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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師との冒険〜 第3章 冒険者への道

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第55話 グラットン・イーグル

「うおっと!」


 グラットン・イーグルは、

 大きな翼を使って俺に叩きつけてきた。


「くっ!」


 俺は剣をダーツのようにして投げつけた。

 グラットン・イーグルは、

 単純に命中する馬鹿ではないようで、

 翼で剣を叩き落とした。

 だが、剣がある場所さえわかればいい。


「《マジック・ウェポン》!

 はっ!」


 突撃してグラットン・イーグルを蹴る。

 靴を強化したが、

 グラットン・イーグルの体表は硬く、

 Gランクの魔獣と比べても強いことがわかる。

 グラットン・イーグルも反撃で左右の翼で叩いてくる。


「よっ、ほっ……

 ぐっ!」


 両手で翼を防ぐ合間に、

 グラットン・イーグルの鋭い嘴が襲い掛かる。

 俺はグラットン・イーグルの嘴を掴んだ。

 もし、嘴を喰らったら、

 俺はあっさりと殺されるだろう。

 当然、グラットン・イーグルも首を振って抵抗をする。


「えい!」


 グラット・イーグルを投げ飛ばす。

 魔獣と戦う上で大事なのは、

 グラットン・イーグルに、

 ホームグラウンドである空に逃がさないこと。

 鳥相手に空で戦うのは無謀にも程がある。

 そもそも俺達に空で戦う術はない。

 空を飛ばれて、攻撃するのなら、

 反撃して叩き落とすこともできるが、

 逃げられでもしたらマズい。

 サイレンの言う通り、

 他の人間を襲い掛かる可能性がゼロではないからだ。


「えいや!」


 俺は再びグラットン・イーグルの懐に入り飛び蹴りをする。

 グラットン・イーグルも嘴で何度も俺を突こうとするが、

 ビンタして嘴攻撃を流す。


「づ!」


 でも、左右の翼の攻撃も中々の衝撃がある。


「……練人!」


 俺は地面に転がって今いる場所から離れる。


「……《シャイニング・ショット》!」


 サイレンの光の散弾が、

 グラットン・イーグルの体に命中し爆発する。

 しかし、Gランクの魔獣と違って

 大したダメージにならず平気な顔をしていた。


「……やはり、Eランクの魔獣は一味違うな」

「えいや!」


 グラットン・イーグルがシャイニング・ショットを受けて、

 少し怯んでいる隙を突いて再び蹴りを入れる。

 硬いのなら仮に殴っても意味はない。

 なら、蹴った方がマシだ。


「グルアア!」


 グラットン・イーグルが雄叫びをあげて、

 俺を押し出す。


「くっ!

 《ドロー》!」


 俺はドローを使って剣を引き寄せる。

 親切にグラットン・イーグルが待つわけもなく、

 手に取った瞬間に攻撃を仕掛ける。

 攻撃を躱す。


「《マジック・ウェポン》!」


 剣に魔力を纏わせて切れ味などを底上げする。


「せい!」

「……練人!

 グラットン・イーグルをしばらく惹きつけてくれ!」

「了解!」


 サイレンの言葉を受けて俺は死なないように、

 グラットン・イーグルの注意を惹きつける。

 グラットン・イーグルは目の前で、

 ちょこちょこ動き攻撃する俺を目障りと思ったのか、

 執拗に狙っている。


「……っ」


 サイレンの指示を聞いて、


 俺は敢えて避けることに集中する。


「……《シャイニング・イリュージョン》」


 サイレンは光の分身を出す。

 サイレンに何かしらの狙いがあるのを理解した。

 俺は必死にグラットン・イーグルの攻撃を避け続ける。


「……練人!

 後ろ!」

「っ!」


 サイレンが大きく叫んだ時、

 俺の背後には巨大な樹木があり、

 背中にぶつけた。

 もう後ろを跳んで回避はできない。


「ギルアアアア!」


 グラットン・イーグルは、

 最大のチャンスだと思ったのか、

 後ろに引いて力を貯める。

 そして、勢いよく俺の顔面を狙って嘴で突いてきた。


「……練人!」

「ふっ……!」


 だが、俺の背後に樹木があるのは知っている。

 俺は横に転がって嘴を回避した。


「チャンスだと思ったのかグラットン・イーグル……

 お前は俺を樹木まで追い詰めた気になっているようだが、

 俺はお前を樹木まで誘導したんだぜ!」


 勢いよく突こうとした嘴は途中で止まらずに、

 ズボッと嘴が樹木を貫いた。


「!?」


 樹木を貫くのはいい。

 グラットン・イーグルにとっては、

 樹木などは柔らかいものだから。

 だが、貫いた後が問題なんだ。

 グラットン・イーグルは嘴を引こうとしても、

 樹木に食い込んでしまっている。


「サイレン!

