第33話 初めての冒険の旅
「俺は小説家志望の高校生、
【静川練人】!
二月二十八日に、
惑星直列を撮るために出かけて行って、
星を見とった。
星を見る時に、
星から眩い光が発した。
余りの光の強さに、
目が眩み俺は目を閉じてしまったんや。
光が収まり、
目を開いたら……
ファンタジーの世界に来ていたんや!
今いる世界が元の世界やあらへんと知った俺は、
金がなくなり道具も変化、
あるいは消滅したことにも気づいた。
冒険者登録の時【練人】と名乗り、
元の世界に帰る方法、
そして生きる手段を手に入れるために、
冒険者として戦うことにした!
俺の頼もしい仲間で協力者、
【サイレン・マジャン】!
彼女は光属性の魔術師で俺と同い年。
冒険者になって世界を旅することが夢で、
俺とパーティーを組むことになった。
彼女の魔法は強く、
得意魔法は《シャイニング・バーニング》!
シャイニング・バーニングで多くの魔獣を倒して、
バリエーションも豊富!
俺の正体や夢を知るただ一人の人物でもある。
何故、俺が今いる世界に転移されたのかも、
他にも同じ人がいるのかも謎や。
別世界に行っても好奇心はいつも通りな冒険者!」
「……休憩中に何をやっているんだ、練人?」
「いや、小説の前振りや、前振り」
「……何故、前振りが必要なんだ?」
「今から始めて読む人もおるやろうからな。
今までの情報を教えた方がええやろ」
「……構わないが、行くぞ」
「あ、あのおっちゃん、もうええんか?」
「ああ……
水を飲み過ぎたようだったのでな」
「さよか。
にしても意外と平和やな~。
俺はもっとババン!
っと、魔獣が襲い掛かってくると思っとったわ」
だが、今いる世界は、
ゲームに出てくるようなステータスはない。
冒険者カードを読んでも、
ステータス画面やらスキル習得どころか、
レベルも見当たらなかった。
当然と言えば当然か。
現実でも数値できなかったからな。
「……人を喰らう魔獣はいる。
が、基本的には魔獣にも好む味があるものだ」
「まあ、せやろうな」
「……行くぞ」
俺達は歩き出す。
旅路は意外と平野で森とか山を進むことはなかった。
剣を構えて周囲を警戒しているが、
襲い掛かってくる魔獣はおらず街道を進むくらいだ。
「おお」
水源に辿り着いた。
何個も。
「あれは……
池?
ため池か」
「……イナミ地方はため池が多くてな。
水を飲みにくる魔獣や池に棲みつく魚型の魔獣もいる」
「へ~」
魔獣。
モンスターとも呼べる生命体だけど、
多くは動植物を体内に魔力がある影響で変化したって感じだ。
ドラゴンもいるが、寿命は意外と短い。
「……イナミ地方では水属性の魔術師などが多く、
浄化魔法で綺麗にすることが多いんだ」
「そうなんか。
他には?」
「……大人しいが見栄えのいい魚型魔獣を喰らう魚型の魔獣がいて、
下手をすると生態系が壊れるから討伐してくれという依頼も多い」
現実世界で言うところのブラックバスみたいなものか。
「……サイレンも倒せるん?」
「……倒せる」
「釣り道具、持ってくればよかったかな?」
「……私はいらないな」
「釣りせんと?」
「……練人はするのか?」
「いや、俺もあんまり……
経験ないわ」
「……そうか。
私は魚が好きだからな。
よく川魚を食べるんだ」
宿に泊まった時も食べた料理の殆ど魚料理だった。
「店で?」
「……いや、店だけでなくーー」
すると、サイレンが池の方に杖を向けた。
「ん?」
ぴちゃっと魚が池で跳ねた。
「……《ドロー》」
跳ねたと同時に、
サイレンはドロー魔法で魚を俺達の方に引き寄せた。
魚は抵抗できずに、サイレンの手に掴まれた。
「……はっ?」
「ほう、やりますね〜」
「……《ドロー》、《ドロー》」
サイレンは躊躇いなく、
二回連続同じように跳ねた魚を俺達の方に引き寄せた。
「……はっ?」
「……少し食事にしよう。
……あなたも食べるか?」
「よろしいのですか?
では、ご相伴に預かりましょう」
「……練人、調理を手伝ってくれ」
「え?
今の何や?」
「……私なりの釣りだ」
「釣りのために魔法使ったの!?
え!?
ドローって釣りにも使えんかいな!?」
「……ドローの練習には最適だ。
……小さい頃はよくやった」
「よくやったんかいな!?」
サイレンの意外な発言に俺は驚きを隠せないでいた。
「……喋っていないで手伝え。
……教えるから」
「は、はい」
そして、サイレンは焼き魚の作り方を教えた。
もう手慣れていて、
正確に串で魚を貫き《ファイア》で木の枝を燃やして、
じっくりと焼いていた。
本当に小さい頃からやっていたと説得力が出るほどだった。
「……いい感じに焼けてきたな」
そして、懐から塩を取り出し、魚に塩を振りかけた。
「……どうぞ」
「ありがとうのう、では早速」
行商人さんも何の疑問を持たずに食べ始めた。
「メリメリ!」
エアリーもメリボー専用の餌を美味しそうに食べていた。
「……練人も」
「お、おう」
魚を齧り付いたが、美味しかった。
「美味しい」
「……はむ」
サイレンも食べ始める。
「サイレンはよくやるの?
ドロー釣り」
「ああ……
故郷の冒険者達には驚いたり呆れたりしたが、
でも一緒に食べたりしたな」
「へ~」
「……練人の小説に書いていいぞ」
「お、おう」
「小説?」
「……私の相棒、小説を書いているんだ」
「では道中読ませても?」
「……いいだろ?」
「まあ、ええけど」
いきなり過ぎて少し恥ずかしいが、
俺は【熊に喰われた男】を行商人に渡した。
「ありがとうございます」
「……ご馳走様」
食べ終えた魚の残骸は軽く掘った穴の中に入れて埋めた。
そして道中、行商人は鑑定するように、
読み始めて馬車を動かしていた。
本気で鑑定されると流石に緊張する。
「……読まれるのは慣れていないのか?」
「面と向かっては流石に慣れてへん」
普段はパソコンのネットに投稿しているから、
今みたいに面と向かって読まれるのは中々ない。
今いる世界に来た時は焦った。
ネットなんてないから、
ペンと紙を用意して書かないといけないと思ったから。
《ライト》がキーボードにも使えて助かった、本当に。
タイプライターだしな。




