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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師と戦士の讃歌〜 第2章 草原と伝統の町 北リーマハ

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第79話 北リーマハ探索

「……なあ、ほんまにやるんか?」

「……ん?

 私はいいと思ったが、何か問題あるのか?

 少なくとも私はやるつもりだが……」

「俺もやるぞ!

 面白そうだ!」

「わ、私も……」

「んまあ、みんながええんやったら俺もええが」


 今日は昨日言った通り、

 俺の冒険者カードのサブ解放するまで、

 休むことになった。


 だが、何が問題なのかというと、

 今、俺達が来ている格好が問題なのである。

 と言うのも……


挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)

挿絵(By みてみん)


 全員、私服で行くのではなくて、

 巫女服と着物を着ているのだ。

 確かに北リーマハの衣装は昔の日本のようなものだが、

 これは流石に予想外ではある。


「ほんまにするもんな〜」


 こういうのは日本ではコスプレのようなもので、

 着ても不自然ではない初詣、

 成人式くらいしか着る機会はない。


「……練人は嫌だったのか?」

「嫌やないけど、ちょいと恥ずいな」


 でも、言葉としては、

 他人の目を気にして自分のスタイルを決めるのは、

 アホがやることらしい。

 加えて、心理学的にも、

 意外と他人は相手の服をよく見ていないらしい。


「……私は平気だな。

 それよりも行こう」

「……せやな」


 俺もみんなの後をついて行く。


「ほんで、どこに行くねん?」

「……アテはない。

 ブラブラと歩くからな」

「さ、さよか」


 とは言っても俺も何か意見があるわけではない。

 北リーマハもイナミのように田んぼがあり、畑もある。

 農作物が主であり、住民もどこかのんびりである。


「神社や寺は多い印象あるんやが、

 それでも農作物多いわ」

「……食料は大事だからな。

 冒険者にならない者は、

 生産者になる者が多いんだ」

「へ〜」

「……もちろん、大多数は、

 冒険者で戦闘などの経験を積んでから、

 生産者になる者も多い。

 冒険者時代で稼いだ資金を元に、

 事業を広げる者もいる」

「大地主のようなもんか。

 大地主が指示して下の者に報酬を与えるとか」

「ああ……

 だが、それは戦える者で、

 戦うのが怖くない者に限る。

 ヒトは何もそのような者ばかりではない。

 冒険者にならずにそのまま農家などになる者も一定数いる」

「へ〜」

「……私の母も冒険者になって、見聞を広げて、

 ポーションや薬草などの薬の知識を溜めてから、

 ポーション屋を開いたんだ」

「本当に偉大ですよね、カレン様……

 私もカレン様の美容液愛用者なんですよ。

 何というかお肌に合うんですよ。

 サイレン様も使っていたのは驚きですが」

「……私のは最早習慣だな。

 寝る前に使わない方が気になってしょうがない」

「わかります」


 本当に大人気だな、サイレンのお母さんの美容液。


「そんな凄い人やったら、

 弟子とか他の職員おるんとちゃうん?」

「……いるな。

 私の同級生にも私の母の弟子になった人はいる」

「ま、マジか」

「……私の同級生のように、

 心から師匠だと思った相手に弟子入りして、

 冒険者にならずに技術を吸収、

 就職する者も多い」


 宮大工のようなものか。


「創業百年とかの仕事場ってあるんかいな?」

「……ギルドが代表例だな」

「あ、ギルドも創業百年越えなんか」

「……ギルド専属の冒険者で信頼あるのなら、

 資料を閲覧することもできるし、

 ギルド職員になれば好きに閲覧できる。

 ギルドに弓を引かない忠誠心は必要になるがな」

「そうなんか」

「練人殿、サイレン殿。

 考察とか難しい話もそろそろ終わりにして、

 進もうではないか」

「ああ、悪い」


 こういう話は面白いから、

 指摘されないとずっと話し続けてしまう。


「……にしても雰囲気はええな」


 そう言ってカメラで写真を撮る。


「練人様って写真を撮るのも好きなのですか?」

「小説家やからな、記憶しておきたい時に便利なんや。

 それに写真を撮るのは嫌いやないわ。

 思い出を保存したいしな」


 カメラも高かったから大事にするよりも、

 どうせ使うのなら高いものをで使いたいという気持ちもある。


「確かに練人殿のカメラはクールだな!」

「そりゃ、どうも」


 買ったものを褒められるのは悪い気はしない。


「……練人はよくカメラを持ち歩いているからな」

「そういえば、サイレン様は杖を置いてきたのですか?」

「……いや、私の杖はここにある」


 そう言ってサイレンは懐から杖を取り出した。


「あれ?

