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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師は何故か俺を選んだ〜 第4章 冒険者としての決意

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第26話 サイレンとの模擬戦

「ふぅ……」

 今日の分のトレーニングが終わり、息を吐く。

「……わ、私もです」

「メリリ!」

 エアリーは俺達にタオルを渡してくれた。

「ありがとうな、エアリー」

「エアリーちゃん、ありがとうね」

 それを使って互いに汗を拭う。

「……さて」

 そう言ってサイレンは俺に木刀を渡してくれた。

「……ん?」

 対してサイレンはサイレン・ロッドと同じ長さの木製の杖を持ってきた。

「これは?」

「……簡単にいえば模擬戦だ」

「……勝てるわけないんやけど」

「……ふっ、最初から負けを想定していると、そのイメージに引っ張られるぞ。

 ……私はすでに練人に勝つイメージが完成させている。

 ……私のイメージを崩させてみろ」

 そう言って、ある程度離れてから杖を構えた。

「やるしかないのか?」

「……私の戦い方を知らずにコンビプレイはできないだろ」

 サイレンの言うことも尤もだ。

 サイレンから学ぶべきことが多い以上、この模擬戦からも学べることが多いだろう。

「……先に言っておく、私は魔法を使わない」

「使わずとも勝てる?」

 舐めてくれたものだと言いたいところだが、サイレンの動きから薄々そんな気はしていた。

「……使いたいなら練人は遠慮なく魔法を使ってくれてもいい」

「……余裕やな。

 後悔すんなよ」

「……え?

 何?

 この緊張感?

 いきなり過ぎて少しびっくりしてますけど……」

「……ダイヤナは審判だ。

 勝負あったと思ったらすぐに宣言してくれ」

「え、あっ、はい」

「メリ?」

「……開始の合図を」

「はい!

 えっと……

 始め!」

「おりゃああああ!」

 俺はサイレンに向けてダッシュしたーー。

 わけではなく、手に持った木刀を思い切りぶん投げた。

「……!」

「木刀ぶん投げた!?」

 当然のようにサイレンは難なく体を逸らして木刀を回避した。

 だが、それは俺の想像通りだ。

「せい!」

 躊躇なくサイレンに飛び蹴りを仕掛ける。

「……っ!」

「メリリ!?」

 サイレンは手を使ってその蹴りを逸らした。

 俺は蹴りをするポーズを取り、サイレンがしゃがみ、その杖で俺の弁慶の泣き所を狙おうとした。

 けど、蹴りのフェイントをした俺はすぐに中断し、後ろにジャンプしサイレンの反撃を避ける。

「……はっ!」

 サイレンが武器を持っていない俺に容赦なく攻撃する。

 まるで、その覚悟はあったのだろうと言わんばかりに。

「っ!」

 俺は避け続ける。

 縦に振りかぶったのなら横に横払いの場合はしゃがんで、転がることもあった。

「……はっ!」

「……《ドロー》!」

 サイレンの背後にある木刀を俺の方に引き寄せる。

「投げ飛ばした木刀を引き寄せての攻撃!?」

「……!」

 攻撃を中断し、それを避けるサイレン。 

 その間に木刀を掴み、避けたサイレンに追撃する。

「……!」

 サイレンはそれを受け止めて鍔迫り合いが始まる。

「……!」

 だが、サイレンは女性なのに一歩も引かない。

 こちらは全力を出してもジリジリと動くだけでその顔は涼しげなものだ。

「くっ!」

 鍔迫り合いの途中でサイレンは蹴りを繰り出す。

 それを回避すると、サイレンからの猛攻が始まった。

 木刀を使って杖に当たらないように防ぐしかない。

 ただ、防ぐだけじゃない。

 サイレンが木刀を弾き飛ばさないように、それも注意しないといけない。

「はっ!」

 手に力を込めて木刀で再び鍔迫り合いに持ち込む。

「ぐっ!

