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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師と戦士の讃歌〜 第1章 新たなる仲間リアー

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第71話 サイクロプスとの戦い

「来たんやけど……

 この森やな?」


 森には鳥のざわめき声や、

 魔獣の唸り声が聞こえてくる。


 間違いなく、

 この森にサイクロプスはいると考えてもいいだろう。


「……ほんなら念のために」


 俺は剣を使って草や落ちている葉っぱを払った。


「練人殿?」

「何をしているのでしょうか?」

「……練人はああして他に魔獣が寄っていないか、

 住民がここに来ていないかを確認しているんだ」

「メリボーのように浮いとる魔獣はどうだか知らんが、

 予想外の敵に襲われる可能性は低くなるわ」

「へ〜」


 そうして、進んでいくと何かが壊れる音が聞こえる。


「……作戦会議をしようか」

「シャイニング・バーニングを使うんやろ?」

「……そうだが……

 ここは森だ。

 下手に森に基本のシャイニング・バーニングを使えばどうなるか」

「基本?」

「確かに燃えるわな。

 山火事になるかも知れへん」

「……使えるのはゼロ、フラッシュ、ロアー、ワークくらいだ」

「ワークって、グラットン・イーグルを落とした魔法ですよね?

 思えばそんな魔法ってありましたっけ?」

「……私オリジナル魔法だと考えればいい」

「お、オリジナル……」

「ほんなら、初手はワークで目と耳を潰す。

 サイクロプスが怯んでいる隙に俺らが叩き切る。

 それでええな?」

「ああ……

 それで行こう」

「使う時は前と同じように大きい音と強烈な光が出るからな、

 目と耳を庇っておけよ」

「わ、わかりました」

「ちょいと待って。

 《マジック・ウェポン》、

 もういっちょ!

 《マジック・ウェポン》」


 俺は戦闘前に剣にマジック・ウェポンの重ね掛けをした。

 段々と音も大きく聞こえてきた。


「あそこやな」


 俺とサイレンは茂みに隠れてコソコソと覗き見をした。

 そこにいたのは大の大人よりも少し大きい、

 一つ目の化け物だった。

 その化け物が二体おり、

 掴みかかって不良の喧嘩のように、

 腹に蹴ったり顔面を殴り合っている。

 周囲の被害などお構いなしにだ。

 目の前にいる化け物こそが【サイクロプス】なのだろう。


「……ほんなら俺が注意を向ける。

 サイクロプスが俺に注目した時点で、

 サイレンはワークを頼むわ」

「……気をつけろよ」

「わかっとるわ」


 他の二人にも合図で指示をする。


「お〜い!」


 俺がいきなり飛び出して声を掛けた。

 サイクロプス達は何事かと言うように俺を見た。


「……《シャイニング・ワーク・バーニング》!」


 向いたと同時にサイレンは、

 光と爆音特化のシャイニング・バーニングを使った。

 その際に俺は左に全力でジャンプしてから、

 周囲は強烈な光が輝き轟音が響いた。


「「グオオオオ!」」

「今や!」

「おう!」



 俺は目の前のサイクロプスに目掛けて、

 ベンガスは反対のサイクロプスに目掛けて、

 走り出し、一斉に攻撃した。


「ぐ、グオ!」


 俺の方のサイクロプスは後ろに飛んだ。

 野生的感なのだろう。

 しかし、剣先はサイクロプスの皮膚を切り裂き、

 大きな切り傷から血が流れ出す。


「うおおおおお!」

「ぐがああああ!」


 ベンガスの方のサイクロプスは腕を使って防御しようとした。

 しかし、ベンガスは筋力があり、

 まるで、バターのようにサイクロプスの腕を切断した。

 切断されたサイクロプスは悲鳴をあげて腕を抑えている。


「はっ!」


 ベンガスは容赦なくハルバートを巧みに扱い、

 サイクロプスの腹部を突き刺す。

 サイクロプスの腹部から夥しい血が噴き出す。


「《ストーン》」


 俺は勢いよく石をサイクロプスに目掛けて投げつける。

 サイクロプスは目が見えないため、

 何かが来たという直感を頼りに、

 パンチをする。

 石は容易く粉々になった。


「ぐる?

