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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師と戦士の讃歌〜 第2章 草原と伝統の町 北リーマハ

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第77話 ギルド職員達の実力

「これより、ギルドが率いる、

 コボルト掃討作戦を開始する。

 これ以上、コボルトを放置すれば、

 必ずやこの村に被害が拡大するだろう。


 もし、コボルトが可哀想など考えている者や、

 戦うのが怖い者、殺すのは嫌な者、

 捕獲でいいのではないのかと考えている者がいるのならば、

 速やかに引き返すことをお勧めする」


 上位にいるギルド職員の上司が、

 冷徹な言葉で演説をする。


「我々が倒すコボルトはすでに多くの家畜に手を出している。

 加えてワクチンすらせずに、

 コボルトの体内には病原菌が大量に存在する。

 甘いことを考えている者では、

 すぐにコボルトによって殺されるだろう。


 我々の目的はこの村に被害を出さずに救うこと!

 今日はこのことを胸に秘めて当たって欲しい!

 ……諸君、時間だ。

 今宵は我々の戦いも存分と見ろ!

 そして、糧にしろ!」

「おお〜!」


 上司のギルド職員の号令と共に、

 他のギルド職員や冒険者が雄叫びを上げる。


「すごい熱気やな」

「……ああ」

「サイレン、どないするん?

 こんだけ人がおるんやったら、

 シャイニング・バーニングシリーズは使いにくいやろ?」

「……この状況を想定して鍛えているから大丈夫だ」

「やあ!

 君達も参加者?」


 すると、エルフ耳の男性剣士が声をかけてきた。


「え?

 あ、はい。

 俺は練人と言うんや」

「ベンガスだ」

「……パーティーのリーダーのサイレン・マジャンだ」

「僕はエルフ族の戦士【ルフ】。

 よろしくね」


 エルフだけあって爽やかイケメンだ。


「あら、ルフじゃない」

「リアー?

 君も参加するのかい?」

「知り合いなんか、リアー?」

「は、はい。

 小さい頃の同級生です」

「……同級生か」

「リアーはどこかのパーティーに入ったって聞いたけど、

 彼らだったんだ」

「どこかってことは今まで知らんかったんか?」

「あ、あはは。

 僕らのパーティーも四人で、

 いつも依頼を受けていたからね」

「要するに巡り合わせが悪かったってことか。

 他のメンバーは?」

「おーい」


 ルフが呼ぶと他のメンバーがやってきた。


「同じエルフ族で僕の彼女のーー」

「……私の名前は【ホーリー】と申します。

 光属性の回復士です」


 ホーリーは清楚なイメージのエルフ族で、

 緑髪の美人だ。


「……私と同じ光属性か」

「同じってことはアナタも?」

「ああ……

 光属性の魔術師だ」


 ホーリーとサイレンは握手を交わした。


「そして、彼女は【アーリー】。

 妖精族で盗賊なんだ」

「やっほー!

 あたいはアーリー!

 よろしくね!」

(ネコ……)