 《ウォーター》!」

 その顔に水をかけようとしたが、サイレンは予測していたのかまるで踊るようにくるくると回り避ける。

 地面を蹴り上げる。

「《ウィンド》!」

 蹴り上げて舞い上がった土を風で吹き飛ばし、目に入るようにする。

 目潰しだ。

「……!」

 サイレンは杖を回転させてその土が入らないように弾き飛ばす。

 俺は動かずにジッとサイレンの様子を見る。

「……はっ!」

 先に動いたのはサイレンで杖を突いてきた。

 俺はサイレンの真似をして踊るようにくるくると回って避ける。

「せい!」

「……はっ!」

 避け切ったと同時に蹴るが、サイレンも同じように蹴りを繰り出し、蹴りが止まる。

「くっ!」

 互いにすぐに足を地面に戻す。

「はっ!」

 戻したと同時に突くが、サイレンは体を軽く逸らして躱す。

「せい!」

 今度は俺の方からサイレンに切り掛かる。

 右、縦、右、左、突きと慣れさせないように気をつけながら戦う。

 サイレンは杖を駆使しながら、避け続ける。

「この!」

「……そこ!」

 縦の大ぶりに対して、サイレンは体を回転させて木刀を弾き飛ばす。

「なっ!

 くっ!」

 少し動揺したが、その隙をサイレンは容赦なく突く。

 杖の先端を俺の胴体にピッタリと付ける。

「「……」」

「し、終了!

 勝者!

 サイレン・マジャン!」

 勝負あったと判断したダイヤナさんは試合終了の合図を宣言。

「ま、負けた……

 結構、本気やったけど……」

 そう言って俺は汗ダラダラと流して座り込む。

「め、メリリ!?」

 エアリーは慌てて俺とサイレンにタオルをそれぞれ渡した。

「……私としてはここまで動けるとは予想外だったがな。

 最初に木刀をぶん投げてくるとは思わなかった」

「サイレンやったら俺が様子見してくることや、逆に向かってくることをわかっていたやろうから、その前提を崩したかったんや」

 まさか、初手から武器をぶん投げるという後のことを考えてない戦法を繰り出すとは思わなかった筈だから。

「……こっそりと杖なしで魔法を使う練習をしていたな」

「できるとは思ってたわ」

 《ライト》も素手で使える以上、少なくとも原初魔法や基本魔法、生活魔法は杖がなくても使えるだろうとは思っていた。

 特にドローは何度も練習した。

 武器が弾き飛ばされた時やぶん投げた武器を回収するために必要になる。

「せやけど、サイレンがあそこまで強いとは思わんかったわ」

 本当に魔法を使わなかったけど、それでも強かった。

 鍔迫り合いに持ち込んでも全然隙を見せないし、猛攻していてもどこか冷静さを残していた。

「……私は魔術師だからな。

 ……どんな時でも魔法を撃つように動いていた」

 確かに、サイレンの今までの攻撃はいつでも魔法を使えるようなタイミングだし、もし、魔法を使えていればもっと早く俺は負けていた。

 サイレンは魔術師に相当拘っているようで、戦い方も魔術師であることを捨てる気がないというものだった。

「……それでも勝てんかったわ」

 こっちがどれだけ魔法を使っても簡単に対処していたし、使わせる暇も与えてくれなかった。

「……私は鍛え続けたからな。

 ……むしろ、今日負けたら私の立つ瀬はない」

 サイレンの動きは洗練されていて、鍛え上げたものだとすぐにわかった。

 正直、サイレンの体を気にする余裕はなく、気にした瞬間にやられていた。

「……結構蹴ったんやけど、大丈夫なんか?」

「……私も蹴ったからお互い様だ。

 ……この程度は怪我にも入らない」

 サイレンはすぐに息を整え終えており、汗も拭き終わった。

「でも、練人くんもすごいと思いますよ。

 私、練人くんの戦い方に何度も驚きましたし」

「……そうだな。

 ……練人は私の戦いに驚いているようだが、私の方こそ驚きだ。

 ……私の予想ではすぐに決着をつけれると思ったが、粘り強い上に戦い慣れているとは言い切れないものの、それでも動きはできていた」

「こ、こっちは頭の中で覚えてる戦いを思い出しながらやったからな」

「……ほぅ。

 ……なら、多くの戦士の戦いを模倣したのか?

 そういう戦いに見えたが」

 確かに頭に多くの戦士の戦い方を覚えているが、それが実際に使うとは思ってもみなかった。

 戦闘シーンの参考になると思って観ていたが、ある意味ではそれが良かったと思う。

 想定していたやり方ではなかったけどね。

「……私、多分、最初の木刀ぶん投げで負けてたと思います」

 ダイヤナさんはしみじみにそう思っていた。

「……確かに多くの魔術師はまだ対処し切れないだろうな」

 そう言ってサイレンはどこか嬉しそうに笑った。

「……立てるか?

 練人」

「ああ……」

 そろそろ立ち上がる。

 立ち上がって土を払う。

「……もうちょい続けるわ」

「……ああ、その方がいい」

「わ、私も頑張ります!」

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