 アアアア!」


 石を粉々にした隙をついて、

 俺は接近、サイクロプスの横腹をすり抜けて、

 剣で切り裂く。

 二重にマジック・ウェポンを使ったため、

 サイクロプスの横腹から血がドバドバと流れ始める。


「ぐ!」


 流石に急所に当てさせる隙を見せてくれない。

 加えてサイクロプスは逞しい肉体をしている。

 そんな肉体であれだけの喧嘩をしていた。

 俺程度の筋力の蹴りなどは通用しないだろう。


「……《マジック・ウェポン》」


 俺は足にマジック・ウェポンをかける。

 その後で足元の土を握りしめる。


「ぐ、グオオ」


 サイクロプスの目が戻り、目を見開こうとする。

 同時に俺はサイクロプスの顔面に目掛けて、

 土を投げる。

 サイクロプスは一つ目でその目が大きい。

 容易く目に土が入る。


「ぐ、グオオオ!」

「……《シャイニング・ライフル》!」


 サイレンはその場から光の貫通弾を放った。

 目を潰され、背後を気にする余裕のないサイクロプスは、

 簡単に貫通弾を喰らって、背中が焼け爛れる。


「ぐ、ぐがあああ……」


 土を払って背後にいるサイレンを睨みつける。


「グオオオ!」


 そのサイレンに向けて突進をしようとした。


「さ、サイレンさん!」

「……甘い。

 ……《パワード・アップ》」


 そう言った後で、

 サイレンはサイクロプスの突進の力を逆利用し、

 背負い投げで思い切り投げ飛ばした。


「「せ、背負い投げで投げた!?」」


 俺達の驚きにサイレンは反応せずに、

 サイクロプスに視線を向ける。


「……《シャイニング・バーニング・ゼロ》!」


 サイクロプスが投げ飛ばされ倒れている隙をついて、

 サイレンは接近し、サイクロプスに、

 超至近距離のシャイニング・バーニングを叩き込む。


「しゃ、シャイニング・バーニングを至近距離で!?

 ふ、普通なら自殺行為の筈なのに!?」


 リアーは驚きを隠せないでいる。

 わかる。

 俺も初めて見た時は驚いたし。


 サイクロプスがサイレンの得意な攻撃魔法を受け切れる筈もなく、

 グタリと倒れて、動かなくなった。


「後一体!」

「ちっ!」


 ベンガスの方は意外と苦戦していた。

 パワーで負けているわけではない。

 腕を切り落とされて、腹部を貫かれた。

 それだけでもサイクロプスがベンガスを警戒するのに十分で、

 攻撃を必死に避けている。

 ベンガスはパワーファイターで動きは若干遅い。

 だから、攻撃を躱され続け苦戦しているらしい。


「なら!」


 俺は二重にマジック・ウェポンを掛けた剣を、

 ベンガスの攻撃後にぶん投げる。


「え!?

 け、剣をぶん投げるのですか!?」


 リアーが驚き、

 回避に必死になっているサイクロプスも、

 簡単に剣を避ける。


「《ドロー》!」


 俺はすかさず剣をドローで引き戻す。


「グオ!?」


 サイクロプスは驚き、思わず剣を躱す。

 ただ、俺に注意を向け過ぎだ。


「はっ!」


 ベンガスがサイクロプスの反対の腕も切り落とした。

 もう攻撃ができないサイクロプスは、

 逃げるしかない。


「……《シャイニング・リング》」


 逃げようとするサイクロプスの足に、

 サイレンは四つの光のリングを出して拘束する。

 これでサイクロプスは逃げることはできない。

 俺は接近してサイクロプスの首を切断した。

 サイクロプスから血が噴き出し、倒れた。


「何とか倒せたな」

「練人殿、助かった。

 最初は良かったが、何度も攻撃躱され続けてな」

「しゃーないしゃーない。

 勝てばええんや……

 まあ、サイレンがサイクロプスを投げ飛ばしたのは、

 結構驚いたんやけどな」

「確かに驚きました」

「……私が使ったパワード・アップは身体能力を、

 特に筋力を上げる魔法だ。

 鍛えた結果でもあるが、あの程度の魔獣なら、

 投げ飛ばせる自信はある」

「いや、自信はあっても結構戸惑うもんとちゃうん?」

「……まあ、私の故郷にいた女性冒険者に教わったからでもあるが」

「……暴漢対策としてか?」

「ああ……

 人間はいい人ばかりではないからな。

 魔法なしでもある程度の護身術は身に付けた方がいいと、

 勧められたんだ。

 私としても、魔術師以外の道に興味はないが、

 冒険として役立つのなら悪くないからな」

「……そのパワード・アップ、俺も使えるん?」

「……かも知れないな。

 ……私の感覚としてはバーニング系よりも簡単だと思う。

 生活魔法と一緒に教えよう」

「よろしゅう頼むわ」

「だが、これで依頼達成だろう!

 早速護符を使ってから帰還しようぞ!」

「せやな。

 今回の報酬は期待できるやろ」


 宿にはすでに一ヶ月分の宿代を払っているが、

 金はある方がいいからな

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