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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師と戦士の讃歌〜 第3章 練人、新たなる力

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83/103

第83話 報酬獲得

「……ダメだ。

 《ライト》すら使えない」

「……《ダブル・パワード・アップ》という、

 無茶をしたからな。

 慣れないことはそうなる」

「……サイレンはしないんか?」

「……やろうと思っていなかったからな」

「そうなんか?」

「サイレン殿は一度のパワーアップで十分だからな!」

「確認終わりました。

 まさか、ミノタウロスが二体いたなんて……

 こちらの調査不足です。

 申し訳ございません」


 そう言って受付嬢は頭を下げる。


「……構わない。

 お陰で仲間も強くなった……

 悪いことばかりではないさ」

「ありがとうございます。

 こちら成功報酬五千デラル、

 そして、ミノタウロス二体討伐したため、

 六千デラル、合計一万千デラルです」

「……一人ずつ二千五百デラル、

 千デラルは共有資産で構わないか?」

「構わへんで」

「俺としても十分だ!」

「そうですね」

「……そういうわけだ。

 二千五百デラル四回お願いする」

「かしこまりました。

 少々お待ちください」


 今回はミノタウロスというヤバい敵だからか、

 報酬も桁違いに高くなっている。


「こちら報酬になります。

 千デラルはそのままで構いませんか?」

「……構わない」

「ほんやったら千五百デラルを貯金するわ」

「かしこまりました。

 カードの提出お願いします」

「練人様、きちんと貯金してますね」

「まあのぅ」


 お金を使わないのも問題だが、

 お金を後先考えず使いまくるのもそれはそれで問題だ。


「真面目なんですね」

「千デラルでも十分やからな」

「俺はこれでまた美味い酒を飲むぞ」

「ベンガス、金の使い方派手やからな」

「美味いものと美味い酒を飲んでいるだけさ」


 ベンガスは肉料理、酒、コーラによくお金を使う。

 ステーキのような料理は百デラルを使うこともある。

 要するに一万の肉を食べているようなものだ。


「……リアーは野菜料理と薬草だな。

 ……まさか調薬に必要な道具を、

 持ち歩いているとは思わなかった」

「え?

 調薬するん?」

「大丈夫です、サイレン様のお母様……

 カレン様には遠く及びません」


 何だろう。

 リアーさんがサイレンの故郷に行って、

 カレンさんに会ったら別れのフラグになりそうなのは……


「どないな薬を作ってるん?」

「基本的な回復ポーションです」

「……私の母もポーションの腕を磨きたいのなら、

 回復ポーションを怠るなと言っていた」

「前に回復ポーション飲んだんやけど、

 青汁みたいな味やったわ」


 サイレンが前に俺が熱を出した時に渡してくれた薬は、

 エナジードリンクのような味だった。


「ほぅ。

 今日は俺も攻撃を受けたからな。

 一つくれないか」

「はい。

 こちらになります。

 明日には効果が出ますから、

 良ければ経過など確認させてくださいね」

「おう!」


 そして、リアーから渡された回復ポーションを飲む。


「大丈夫かいな」

「大丈夫だ。

 少なくともラミアの時のポーションよりマシだ」


 むしろ、あの時、飲んだポーションで危うく殺されかけたのに、

 トラウマになっておらず、

 平気で飲むのは凄いと言った方がいいのだろうか。


「さ、さよか」

「……大丈夫か?」

「筋肉痛と似たような痛みがあるわ」


 肉体強化魔法の後はこう言った感じで、

 使った後は痛くなるのだろうか。


「……慣れていない魔力の使い方の弊害だろう。

 ……私は味わったことはないが、

 使い続ければ体が慣れ始める」

「それやとええがな」

「……とりあえずは明日は休みを取る。

 それでいいか?」

「構わないぞ!

 今回は報酬たんまり入っているからな」

「私の回復ポーションを飲んだのですから、

 一度は経過観察はさせてもらいますよ」

「おう!」


 ただ、体内に魔力を流して強化する方法は覚えた。

 次からはスピード・アップも試してみよう。


 別々の魔法はできないだろうか。

 例えばパワード・アップとスピード・アップを同時使用とか。

 試してみよう。


「……下手したら今回から依頼を達成したら、

 次の日は休みになるかも知れないな」


 サイレンはしょうがないなと言わんばかりに息を吐いた。


「そうなるかもな」

「……慣れていないやり方に慣れるのは、

 普通はそれだけ時間がかかる。

 まあ、できないと思い込むよりは建設的だな」

「そりゃ、どうも。

 ……これって、体だけ?

