第31話 Gランク昇格
「え?
ほんまにええんか?」
「メリ?」
俺達はGランク昇格するための依頼を受けようと思っていた。
とりあえず、サイレンに俺の正体を秘密にするようにお願いした。
サイレンも承諾してくれて、
必要ならフォローしてくれるとのことだ。
俺の正体なんて言ったところで誰も信じてくれないだろうし、
信じたとしても大変な自体の前触れになりかねない。
俺達の目的のために旅をすることに決めた。
今のところは拠点は作らず、
誰も馬車操れないから徒歩での冒険になるだろう。
ギルドに訪れたのだが、予想外のことが起きた。
「はい。
練人さんパーティーはGランク昇格です」
そう。
受ける前にGランク昇格していた。
理由を考えるがすぐに思い至ったことが一つだけある。
「……もしかして、オルド・ドラゴン?」
「ええ。
Gランク昇格するために倒す敵は、
正直、オルド・ドラゴンより弱くて単純なんですよ。
オルド・ドラゴンを倒した練人さんパーティーなら、
少なくともHランクは問題ないとなり、
昇格試験は必要ないかと」
「……普通によくあることなんですか?
てっきり、オルド・ドラゴンはオルド・ドラゴン。
試験は別かと」
「もちろん、ギルドマスターに報告し、
許可をいただいたのです。
私達も、オルド・ドラゴンを倒したと、
裏付ける証拠もいくつか手に入ってますし……
優れた人がランク以上強い魔獣を倒すのは、
よくあることなので」
つまり、
自然死した魔獣の一部を持って討伐しましたという、
ズルはできないようになっていたってことか。
そうじゃないといくらでもランク上げ放題になるだろうし、
戦ってもいない奴がギルドに入ったら、
大変なことになりかねない。
「サイレン、昇格してもええんやな?」
「ああ……」
まあ、仮にダメだとしても、
サイレンと一緒ならランク昇格は楽にできるという確信はある。
今までの戦いである程度自信はつき始めたから俺も大丈夫だと思う。
「では、カードに登録しますので」
俺達はカードを受付嬢に渡して、
受付嬢は後ろの職員に渡した。
「そういえば気になりましたけど、
練人さん達は募集とかしないのですか?」
確かに俺達は常に二人で増やそうという気は見えない。
ギルド職員の人達が気になるところだろう。
「ああ、仲間のことに関してはサイレンと相談したんやが……」
相談という名のじゃんけんだが、
一つ目は受付嬢も言ったようにコガワで仲間を募集するもの。
二つ目は旅先で出会った人を気に入ればパーティーに誘うものだ。
小説ではよくあるパターンだが、
よくあるパターンだけに魅力などがある。
正直な話では一つ目だと、
“じゃあ何ですぐにしないの?”
と言われると辛いものがある。
そのため、二つ目を選びたかったが魅力があるのも事実。
だから、サイレンとじゃんけんして、
俺が負けて、二つ目が採用された。
「旅先で出会った人達を勧誘しようかと思って」
「そうですか、わかりました。
我々も無理には言いません。
ただ、パーティーは最大で八人登録可能だということを、
覚えておいてください」
「はい、わかりました」
「ではお呼びしますのでギルドでお待ちください」
そして、俺達はギルドのカウンターで待つことになった。
「……練人はどうする?
パーティー最大八人まで仲間増やすのか?」
「うーん、人数たくさんいればええってわけでもあらへんしな……」
「……つまり?」
「小説でもたくさんキャラがいれば管理が難しくなるんや。
例えば人気キャラだけ、
登場回数が多くて、他は少ないとそもそも……
“何で増やしたの?”
と思うやろ?
