺麗になるんやったらお願いするわ」

「おうともさ!

 値段は千六百デラルだが持っているかい、兄ちゃん」

「持っとるで!」


 俺は景気良く千六百デラルを支払う。


「毎度あり!」

「……剣はいつできるねん?」

「そうだな。

 八日ってところだな」

「八日か。

 その間、戦闘は休みってことか」

「何!

 出来に関しては期待してくれよ!」

「それは期待しとるで!

 ほんならのぅ!」


 俺達は外に出た。


「楽しみだな!

 練人殿の新しい剣!」

「きっとかっこいい剣になりますよ」

「……浮かない顔だな」

「いや、今日まであの剣で戦ってたからのぅ。

 手元にないのは慣れへんわ」


 元の世界では剣なんか握っていなかったから、

 持つことに慣れておらず、

 慣れることに必死だった。


 けど、あの剣はオルド・ドラゴンやラミアとの戦いの時に、

 一緒に戦っていたから手元にないと喪失感が凄く、

 持っていない時よりも落ち着かない。


「練人殿にはアップ系があるのだから、

 素手でも魔獣と戦える筈さ」

「まあ、いざとなれば手足に《マジック・ウェポン》してええけどな」

「……練人の気持ちもわかる。

 ……私も魔法やこの杖が手元にないと不安に思うのは」

「サイレン」

「……何、資金に余裕はある。

 この八日間、訓練に集中しよう。

 ……練人のアップ系は練人の身体能力を上げるもの。

 ……練人が強くなれば自然とアップ系も強くなれるさ」

「せやな。

 理屈としてわかるわ」

「……それに練人は小説家だ。

 八日間が暇になることはないだろ?」

「そうだな!

 俺も節制して過ごしてみるさ!」

「練人様の小説、楽しみにしてますから」

「皆……

 おう、頑張るわ」

「それでは、宿に帰るぞ!」

「ああ」


 今日は疲れた。

 ゾンビのような魔獣が出現するし、

 その魔獣の所為で剣が錆びついたと思ったら、

 それが剣が進化する条件だったり、

 新しい剣が作るまで八日かかると言っていたしな。


「メリ!」


 宿に帰るといの一番にエアリーは俺の頭に飛びつく。


「がは!

 あははは!

 相変わらず可愛いな!

 このこの!」

「メリリ!」

「……なあ、気になったんやが」

「……ん?」

「メリボーって毛切らなくてもええの?

 もうすぐ夏やし」

「ああ……

 ならば、ギルドに預ければいい」

「ギルドで切ってくれるの?」

「……ああ。

 そして、メリボーの毛は売れる」

「まあ、それはわかるわ。

 こうフワフワしとるし、布団とかにも使えるやろ?」

「……そうだ。

 ……メリボーを飼っている家では、

 よくメリボーの毛を売っている。

 ……他にはぬいぐるみの中に入れる綿の代わり、

 布団や枕の中身もメリボーの毛が使われることもある」

「……ほぼ羊やん」


 まるで羊が小型して可愛らしくした敵のようだ。


「……他に魔獣を飼うことあるけど、どんな種類?」

「……前に戦ったコボルトが飼われることがある」

「え?

 駆除すんのに?」

「……コボルトも全体が同じではない。

 ……コボルトにはワクチンなどを接種するように、

 国から言われている。

 ……大半のコボルトはワクチンを打つ個体が多い」

「……まあ、病気にならへんって言えば打たへん理由はないわな」

「……しかし、個体によってはワクチンを信用できない個体、

 ワクチンを打つ時間があるのなら自分の欲に時間をかける。

 そもそも、犯罪者だから打つ権利はない、打てば捕まる者がいる」

「……要するにあのコボルトは、

 半ば山賊のような個体になっとるってわけか」

「……あのコボルト達は人に襲い掛かったり、

 作物を荒らしたりしているからな」

「そういう個体やなくて、きちんとワクチンとか打てばちゃうんか?」

「……かなり違う。

 ……コボルトの寿命は短いが、

 忠誠心が高く、主人から中々離れない。

 犬の特性を持っているから臭いに敏感。

 金持ちがコボルトを番犬として扱うことも多い。

 猟犬代わりにハンターがコボルトと組むこともある」

「普通の四足歩行の犬とか猫とかおるんやろ?」

「……いる」

「なるほどのぅ」

「メリ?」

「なあ、ベンガス、リアー」

「ん?」

「はい?」

「もし、魔獣を飼うんやったら何がええ?」


 前にサイレンが犬、猫、フクロウのどれかを迷っていたが、

 他の皆はどうかわからないから聞いてみた。


「そうだな……

 買いやすい【ベルマード】だな!」

「べるまーど?」

「……番犬になりやすい黒い犬だ」

「へ〜」

「あいつはデカくてカッコいいからな!

 他には買えるのならだが、馬だ!

 足が早くて最高だ!」

「……練人も馬欲しかったよな?」

「……せやな」

「……欲しいのですか?」

「そりゃあな……

 俺は小説家やし、原稿を持って旅するんや。

 やっぱ、荷物多くなるし、疲れやすいんや。

 それにこれから長い旅になる。

 徒歩もええが、やっぱ乗り物がある方が現実的やわ」


 とは言っても馬は高いだろうから中々買えない。

 加えて一体だけではなくて何体も必要になる。

 だから、馬車での生活は中々難しい。


「……できますよ」

「……せやな〜

 そう言うのは夢ーー

 ……今なんて言った?」

「だから、できますよ」

「……リアーは金持ちだったのか?」

「いえ……

 私の実家、牧場主なんですよ」

「……牧場主!?」

「はい。

 だから、お父様に頼めば馬車での移動はできますよ」

「え、ええんか?

 実家が牧場やからって」

「大丈夫ですよ。

 私の仲間ですし、命を救ってくれた御恩があります。

 何より馬達も狭い牧場よりも広い世界の方が嬉しいでしょうし」

「……マジかいな」

「……ああ、驚きだ」

「ならば、必要になってくるのは車の方だな」

「せ、せやな!

 馬数体買うよりも安くなるで!」


 いきなり馬車での旅ができると言われて、

 驚きを隠せないでいる。


「ちなみに私は犬猫牛馬鶏など好きですよ。

 可愛いもの」


 リアーはにっこりと笑った。


「……練人は?」

「俺?」

「……この中で練人だけ言っていないだろ?」

「俺か〜

 俺はせやな〜……

 カブトムシは大好きやで!」

「おお、年相応だな、練人殿」

「うっさいわ。

 カブトムシは幼虫から育てたことあんねん。

 幼虫の雌雄の見分け方は腹部分に黒いVがあるんやけど、

 あるんやったらオス、ないんやったらメスや」

「……冒険者の中にはカブトムシが好きな者もいるな」

「カブトムシはロマンやからな!」


 日本のカブトムシが一番好きだ。


「次に音が鳴る虫やな。

 音が風情があってええし」

「……確かに、家で聞くといい感じだな」

「ちっちゃい頃は飼ったこともあるねんで!

 まあ、共食いとかして大変やったんやけどな」

「メリ?」

「エアリーも好きやで」

「メリ!」

「んで、リアーの家にお願いしに行けばええの?」

「はい。

 でも、今日は遅いので明日にしましょう」

「了解や」

「いや〜楽しみですね、練人殿!」

「せやな〜!」

「……気持ちはわからなくもない」


 俺は次の章から馬車での旅になると思い、

 ワクワクしながら明日を待った。

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