 魔力一つも使ったらあかんとか?」

「……肉体だけだ。

 少なくとも《ライト》だけなら一日中使っても大丈夫だ」

「そりゃ良かったわ」


 流石に使えなかったら困る。


「それにしてもサイレン殿は凄いな!

 ミノタウロス相手に一人で倒すとはな」

「……シャイニング・イリュージョン付きだ。

 私と同等だから強いと言えばそうだな」

「せやな。

 俺のダブル・パワード・アップとベンガスがいて、

 倒したんやがな……

 もしかして、ダブル・パワード・アップをした俺相手に、

 サイレンは勝てるん?」

「……勝てないとは言わないさ」


 サイレンは腰に手を当てて、

 自信満々に答えて見せた。


「言わんのかい」


 こう言ってなんだが、

 サイレンの戦いぶりを見るに、

 そう言い切れるだけの説得力はある。


「だが、確かにサイレン殿の戦いを見るに不思議ではないぞ」

「そうですね。

 私達も精進しませんと!」

「サイレン殿の戦いは基本を徹底的に鍛え上げた、

 熟練冒険者のようなものさ!

 そう簡単に追い越せないぞ」

「……確かに、私は冒険者にとって基本的なことを、

 徹底的に鍛え上げた。

 基礎を疎かにする気はないのでな」

「まあ、話はこのくらいにして、

 今日のご飯を食べに行こうではないか!」

「……せやな。

 俺も肉を食いたい気分やわ!」

「練人殿もステーキか!」

「ご飯付きで」

「……ご飯好きなのは変わらないな、練人」

「いえ、サイレン様も結構変わりませんよ。

 今日も魚料理ですよね?」

「……?

 いや、今日はレバニラとほうれん草の料理だ」

「そ、そうなんですか」

「……リアーは今日も野菜か?」

「は、はい。

 冷しゃぶです」

「冷しゃぶか。

 野菜と豚肉か。

 ええな」

「はい。

 いいでしょう」

「そういえば、少しずつ暑くなってきたよな?」


 だが、暑いと言っても、

 現代の日本よりもマシなレベルだ。

 温暖化現象は起きていないからだろう。


「そろそろ夏服を用意しますか?」

「……まだ早い。

 ……今の衣装でも平気だからな。

 ……六月で確認しよう」

「……冒険者も夏服仕様とかあるんやな」

「……あるぞ。

 リシアは特別性だがな」

「あれは毎年夏服仕様やろ」


 いや、あれはビキニだからそれ以上だ。


「リシア殿の服……

 あれはあれで眼福だった」

「どのような衣装でしょうか?

 私、リシア様に会ったことないので」

「簡単に言えばビキニやな……

 魔術師らしい衣装をさらに露出化したというか」

「胸も大きいから揺れる揺れる」

「……ベンガス様……

 鼻の下伸びてます」

「……練人を見習った方がいいだろ」

「と言いますと?」

「……練人はリシアと模擬戦をしたことがあるが、

 他の男性冒険者のように鼻の下伸びることはなかった」

「いやいや。

 鼻を伸ばす暇なかったんやからな。

 予想外の格上との戦いやで?

 サイレンと同等なんやで?

 そんな隙を晒したら瞬殺やで?」


 実際、まともに戦っても、

 当時の俺ではひっくり返っても勝てなかった。

 リシアが俺を侮らないようにしたのも結果に響いた。


「練人殿は女性の色香に強いからな。

 一人だけラミアの色香が効かなかっただけではなく、

 効いたフリして奇襲したりな」

「あれは見え見えやったからな。

 探偵小説書いとるんや、なめるな」


 普通に考えればおかしい要素しかなかった。


「……まあ、あの時はベンガス達がメロメロ状態やから。

 わざわざ俺がせんでも大丈夫やったのもあるが」

「あの時、俺達がいなかったら?」

「そりゃ、わー綺麗なお姉さんとメロメロのフリして、

 本性を表して襲い掛かったと同時に不意打ちや」

「……ふむ、練人らしいな」

「俺を襲うと思って騙したんやから、

 不意打ちを覚悟せいっと言うわ。

 俺、女性相手に攻撃できひん紳士でもあらへんしな」

「……ふっ、練人らしい」

「……でも、練人様にも例外はありますよね」

「だな」


 そうベンガスとリアーはコソコソと話し合った。

 何を考えているのか、見え見えだな。

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