表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師は何故か俺を選んだ〜 第3章 冒険者の交流

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

21/50

第21話 基本魔法

「《ファイア》!」

 初めて原初魔法を使えるようになってから一週間が経った。

 篝火から火を灯すことができた。

 マッチのイメージがなくても小さい火の玉を飛ばすだけで良くなった。

「どや?

 どや?」

「……ああ、原初魔法はマスターしたと言ってもいい」

「よっしゃ!」

「他の人と比べれば遅いと言ってもいいくらいかも知れませんけど…。」

「……だが、マスターする期間は魔法が苦手な人と比べると早い方だ」

 サイレンとダイヤナさんは褒めているのかどうか微妙だが、褒めていると俺は思うことにした。

「……次だ、練人」

「次の魔法か?」

「……次は“基本魔法”だ」

「基本魔法」

「……今回のためにこれを持ってきた」

 そう言ってサイレンが持ってきたのは鉄球だった。

「鉄球?」

「……今回練人が習得する魔法はーー。

 《フロート》だ」

「フロート……」

「……一番わかりやすいのはフロートだ。

 ……まずは見本を見せる」

 そう言ってサイレンは鉄球を地面に置き、訓練用の杖を持った。

「……《フロート》」

 サイレンは杖を向けるとふわっと、鉄球が糸に吊されたように浮かび上がった。

「おおっ、すごいわ」

「本当に……

 サイレンさんのフロートはとてもスムーズです」

 そして、ゆっくりと丁寧に鉄球を下ろした。

「……これを練人がやるんだ」

「……できる?」

「……一回だけやってみてくれ」

「OK」

 確か魔法を使う時はイメージが大事。

 鉄球が浮かぶイメージをすれば大丈夫なはず。

「……《フロート》」

 しかし、鉄球はイメージ通りに浮かばずコロコロと動くだけだった。

 動くと言うことは魔力の干渉があったってことだが、それでも浮かんでいない。

「……練人、魔法を使うにはただ綺麗にイメージをすればいい、ってわけではない」

「……どういう事や?」

「……まず一つ目、イメージできても実力が伴っていない」

「実力が……」

「……例えイメージができたとしても大きな岩を持てるわけではないだろ?

 持つためにはそれなり鍛える必要がある。

 それをしていない者が岩を持ち上げようとしてもびくともしない」

「……理屈はわかるけど、それやったら俺はその実力を持ってへんってことになるんか?」

「……慌てるな。

 まだ一つ目だ。

 もう一つはイメージが完全にできていない、あるいは間違ったイメージをした結果だ」

「完全にできてない?

 間違ったイメージ?」

「……練人、フロートを使う際にどんなイメージをした?」

「そりゃ、サイレンみたいに鉄球が浮かぶイメージ……」

「……私みたいに?

