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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師と戦士の讃歌〜 第2章 草原と伝統の町 北リーマハ

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第75話 レッサー・ドラゴン

「この辺りです」


 湖まで距離があったため、

 今回は馬車に乗って体力を温存しながら向かった。


「ありがとうございます」

「ご武運を」

「おう!」

「……私はこの場で待機します」

「……ああ、わかった」


 そう言って、サイレンは湖まで向かった。

 俺達もついて行く。


「……どこにおるんやろうな?

 レッサー・ドラゴン」

「……すぐに会えるだろう」

「……何でそうやと言い切れるんや?」

「……練人の防具、オルド・ドラゴンの防具だ。

 つまり、別のドラゴンの臭いまで漂うのだ。

 そして、人間の臭いも出ている。

 気性の荒いドラゴンなら釣れない筈はない」

「ああ、そう言うことかいな。

 ほんなら、ジッとするのも手か?」

「……かもな。

 ……あるいは、この湖の魚でも取るか?」

「釣り道具あらへんで」

「……《ドロー》で代用すればいい。

 ……私がやろうか?」

「さ、サイレン様はドローで釣りをするのですか?」

「……跳ねた時に大きさも考えないといけないから、

 意外と難しいーー

 ……《ドロー》」


 リアーと話をしながら、

 サイレンはいつも通りにドローで、

 湖を跳ねた魚を釣り上げた。


「……小さいな」

「ああ……

 恐らく湖の魚は大きくなれば、

 レッサー・ドラゴンが食いに来るのだろう」

「……レッサー・ドラゴンより強い魔獣は、

 おらんってことかいな?」

「……少なくとも湖の中には、だな」


 そう言って、サイレンは魚を湖に返した。


「グルルル!」

「ん?」


 すると、湖の中からドラゴンらしき存在が、

 ズシン、ズシン

 と湖から出てきた。


「……《シャイニング・ライフル》」


 サイレンは真っ先に光の貫通弾で、

 ドラゴンを攻撃する。


「グルアアア!」


 サイレンの光の貫通弾によって、

 ドラゴンの肩あたりに血が噴き出る。


「……どうやら、鱗の頑丈さは、

 オルド・ドラゴン以下ってことか」


 それでも、ドラゴンは湖から出て、

 血と共に湖の水を垂らしながら、

 俺達を睨みつけている。


 レッサー・ドラゴンだけあって、

 翼はなく、四つ足で動いている。


 サイレンの言う通りなのか、

 ドラゴンの鎧を着ている俺を睨んでいる。

 威嚇する咆哮をあげている。


「《ダブル・マジック・ウェポン》」

「え?

 ダブル?」


 一気に魔力を流し、

 剣に魔力を付与する。

 一回付与しただけでは多分通じない。

 なら、最初から二回重ねがけをした方がいい。

 少し、魔力を流す量が多いから、

 その分だけ大変だけど、

 それでも一々かけてからさらにかけるよりも早い。


 レッサー・ドラゴンの大きさも、

 オルド・ドラゴンの時よりも大きくはなく、‘

 大体自動車と同じ大きさくらいだろう。


「行くぞ、練人殿!」

「おう!」


 俺とベンガスはそれぞれ武器を構えて、

 レッサー・ドラゴンと向き合う。


「グルアアアア!」

「おっと!」


 レッサー・ドラゴンは、

 真っ先に俺に噛み付いてきた。

 だが、単調な攻撃のために、

 避けることに関してはそう難しくない。


「せい!

 えいや!」


 避けたと同時に俺は、

 何回も剣でドラゴンの首を切り付ける。

 ついでにと蹴り上げる。


「おっと!」


 それでも執拗に俺を攻撃するレッサー・ドラゴン。

 それだけ他のドラゴンの臭いが嫌なのだろう。


「……俺に気を向け過ぎや!

 ベンガス!」

「おう!

 オラアアア!」

「ガアアア!」


 ベンガスがハルバードを力任せに振り回し、

 レッサー・ドラゴンの尻尾を、

 容易く切り落とした。


「……《シャイニング・ショット》」


 尻尾を切り落とされて、

 倒れているレッサー・ドラゴンに対して、

 サイレンは光の散弾を浴びせる。


 サイレンの攻撃とベンガスの攻撃は、

 よく効いているのか、

 レッサー・ドラゴンも後ろに退いている。


「ぐ、グルアアア!」


 レッサー・ドラゴンは目を血走って、

 俺に攻撃を仕掛ける。


「俺相手やと簡単に倒せるって思ったんか!」


 俺はレッサー・ドラゴンの攻撃を避けながら、

 剣で攻撃をする。


「がぶ!」

「っ!」


 剣で攻撃している最中で剣を噛みつかれて、

 レッサー・ドラゴンは首を横に振って、

 剣を遠くへ放り投げられた。


「くっ!」


 ドラゴンの攻撃を転がりながら避ける。


「危ない!