 今だ!」

「……練人が作ってくれたチャンス無駄にしない!」


 二人のサイレンが挟み撃ちの形で、

 グラットン・イーグルに近付く。


「「……《《シャイニング・サンドイッチ・バーニング》》!!」」

「サンドイッチ!?」


 サイレンの魔法名は相変わらずだが、

 近接特化のシャイニング・バーニングを挟むのように、

 グラットン・イーグルに重ねる。


 強力なシャイニング・バーニングが左右同時に襲い掛かる。

 想像を絶するほどの威力で、

 グラットン・イーグルは悲鳴をあげる。

 光が収束したと同時に、

 グラットン・イーグルの両側が黒焦げになっている。

 嘴が樹木に刺さったままだから、

 地に伏せることはないが動くことはなかった。


「か、勝った」


 終わったと思い俺はぺたんと着いた。

 ただの虫退治の依頼だったのだが、

 予想外の強敵と遭遇した。

 俺は特撮などを観て、

 真似て戦ったりファンタジー小説を書くつもりで、

 色々勉強したから隙を作ることはできている。

 サイレンもかなり強いから、

 オルド・ドラゴンもグラットン・イーグルも、

 勝つことができている。

 逆に言えば、

 サイレンがいなければ、

 俺はとっくの昔に死んでいたことになる。


「……少し焦った」

「は、ハハッ……

 サイレンにしては珍しいリアクションやったわ」


 クールなサイレンが、

 俺のピンチに焦ったような反応するとは、

 ちょっとびっくりだった。

 サイレンの性格を考えれ当然だが、

 珍しいことに変わりはない。


「……危険な賭けだったな」

「嘴がすごかったからな。

 樹木くらいなら貫けると思ったんや。

 ほんで、樹木を貫けても、

 引き抜くのは絶対苦労すると思ったんや。

 ノコギリで木材を切る時も引き抜こうと思ったら力使うしのぅ」

「……現象を利用したのか?」

「加えて今いる世界に来る前に武具の本とか読んどったんや。

 盾の役割もちゃんと知っとるからな。

 知識が使えるんやったら利用するで」


 何せ、ファンタジー小説を書こうと、

 思っていたのだ。

 なら、読者のために調べた方がいいし、

 知識が無駄にならないのなら別にいい。


「……そうか。

 ……鎧の時も論理的に思えたのはそれが理由か」

「にしても、サイレン。

 サンドイッチ・バーニングってなんやねん」

「……ん?

 ……わかりやすいだろ?」

「た、確かにわかりやすいんやけど、

 最初聞いた時は驚いたわ」


 今までのシャイニング・バリエーションを聞いて、

 サイレンが名付ける時はわかりやすさが優先らしい。

 かっこ悪い名前だったとしてもわかれば躊躇なく付ける。


「……他にあったりするん?」

「……練人に見せた近接特化のシャイニング・バーニングは、

 《シャイニング・バーニング・ゼロ》だ」

「何でそれだけかっこええねん」


 名前の意味はわかる。

 近距離で放つシャイニング・バーニングだから、

 名付けたのだろう。

 だが、

 他のシャイニング・サンドイッチ・バーニングのような、

 微妙な名前と比べたら明らかに名前のセンスに違いがある。


「……故郷の冒険者達も言っていたな」


 どうやら、俺とサイレンの故郷の冒険者達の価値観は、

 同じのようで少し安心した。


「……ほんじゃ、護符を使ってギルドに報告するか」

「……そうだな」

「グラットン・イーグルのランクは何や?」

「……ランクはEクラスだ」

「……Eランクの魔獣が襲い掛かってくるって結構あるん?」

「……ランクはあくまでギルドが付けただけあって、

 魔獣に私達の事情を考慮してくれない。

 だから、珍しくないらしい。

 普通は泣きながら逃げたりするらしいが……」


 思っているのは俺だけではなかったらしい。

 そして、逃げ切ることはできなかった冒険者の末路は、

 あまり考えたくない。

 冒険者は稼ぎが大きくて生きる上でいいと思ったが、

 依頼を受けている途中で、

 強敵と遭遇してしまうデメリットがあることはよくわかった。


「……倒したんやからまたランクが上がったりするんか?」

「……さあな。

 上がるかはギルドが判断することだ」

「さよか」


 甘くないらしい。

 ただ、生きればそれでいい。

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