 勝手に鉄球が浮かぶか?」

「……せや」

「……練人、魔法を使わずにその鉄球を持ち上げてみろ」

「え?」

 サイレンの言っていることがわからないが、言う通りに魔法を使わずに鉄球の前に立って普通に持ち上げる。

 鉄球だが、重さは大したことはなく楽々持ち上げた。

「これでええ?」

「……鉄球を地面に置いてフロートの準備を」

「は、はい」

 鉄球を置いて魔法を使う準備をする。

 体内の魔力を流して、さっきのようにイメージをする。

「……」

 すると、サイレンの手のひらが俺の背中に触れる。

「さ、サイレン!?」

「……目を閉じろ。

 集中するんだ」

 サイレンの言う通りに目を閉じてイメージに集中する。

「……さっき鉄球を持ち上げた。

 その感触を、筋肉の動きを、腕の動きをイメージしろ」

「ーー」

「……難しく考える必要はない。

 さっきのように楽々と、そして、当たり前のことを当たり前のように……

 ーー今だ」

「……《フロート》」

 サイレンの言葉に従ってさっきのように何事もなく腕で鉄球を持ち上げる。

 そのイメージをした。

「……目を開けろ」

 目を開けると、鉄球は浮かび上がっていた。

「……浮かんだ」

 さっきまで一切反応がなかった鉄球が、そんなことがなかったかのように普通に浮かび上がっていた。

「……それが基本魔法の大事な考え方だ」

「基本魔法の大事な考え方……」

「……基本魔法は四種類。

 浮かせる魔法フロート……

 落とす魔法フォール……

 引き寄せる魔法ドロー……

 引き離す、あるいは単に押す魔法プッシュ……

 これらの魔法は動作を模倣した魔法であり、イメージとしては見えない“自分の魔力の腕”で物体を操作している」

「……“自分の魔力の腕”」

「……《フロート》ができた以上、他の基本魔法もできる。

 考え方は同じだからな」

「……せ、せやな。

 押すも落とすも引き寄せるも言葉にすれば簡単や」

 そして、魔力がなくなった鉄球はボトっと落ちた。

「……原初魔法をマスターした練人ならすぐに使えるようになるだろう」

「やってみるわ!」

「それにしてもサイレンさんの説明、わかりやすいですね!

 普通の先生だとそこまで丁寧にわかりやすく教えてくれませんし、だから魔法に苦手意識を持つ人が多くなりがちなんですよね」

「……私は同級生に教えることもあったが、このやり方は最も早くできたからな」

「へぇ、優しいところあるやん」

「……教えることは私にとっても意味があったからな」

「意味?」

「……仲間ができた時、その仲間が魔法を使いたいと思ったら教えてやろうとな」

「サイレンさん、本当に優しいんですね。

 他の人はそんなことを考えないのに、仲間に教えるかも知れないと思っただけで教え方を学ぶなんて」

「……ただ、私に聞いてもわからないことはたくさんあるからな。

 頼り過ぎらないようにしてくれ」

「……確かにサイレンさんも練人くんも興味がないと私でも知っている有名人のことを不思議そうな顔で聞いてましたもんね」

「そ、それに関してはな、元々そう言うのが苦手であって」

「……私も苦手だ。

 知らなくても生きていけるしな」

「せ、せやな。

 人生に関わりがある人やったらともかく、何人も覚えてられへんって。

 瞬間記憶のようなもんあらへん」

「……とりあえず、練人。

 他の基本魔法を使ってみろ。

 訓練場ならば的もある。

 この鉄球でもいい」

「わかったわ!

 ……ほんなら、まず《フロート》」

 さっきと同じように鉄球は浮かび上がる。

「……そっから《フォール》!」

 魔力の腕と聞いて、フロートで持ち上がったものを掴むようにして勢いよく地面に叩きつけるイメージをした。

 フロートで浮かんだ鉄球は勢いよく音を響かせて地面に落下し、反射した。

 そして、コロコロと転がっていく。

「《ドロー》!」

 その鉄球を手で掴んで引き寄せるように魔力の腕を使ってこっちに引き寄せた。

 すると、鉄球は向きを急に変えてこっちに転がる。

「……《プッシュ》」

 こっちに転がる鉄球を押して止めるように、魔力の腕で押した。

 そのためか、鉄球はピタッと止まった。

「……プッシュは……

 あの的もええか。

 《プッシュ》!」

 今度のプッシュは的をサウンドバックを殴るように、あるいは掌底を叩き込むような感じで使うと、ゴッと言う音と共に的が軋んだ。

「……本当にすぐにできましたね」

「……使うだけならな」

「ん?

 どう言うことや?」

「……練人、基本魔法はただ使って覚えて終わりにするにはもったいない魔法だ」

「え」

「……多くの魔術師は基礎である原初魔法、基本魔法を覚えて属性攻撃ができるようになれば、それらを日常に役立つものとしか使わなくなるが、それらも戦闘に使える。

 原初魔法をあそこまで巧みに使える練人ならわかるだろ?」

「……応用次第ではいくらでも戦いに組み込めるってことか?」

「そうだ……

 そして、基本魔法も使い続ければ効率よく、正確に発動することもできる」

 魔力の腕。

 確かに腕も使い続けることで器用になるし、すぐに引き寄せたり押したりできるようになる。

「……そして、私の特訓を続ければ基本魔法はさらに面白くなる」

「おっ、また伏線か?」

「……ああ、これをすぐに話すのはそれこそもったいないくらいには」

「……サイレンさんって本当に魔法が好きなんですね」

「……愛していると言っても過言ではない」

「そんなサイレンの言うことやから信頼性はバッチリやわ」

「……よし、サイレンさんが言うならもう少し筋トレ頑張ってみよう!」

「せやな。

 俺ももっと基本魔法を使って、筋トレしていくわ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