 風の恵みよ、我が友を救いたまえ!

 《ウィンド・スピード・アップ》!」


 リアーが瞬時に判断し、

 杖を起動させる。

 杖から涼やかな風が吹き荒ぶ。

 その風を受けると、体が自然と早くなったと思えた。


 名称から考えて、

 風を受けた味方の素早さを上げるものだろう。


「……全体補助魔法か」

「《ドロー》!」


 サイレンの呟きを聞いた後で、

 俺は、すかさずにドローで剣を回収し、

 迂闊にも近づいてきたドラゴンに切り掛かる。


 リアーの魔法のおかげで身軽になった。

 レッサー・ドラゴンの攻撃も遅くなったように感じた。


「グルアアア!」


 すると、レッサー・ドラゴンは立ち上がり、

 俺を踏み潰そうとする。

 だが、遅い。


「《ダブル・マジック・ウェポン》!」


 靴にマジック・ウェポンの二回がけをして、

 横腹に向けて回転蹴りを浴びせる。


「ぎゅふ!」


 いきなり、横を蹴られたため、

 レッサー・ドラゴンはバランスを崩して、

 のしかかりの位置がズレる。


 素早くなった上に、

 靴の強度が上がったため、

 回転を加えた蹴りの威力も底上げしている。


 すぐさま、レッサー・ドラゴンは俺の方を見る。


「でい!」


 見たと同時に、

 俺はレッサー・ドラゴンの顎に向けて蹴り上げる。

 二回かけただけあって、

 蹴りの威力も上がっており、

 何とかレッサー・ドラゴンにダメージを与えることができている。


 蹴りと剣の攻撃に流石のレッサー・ドラゴンも怯んでいる。


「そこだ!」


 レッサー・ドラゴンが怯んでいる隙に、

 剣を大きく振りかぶって、

 レッサー・ドラゴンの目を潰す。


「グギャアアア!」

「待たせたな!」


 そして、ベンガスもハルバードをぶん回して、

 レッサー・ドラゴンを遠くまで吹き飛ばした。


 レッサー・ドラゴンはフラフラになり、

 湖に逃げようとする。


「サイレン!」

「……トドメだ。

 ……《シャイニング・バーニング》!」


 サイレンの得意な光属性の攻撃魔法が、

 レッサー・ドラゴンの背中に命中する。


 その威力を前に耐えきれず、

 レッサー・ドラゴンは雄叫びをあげて、

 バタリと倒れて湖に浮かんだ。


「……何とか倒せたな」

「ああ……

 リアー、全体補助魔法、ありがとう」

「お役に立てて嬉しいです」

「俺もちょっと早くなったような気がするぞ」

「サイレンは詠唱なしやけど、

 リアーさんのは詠唱ありなん」

「はい。

 サイレンさんの魔法は基本的な攻撃魔法だから、

 詠唱はいらないのですよ。

 ですが、回復魔法や全体補助は難しくて、

 補助のために詠唱が必要になるのですよ」

「……私もやろうと思えば、できるだろう。

 ただ、詠唱するくらいなら、

 シャイニング・バーニングを、

 何発も当てた方が早いと思ってしまってな」

「サイレンさんのシャイニング・バーニングが異常なんですよ。

 いえ、恐らく修練の結果でしょう。

 サイレンさんのシャイニング・バーニングは、

 とても丁寧で、洗練されています。

 でも、普通の魔術師はそこまでしません。

 新しい魔法を覚えたら、

 さっさと別の魔法を覚えようとするのです。

 一つの魔法を極める魔術師はごく稀なんです」


 確かに他の魔法を覚えたい気持ちはわかる。

 俺も生活魔法を覚え始めた時は楽しいと思えたし。


「……シャイニング・バーニングとは長い付き合いだからな」

「長い……」

「……深く知りたいのなら、

 練人に私の過去の話を書いてもらっているから、

 楽しみに待ってくれ」

「練人様、カナイチシリーズの他にも、

 サイレン様の過去を書いているのですか?」

「ま、まあな」

「では、できあがれば見せてください。

 楽しみにしてます」

「が、頑張ります」

「……私も確認のために最初に読む。

 私視点だからな。

 私が確認すればより正確だ」

「せやな。

 ほな、レッサー・ドラゴン倒したし、

 護符を貼って、報告やな」

「……そうだな。

 ……みんな、今回もお疲れ様だ」

「おう!」

「二回目のドラゴンとの戦いで緊張したわ〜!

 早く帰って温泉に浸かりたいわ〜」

「練人殿は本当に温泉好きだな」

「……私もお風呂は嫌いではない。

 では、戻ろうか」

「はい!」 

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