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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師との冒険〜 第4章 旅立つ準備

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第64話 新しい仲間、ベンガス

「練人……

 もう行くのか?」

「まあの」

「メリ!」


 そろそろ四月が終わりそうだしな。

 準備も終わっている。


「もう少し、ゆっくりすればいいのに」

「……何。

 私もイナミを十分楽しんだ。

 次は隣のリーマハ。

 何でも文化と森林の街らしい」

「虫型魔獣が多そうやな」

「……そうだな」

「メリリ……」

「……練人殿、サイレン殿……

 頼みたいことがある」


 真剣な顔をして、

 ベンガスは俺を見ていた。


「頼みたいこと?

 何や、ベンガス」

「……頼む!

 俺を練人達のパーティーに、

 入れさせてくれないだろうか!」

「……ベンガスは俺達のパーティーに入りたいってことかいな?」

「その通りだ!

 頼む!」

「……しかし、ベンガスはヨシモリ達の仲間だろ?

 ベンガスが抜けたら困るのではないのか?」


 サイレンが心配したように、ヨシモリ達を見る。

 サイレンは故郷の冒険者達の勧めを、

 壊したくないという理由で断ってきたので、

 ベンガスが前のパーティーをやめて、

 俺達のパーティーに入ることに抵抗があるのだろう。


 仮にベンガスが俺達のパーティーに入って、

 ヨシモリ達が大変なことになれば、

 ベンガスを無責任に仲間に引き入れた、

 俺達の所為になる。


「いや、俺達も文句はねえよ。

 元々、俺達は転職に有利になるから、

 冒険者になっているだけでな……

 どうやら、ベンガスは練人の男意義が気に入ってな。

 俺達からもお願いするよ、連れて行ってくれねえか?」

「……サイレンは?」

「……いや。

 ベンガスは練人に頼み込んでいるから、

 パーティーに加えるか否かを選ぶのなら、

 練人が選ぶのが筋ではないのか?」

「いや、俺達のパーティーのリーダーはサイレンや。

 リーダーを蔑ろに好き勝手にしていたら、

 リーダーの威厳がなくなるわ。

 リーダーの威厳がなくなったパーティーは簡単に崩壊する。

 せやから、最終的にはサイレンの判断に従うわ」

「……私の判断か。

 ……最初に私は冒険者に対しての警戒は薄いかも知れない。

 練人がいいのなら私も反対する気はない。

 ……だが、仲間が傷つくところも、

 侮辱し合う場面も見たくはない。

 ……侮辱しないと誓ってくれないか?」

「わかった。

 もう侮辱しない。

 パーティー加入の条件として契約でもする!」

「……のようやな。

 俺はええと思う。

 ベンガス、パワーあるやろうし」

「メリ!」

「……なら、私のパーティーに加える」

「ありがとうございます!」

「……なら、手続きを済ませよう」


 サイレンは言って、冒険者ギルドに戻る。

 ギルドで受付嬢の前に立った。


「何かご用かしら?」

「……私達と彼らのパーティーで話し合った結果、

 ベンガスを私達のパーティーに加えることにした。

 パーティー登録をしてくれないか?」

「かしこまりました。

 では、各パーティーの冒険者カードを提出してください」


 俺とサイレン、ベンガスとヨシモリとクヨイチが、

 冒険者カードを提出した。

 そして、受付嬢が手続きをし始める。

 十分後だった。


「パーティー登録は完了しました。

 カードを返却します。

 あなた達の冒険者生活に幸福が訪れるように、

 祈っておきます」


 そして、手続きが終わったと同時に、

 ベンガスは両手を肘の上に置いて、

 深々と礼をする。


「俺の名は【ベンガス・アレクサンダー】!

 守護者(ガーディアン)

 得意武器はハルバード!

 大好物はハンバーガーと炭酸飲料!

 嫌いなものはブラック・コーヒー!

 今日より、練人とサイレンのパーティーに加える新人!

 ラミアから救われた日から、

 俺の命は二人に捧げる!

 無礼のないように努めていただきます!

 何とぞ!

 よろしくお願いします!」

「……改めてや。

 俺の名は練人や。

 将来の夢は小説作家!

 戦士(ファイター)系や。

 武器は剣!

 大好物はおにぎりなどの米料理!

 大嫌いなのはマヨネーズと生トマト!

 んで、メリボーのエアリーや。

 メスやからな。

 可愛がってくれよ」

「メリ!」

「……私も流れに乗らないといけないのか?」

「サイレンの好きなように」

「……私は練人達のようなテンションはしづらい。

 ……だから、私なりだ。

 ……私の名はサイレン・マジャン。

 魔術師(マジシャン)で、

 幼い頃から魔法を鍛え続けてきた。

 魔術師以外にはならないし、今の装備で十分。

 仮に伝説の武器やら防具やらが出てきても、

 私がいらないと判断すれば、練人達の好きにしてくれ。

 売るもよしだ。

 パーティーのリーダーを務める。

 好きなものは魚料理。

 嫌いなものはマヨネーズとカメムシなどの臭いものだ。

 ……これからよろしく」

「……わざわざ俺のために自己紹介し直してくれて、

 ありがとうございます!」

「……では、今日からイナミを出るから、

 ベンガスも急いで準備をしてくれ!」

「はい!

 少々お待ちください!」

「はは、いい顔になったなベンガスも!」


 ベンガスはズシンズシンと鈍くだが、

 走って自分の宿へと向かった。

 ヨシモリとクヨイチもベンガスに付いていく。

 ベンガスの速さだとしばらくかかりそうだ。


「……思わんところで、仲間が増えたな」

「せやのぅ。

 俺も思ってもみなかったわ」

「……だろうな。

 練人、少し顔が赤いぞ」

「しゃ、しゃーないやろ。

 ベンガスみたいに慕ってくれる人おらんかったしな」

「……良かったな」

「にしても、結構パーティーのバランスよくあらへんか?」

「……かも知れないな。

 ベンガスがいれば、私も安定して魔法が使えるし、

 練人も連携ができれば心強いだろ」

「せやな。

 ベンガスの筋力は頼りになるわ。

 しかも、体力ありそうやしな」

「……私もシャイニング・バーニングを慎重に撃つ必要が出てくるが、

 逆に言えば、他の魔法の練習になるかも知れない」

「サイレンは?

 シャイニング・バーニングの使用するのに制限されるの嫌か?」

「……嫌なら加入を断っている。

 不要な心配をするな、練人」

「せやったな。

 確か、ハーリマまでは徒歩やったな」

「……ハーリマは近いしな」

「メリリ!」

「エアリーも良かったな、新しい仲間が増えてな」

「メリ!」


 エアリーはいつものように俺の頭の上に乗った。


「……ベンガスには私達の小説のことを内緒にするか?」

「頼むで」

「……わかった」

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