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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師は何故か俺を選んだ〜 第3章 冒険者の交流

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第22話 ランクの上げ方

 俺達は今、冒険者ギルドにやってきて、

 依頼を探している。


「うーん。

 そろそろランク上げた方がええか?」


 確かランクが上がることで、

 転職に有利になるという話だった。

 旅をするにしてもランクは必要になるし、

 手に入るお金が増えればできる行動も増える。


「サイレンは楽にランク上がりそうやわ」


 サイレンの強さはHランクに留まるにしては強過ぎる。

 今のランクで依頼を受けていることすら驚きだ。


「……実際にあげようと思ったらすぐに上がる」

「せやろうな……

 ランクの上げ方って指定の敵を倒すんやろ?」

「……一番簡単な上げ方としては練人の言う通りだな」


 サイレンが含みのある言い方をしたため、

 俺の好奇心が疼いた。

 小説に使えそうという本能が今聞けと囁いている。

「サイレンの言い方は、

 まるで他にもランクの上げ方があるような言い方やな」

「……確かにギルドは戦闘力も必要だ。

 だが、必要なのは戦闘力だけじゃない。

 事務仕事もしなければならず、

 多くの冒険者を統制しないといけない。

 冒険者が誤った道に進まないように、

 導くこともしなければいけない。

 多くの町民から話を聞き、

 依頼を選抜しないといけない。

 ギルドが研究資料を発表することもある」

「やることが多いな」


 受付嬢がいるが依頼を受けるかどうかだけではなく、

 冒険者もしっかりと見ていたのだろう。

 奥にも部屋はあるし、

 色々やることがあるのはわかっていたが想像以上だった。


「……そして、Dランクからギルドから誘われることが多い。

 ……つまり、ギルド職員の大半は元々冒険者だった」

「……冒険者の中から、

 事務仕事や統制力がある人を選ばないといけないってことやな」


 確かに統制力はともかく、

 聞く力と事務作業は戦闘ではわからないものだ。

 冒険者をしっかり見なければ、

 人格が悪い人物がギルド職員になってしまい、

 想像するだけでヤバい。


「……だから、ランクの上げ方はさまざまあり、

 一つは自分の研究成果をギルドに発表すること」

「おおっ、凄い研究成果を見つけたら大金を貰えるとか?」

「……貰えるだけではなく、

 研究成果が世に出て広まれば、

 利益の数パーセントは貰えることになっている。

 研究をギルドに任せずに自分が主任となればさらに貰える」

「へぇ」


 何だかサイレンの言い方は、

 詳しく知っている人のように感じたが、

 何か発表でもしたのだろうか。


「……だから、ギルドや町民に認められればランクは上がるし、

 低ランクでもギルドに勧誘されることも多い」


 なるほど。

 ギルドの設定を考えれば、

 カナイチの設定にも色々幅が広げられる。


「色々あるんやな」


 まるで、ギルドから派生して、

 様々な仕事になっているような感覚になる。

 さぞかし、ギルドマスターは儲けているだろう。

 そして、全てを管理しないといけないのなら、

 仕事量も半端じゃないと思う。


「……ほんで俺らは普通に戦いであげるでええか?」

「……一番楽だからな」


 人気のある上げ方だけあって、

 人気の理由はあるか。

 確かに今の俺では研究とか発表は無理だろうし、

 すぐに上げようと思ったら戦闘しかない。

 サイレンは依頼書を掴んだ。


「……私が持っている依頼は大丈夫か?」


 〈松林に潜みし人を襲う植物

 最近、村の観光場所である松林に、

 人を襲いかかる植物が出始めた。

 植物型魔獣を駆除して欲しい。

 放置すれば観光客が減る上に、

 子供にまで被害が出かねん!

 報酬金:四百デラル

 テンタクル・フラワー〉


「……【テンタクル・フラワー】。

 自分のツルが触手になっとる植物やな」

「……そうだ。

 触手で外敵を攻撃する植物だ。

 ただし、喰らうのは小さい魔獣くらいで、

 人間を殺す生態ではない」

「殺さんのか」

「……被害は精々転ばして怪我が出るか、

 ツルに打たれるくらいだ。

 攻撃速度もそこまで速くない」

「子供やったら確かに危ないな」

 でも、意外だった。

 動ける植物は人を喰らうものだと思っていた。

 現に笑い花は近づいてきたものは、

 人間でも魔獣でも笑い花粉を吹きかけて無力化、

 そして捕食だった。


(……いや、意外でもあらへんか?