 アーリーの衣装はどう考えてもネコで、

 日常でもネコと戯れていそう。


「そして、彼は【メーター】。

 僕と同じ戦士なんだけど、拳で戦うんだ」

「要するに拳闘士なんか」

「よろしく頼む」

「……む、そろそろか」

「そうだね、じゃ、また」


 ギルド職員達が移動し始める。


「この山だ。

 この山一帯が奴らの生息圏となり、

 巣窟になってしまっている。

 今では下手に山に近づけば、

 生きては帰ってこれないとまで言われている。

 通りかかる行商人の被害もあることも判明した」

「……では、冒険者はパーティーごとに、

 ギルド職員達と行動を共にしてください」

「健闘を祈る」


 俺達は山に入り、コボルトを探しに入る。


「……《グランド・ライフル》」


 一人の職員が黙々と杖を取り出して、

 樹木の上を岩石の貫通弾を放った。

 そこにいたのは見張り役のコボルトで、

 頭部を撃ち抜かれたコボルトは、

 樹木から落ちて倒れる。


「……カタリーナ。

 他に魔獣はいるのか?」

「いいえ。

 見張りの魔獣はもういません」

「わかった。

 サーチを続けろ」

「……サーチって?」

「サーチというのは私達回復士がいずれ覚えるもので、

 杖を中心に魔法陣を展開して、

 敵意に反応するのです。

 精度の良い人なら、すぐに魔獣を見つけることができて、

 安全地帯かそうではないかの判断しやすいのですよ」

「サーチ能力か」

「……回復魔法が人体に影響を与えるには時間がかかりますからね。

 邪魔されないかどうかの確認は必要になるのですよ」

「へ〜」

「……《シャイニング・バレット》」


 すると、サイレンが何も言わずに森の中に、

 光の弾丸を放つ。

 サイレンのシャイニング・バレットは、

 コボルトを貫き倒した。


「……練人、リアーに聞きたいことは後に回せ。

 もうここはコボルトの巣窟だ。

 話し込むのはやめた方がいい‘

「……って言っても」

「《フロッド・ショット》!」

「《ブラスト・ライフル》!」


 ギルド職員がそれぞれ魔法を使って、

 コボルトを駆除する。

 それはまるで狩りのようだった。

 迫力も違っており、

 熟練者だということがわかる。


 こうして見ると、魔法はまるで銃火器のようで、

 魔法を使っていない人はほとんどいない。

 ハンターそのものだ。


「確かギルド職員になるにはランクDからなんやろ?」

「ああ……

 彼らは戦闘部隊でもあるからな」


 低いランクでも強い人はいくらでもいる。

 そんな彼らがギルド職員になればどうなるか。

 それが今見ている光景だ。


「聞いた話だと、ゴブリンの時はさらに苛烈だぞ」

「ゴブリンは酷い場合は女性にも被害が出ますし、

 村なども占拠されることもありますもんね」

「せやろうな」

「だから、少しでも被害が出て、

 冒険者が受けない場合はギルド職員が受けて、

 今日みたいに一掃するんだ。

 彼らならたかがゴブリン倒せない筈はないからな」


 どの作品でもゴブリンの被害は酷い。

 その被害が少なくなるのはいいことだろう。


「おっ」


 ギルド職員やサイレンなどの魔術師の攻撃を回避して、

 俺達に向かってくるコボルト達がいる。


「はっ!」


 そのコボルトの攻撃を剣で受け流してすぐに倒す。


「せい!」


 だが、ギルド職員は俺よりも早く。

 一度に二体のコボルトを倒している。


「おりゃあああ!」

「危ねえぞ!」


 ギルド職員の迫力は凄まじく、

 無数のコボルト達を言葉通り一掃する。


「……すげ」


 数体倒せたものの、俺は呆然と見るしかなかった。


「ふんぬ!」


 ベンガスはまとめて倒しているものの、

 それでもギルド職員の方が力の使い方がうまく、

 ベンガス以上に多くのコボルトを倒す。


「ほ、ほんま凄いわ」


 最初は結構倒せて稼げると思えたが、

 実際はサイレンが中心でないと、

 本当におこぼれ程度。


 ほとんどのコボルトはギルド職員が駆除した。

 冒険者達も少ないが、その理由がよくわかる。

 むしろ、ギルドの実力を見るために参加しているようにも見える。


「ふむふむ」


 リアーもサーチを使ったギルド職員を見て、

 学ぼうとしている。


「……そういうことなら」


 俺もある程度倒せた時点で、

 剣を納めて、ギルド職員の戦いを見る。

 こういう機会は恐らく多くないだろう。


(……マリナさんのようなギルド職員を警察のように、

 書いとるが……

 あながち間違ってあらへんな。

 てか、冷静に考えたら戦闘を一年も満たずに戦っている人よりも、

 訓練をし続けたギルド職員の方が強いのは当たり前よな)


 そして、もし、冒険者が受けていたら、

 多くのコボルトを倒した討伐報酬など受け取れるだろうが、

 冒険者にも被害は出る。

 だが、ギルド職員が戦うので、

 戦う数は少なくていいが、ほとんどの報酬金は、

 ギルド職員が受け取ることになるだろう。


「火属性の人少ないと思うんやが……」

「戦う場所は山だからな。

 この大乱闘状態で火属性を使えば山火事になりやすい。

 だから、火属性の人は少ないのだろう」

「……せやな」


 火属性の人がいても調節して、

 まるで火縄銃のようにコボルトを狙撃する人がほとんどだ。


「……《シャイニング・バレット》」

「……お前、筋がいいな。

 ギルド職員になる気はあるか?」

「……今は仲間と一緒に旅をしておきたい。

 魔法を自由に使える状況も好きだ」

「……そうか。

 だが、その気があれば、いつでも転職するといい。

 推薦しておこう」

「……選択肢の一つとして考えておく」


 何かさらりとサイレンがギルド職員に勧誘されたのだが。


「サイレンも凄いわ」

「おう。

 ギルド職員から勧誘されることは、

 相当優秀でない限りない筈なんだが……」

「……こっちの区域は終了だな」

「……少し待ってください。

 《フロッド・テレパシー》……

 こちらの区域に潜むコボルトを殲滅しました。

 そちらは?」


 女性ギルド職員がいきなり、

 まるで電話するように他のギルド職員に報告していた。


「……テレパシーってことは、

 遠くの相手と連絡を取るってことかいな?」

「はい、そうですよ。

 ただ、テレパシーは習得が難しくて、

 誰でも使えるわけではなくて、

 テレパシーが使えるもの同士で。

 繋げないといけませんけどね」


 なんてこったい。

 それでは、いずれ、魔法式電話が出るのではなかろうか。


「……そうですか。

 他の区域のコボルトも掃討完了しました」

「ふむ……

 これより、コボルト掃討作戦を終了する。

 倒したコボルトの数はこちらで数えておいた。

 ギルドに戻り次第受け取るように!」


 山の中で掃討すると聞いたから、

 時間はかかるだろうと思っていたが、

 予想に反してすぐに終わっていた。


 それはそうだろう。

 サイレン並みに強い人が集団で殲滅していたら、

 すぐに終わるのも当然だった。


「……終わったな」

「せ、せやな。

 サイレンもやが、ギルド職員達、

 凄い勢いやったわ」

「……ああ。

 私の言った通り、黙っておいて良かっただろ?」

「せやな。

 俺の小説の描写もあながち間違いやあらへんと思えたわ」

「……そうだな。

 しかも、今回コボルトはGランク相当の魔獣だからな。

 ギルド職員もまだまだ力を温存している」

「せやろうな」


 あくまで今回は増え過ぎて、

 病原菌の元になりやすい魔獣を駆除したようなものだ。

 脅威になるのはコボルトだけじゃない。


 コボルト以上に強い魔獣はいるだろうから、

 そいつらと対抗できる強い人達がまだまだいるのも確かだ。


「……帰ろうか。

 最初に受けていた依頼の分も合わされれば、

 今日の報酬金は期待できる」

「さよか」

「なら、今日も酒飲んでいいよな?」

「……ほどほどにしておけよ。

 飲み過ぎて二日酔いになったら私も困る」


 そして、俺達は笑い合いながら、

 この森を後にした。


 退治したコボルト達は、

 ギルド職員達が回収している。

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