 小さくない?」


 サイレンの杖、

 サイレン・ロッドはサイレンの足の長さとほぼ同じだ。

 だが、今、サイレンが持っている杖のサイズは小さく、

 ボールペンと変わらない大きさになっている。


「……これは《スモール》。

 生物には使えず、武具も二つしか使えないが、

 対象物の大きさを、

 手のひらサイズに変えることができる生活魔法だ」

「へ〜

 武具は、ってことはそうじゃないものは使えるん?」

「……使えるが、魔力を使うからな。

 普通は《ストア》を使うんだ。

 すぐに取り出したもので使うのがスモール」

「へ〜」


 まるで、ストアが某ポケットで、

 スモールは小さくなれるライトの下位互換だ。


「ほんで、どうやったら元の大きさに戻れるねん?」

「……スモールを使えば対象物に凹凸が付く。

 その凹凸を押せば元に戻る。

 このようにな」


 サイレンがそう言って凹凸を押した。

 すると、強い発光と共に杖は元の大きさに戻った。


「お〜」

「……《スモール》」


 サイレンはすぐに杖を小さくして懐にしまった。


「……私は魔術師だからな。

 最低でも杖は持ち歩いておきたい。

 ……私に合う杖だから持っておきたいというのもあるがな」

「流石だな、サイレン殿」

「リアーさんは使わんの?」

「使っていないとは言ってませんよ」


 そう言ってリアーも懐から杖をチラッと見せた。


「……今日は休みで冒険者としての格好する必要はないからな」

「そうなんか」


 俺も魔法は使えるし、

 いずれは生活魔法を使えるだろうな。


「とりあえず、

 あの五重塔を目指してもええんとちゃうん?」

「そうですね、あそこには近くに広場もありますし、

 近くに小さい川も流れていますから、

 ぴったりだと思いますよ」

「ほな、行こうか」


 俺達は徒歩で五重塔へ向かって行った。


 五重塔の近くの公園には小さい子どもが遊具を使って遊んでいる。

 近くには引率の先生もいる。

 子ども達は楽しそうに遊んでいる。


「風気持ちいいな!」

「そうですね」

「おお、ええ景色や」


 俺はパシャパシャと写真を撮り始める。

 まずは近くの五重塔である。


「……ふ」


 サイレンは遠くにいる子ども達を眺める。

 その目は可愛らしい子どもを見ているのではなく、

 どこか懐かしそうに見えるのは気のせいだろうか。


「どないしたん、サイレン?」

「いや……

 少し懐かしくてな」

「懐かしい?」

「……故郷の公園で子どもに魔法を披露したことがあってな。

 ……危険ではない……

 そうだな、演舞のようなものだ……

 披露したことがある」

「魔法演舞……」

「……これでも人気はあったぞ。

 ……私にとっては魔法の練習だが、

 それでも子ども達は喜んでくれた」

「サイレン様の演舞ですか……

 見てみたいですね」

「確かにな!

 ギルドで見せてくれないか?」


 ベンガスの意見にサイレンは腕を組んで考えた。


「……子どもも観るのならばいずれな」


 そう言ってサイレンは微笑む。


「意外とサイレン面倒見ええからな。

 子ども達も喜んだんやろうな」

「……私の魔法で魔法に興味持ってくれる子もいたな。

 ……魔法を愛している私からすれば光栄なことだ」

「へ〜」

「……まあ、その時は練人も手伝ってもらうぞ」

「俺も?」

「ああ……

 原初魔法使えるのなら私にとっては十分だ」

「……まあ、俺舞台に立ったこともあるし、

 人に見られるのは慣れとるけどな」


 こう見えても俺は中学は演劇部だ。

 演技の練習はしていたし、

 演劇のためにトレーニングをしたこともある。


「……それは心強い。

 セリフはいらない。

 魔法を使うだけでも助かる」

「練人殿とサイレン殿の共闘か!

 久しぶりに見れそうだ」


 確かに今は四人パーティーだが、

 サイレンと一緒の二人パーティーの方が今は期間が長い。

 サイレンのやりたいことが全部わかるわけではないが、

 それでも大丈夫だと思える。


「……まあ、子ども達に見せるのはまだ未定だ。

 首長くして待っていて欲しい」


 そう言ってサイレンはクールに微笑んだ。

挿絵(By みてみん)

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