 食虫植物でもあんまり捕食はせんと聞いたことがある。

 捕食自体かなりエネルギーを使うし、

 捕食ばかりしたら枯れると言う話も聞いたことがある)


 魔獣でも同じかも知れない。


「……松林次第やな」

「……次第?」


 もし、松林が明るければ光合成もできる。

 エネルギーの確保ができるのなら、

 捕食をしたがらないと言う推測が立てやすい。


「まあ、依頼は受けるわ」

「……そうだな。

 ……練人の練習相手にはピッタリかも知れない」


 サイレンの言い方だと今回サイレンはフォローが中心で、

 戦いは俺に任せるようだ。

 つまり、サイレンなら楽に倒せると言うことにも繋がる。


「……あんまり報酬受け取らへんよな、サイレン」


 サイレンも動いた場合なら報酬を受け取るが、最低限だ。

 戦ったのが俺だけなら報酬全て俺が受け取る。


「……連泊するために必要な分はすでに持っている。

 肩書きもない方が気楽だ」

「へ~、天才とかもあかんか?」

「……天才などの言葉は既に卒業した。

 私には不必要だし、

 練人は天才などの言葉は使わないでくれると嬉しい」


 クールに言っているように見えて、

 本当に嫌がっている。

 ただ、声からして怒りとか悲観的なものは感じられず、

 本当に興味のない不必要な言葉だとわかる。


「わかったわ。

 今後はサイレンに対して使わないことを約束するわ」

「……頼む」


 ただ、本当にサイレンは秘密が多くて興味が尽きない。

 装備品は初期費用の八百デラルでは、

 決して買えなさそうなものばかりで特に杖は綺麗で高そうだ。

 しかし、貴族の令嬢にしては庶民的過ぎる。

 料理も好んで食べるのは高い料理ではなく、川魚ばかり。

 よほど、魚料理が好きなのだろう。

 宿のベッドもぐっすりと眠れている。

 今までのことを考えても、

 豪華なものが好きな金持ちとはどうしても思えない。

 ただ、金はあると見て問題ない。

 そして、価値観も割と謎だ。

 以前ラッキースケベが起きても怒ることもせず、

 平然としていた。

 静かな場所が好きだと公言していたが、

 冒険者ギルドに長時間いても平気どころかリラックスしている。

 騒がしいのは平気だ。

 だが、見知らぬ男性、

 しかも冒険者ではない男性は少し警戒し、すぐに離れる。

 警戒心があるのに、

 冒険者だと少し緩み、仲間だとさらに緩む。

 仲間なら長い間一緒の部屋に泊まっても平然としている程だ。

 魔術師に関しての拘りも強い。

 暇な時は杖の点検もよくしていて、

 大事な宝物のように大切に扱っている。


「……?

 何を考えている?」

「いや、本当にサイレンはわからないなと」

「……私からすれば練人の方がよくわからないさ」


 その言い方、まるで俺と同じように、

 サイレンも俺を分析しているように見えた。


「……まあ、ええけど……

 サイレン、紙ある?」

「……紙?」


 メモ用紙を破り、渡してくれた。


「おおきに。

 《ライト》」


 流石に大勢人がいるところで、

 キーボードはデカ過ぎるのでペンのように書く。


「えっと……

 “ゴミ屋敷”、“撲殺”、“指紋だらけ”」

「……もう次の小説のネタか?」

「パッと思いついたからな。

 頭だけやと忘れるからな。

 今のうちにメモって話のタネを残さな」


 とにかく、書いてみる。

 【熊に喰われた男】も十六話だからすぐに終わる。

 カナイチという主人公がいるから、

 継続できるのなら越したことはない。


「……ふむ。

 ……少し楽しみだな」

「おうおう、楽しみにしとけ」


 俺自身、メモった言葉から、

 何の話ができあがるかわからない。

 言うところの出たところ勝負だ。


「……そろそろ受理しよう」


 そして、いつも通り受付嬢に、

 依頼書を渡して受理してもらった。


「……受理し終えたな。

 ……馬車に乗るとしよう」

「せやな。

 馬車に乗るのは嫌いやないからな」

「……そうだな。

 私も四日間、コガワに着くまで乗っていたが、

 着くまでのドキドキは忘れていない」

「故郷からコガワまで四日間やもんな」


 サイレンの行動力も凄いと思う。

 そして、俺達は馬車に乗って、

 依頼場所へ向かって行った。

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