戦いも偶像劇になるし、
それぞれの戦いを仲間に聞かなあかん。
俺視点の小説やから裏の事情も書けへんしな」
「……そうだな。
練人が知らないところは聞かないと書けない、
知っていても不自然ということになるか」
「他にも人間関係や金や物資、
食料などの問題も出てくるやろうし、
きちんと管理しないとあかんねん」
管理を少しでも疎かになると人はすぐに裏切る。
もちろん、全ての人が全てそうじゃないが、
お金が原因で裏切られて殺されるというのも歴史から考えて事実だ。
強い人も人間関係をミスれば死ぬのは世の常。
「かといって二人だけで旅するのも限界はある。
料理の問題もあるけど、
戦いだけやのうて、
荷物の重量などによる問題、
乗馬などの特別な技量、
戦闘自体の幅もな」
二人だけの戦いには限界がある。
いくらいても問題なく雑魚を殲滅できる強い人はいて、
サイレンも強い人側だろうけど、俺は違う。
俺が原因で足を引っ張る可能性はいくらでもある。
「もちろん、金銭が集めやすく、
貯めやすいという利点もあるから、
楽するために金を集めて、
多くの問題を無理矢理クリアするってのも手やけどな」
例えば外食や先に作って食べると言うこともできる。
金を払って馬車での移動もできる。
金があれば移動も食べ物もクリアはできる。
俺は日本生まれで小遣いもあったのに、
いきなり今いる世界に来たせいで全て無意味になってしまった。
使える内は今の内に使っておきたいと、
考えるのは自然なことだ。
また貯まったお金が使えなくなると言うのがあるかも知れない。
「……人数が多いとメリットは少ないと言うことか?」
「将来、人と群れる仕事に転勤しないんやったら、
メリットは少ないわな」
「……?
どういうことだ?」
「サイレンも言うとったやろ?
ランクが上になれば、
ギルド職員に勧誘されてええ仕事が貰えるって……
せやけど、ギルドって戦い以外にも人を導かなあかんやん。
しかも、八人どころの話やない。
なのに集団に慣れてへんってのは問題やろ?
人の管理できひん証拠やん」
「……集団を指揮するのに慣れている人物は貴重ってことか。
八人パーティーなら、
人の管理は慣れているだろうし、
人を見極める目も持っている」
「サイレンの言う通りや。
八人パーティーに問題あらへんってことは、
リーダーの度量も窺えるし、
人を扱うのも慣れとる。
扱いに慣れとる人物なら、
私利私欲のために動かんやろうしな」
「……一理あるな」
「なるほど……」
「ああ。
確かにそう考えると八人もありだよな」
何だか、俺の話を聞いていた、
他の冒険者もうんうんと頷いていた。
「……練人はギルド職員になりたいのか?」
「俺の将来の夢は小説家や。
はっきり言えば、個人で書くもん。
人の付き合いも考えんといかんが、
群れてやる必要はあらへん。
せやから、少なくともええ」
「……私も仲間が多いのは困る。
……会話にも困るし、
指示も少ないのなら問題ないが多いとなると」
「せやな。
処理しなあかんことも多くなるし、
適切な指示をしても聞いてくれるかは別問題やしな」
「……つまり、私達は人数はいるが、
多くはいらないってことになるな」
「ついでに男女バランス整って欲しいわ
俺も人との会話得意なタイプやないし、
女性ばかりのパーティーなのも困る」
会話に困るだろうし、
ハーレム主義ではないので、
たくさんいても逃げたくなるだろう。
「……男性ばかりは困るのは私も同じだな」
「ほどほどが一番ってわけや」
「……そうだな」
「練人さん、サイレンさん~」
「あ、はい」
受付に立つとカードを返却してくれた。
カードに書かれているランクがHからGに変わっている。
「今日を持って二人は、
Gランクの依頼を受けることができるだけではなく、
徒歩で旅することもできるようになりました」
「ありがとうございます」
「二人のさらなる活躍を期待してますよ」
「それでは!」
そう言って俺達は離れた。
「今日は何をするん?
冒険の旅、すぐに行くん?」
「そうだな……
コガワも見回り終えたし、
そろそろ次の拠点に移ってもいいかも知れないな」
「あてはあるん?」
「……あらかじめ買っておいたマップに従う」
「いつの間に買っておいたんや……
せやったら今日は旅する準備をしておくってことでええか?」
「ああ……
そろそろ練人の新しい防具も、
出来上がるだろうから手に入れておく」
「了解や。
ほんなら、行こうか」
そして、俺達はギルドを出て行った。




