第13話 依頼決め
「……意外だな」
「ん?」
冒険者ギルドで俺達は座っていた。
「……練人が飲んでいるのブラックコーヒーだろ?」
「せやで」
「……飲めるのか」
「眠気覚ましとしてはええ方やし、
うちんちコーヒー派やからな」
「……ほぅ」
「と言ってもブラックコーヒーは俺だけやし、
俺は紅茶もいけるからな」
「……そうだな。
コーヒーは夜に飲むと眠れなくなるからな」
「せやせや。
悪魔の時間はさっさと寝た方がええんや」
「……悪魔の時間?」
「せやで。
夜の時、
人は不安や孤独を強く感じてしまい考えることに適さないんや」
「……そうか。
練人は大体は夜になったら…
ご飯とお風呂の後は何もせずにさっさと寝ていたな」
「朝は早く起きて読書とかするし」
「……そうか。
私も早起きをするが、
練人の方が早いからな」
「まあ、完璧やのうて、
眠気に負ける時もあるけどな」
「……今日の朝、何をやっていた?」
「読書や、読書。
魔獣図鑑を読んでてん」
嘘ではない。
全部ではないが、
心にもないことではない。
「そうか……
机の上に置いてあった、
“見ないでください、読まないでください”
と言う紙の束があったが?」
「……見た?
読んだ?」
「……いや、できれば読みたかったが、
やめておいた」
「ハハッ……
そら、ありがとうな」
いずれ読ませるつもりはあるが、
今はまだ調整中だ。
「ほんで今日はどないするねん?
訓練か?
依頼?」
「……依頼だ。
実践を積み重ねるのも大事だ。
練人は意外にも弱くないからな」
「さよか」
強いと思われるのは緊張するし、
調子に乗って痛い目に遭う。
サイレンの評価なら過大評価せずに済む。
「ほんなら、依頼を選ぼうか」
「ああ……」
そして、依頼掲示板を眺める。
「……気になる依頼はあるか?」
「いや、今回はサイレンのチョイスに任せるわ」
「……なら」
サイレンが持った依頼は以下の通りだった。
〈草原の大喰らいガエル
今、草原でカエルが増え始めているんです。
カエルが増え続けたら、
家畜だけではなくて人にも被害が出るかも知れません。
できるだけ多く討伐してください。
報酬金:四百デラル。
カエルスライム一体につき百デラル〉
「【カエルスライム】?
カエルの顔したスライムか」
小説を書き終えた後で、
魔獣図鑑を最初から読み始めて良かった。
「ああ……
ブヨブヨの皮膚と体だから打撃は通じにくい。
カエルスライムだから威力によるが水属性は効かない」
「……まあ、
カエルとスライムだからイメージしやすいわ。
で、威力による?」
「……川を泳ぐカエルも、
濁流に巻き込まれたりしたら死ぬだろ」
「……ああ、
過剰だと水でも通用するんか」
水属性が不利だと思った。
だが、確かにHランクでも受けられるカエルスライムと、
上位ランクの水属性の冒険者。
どっちが勝つのかと思うと上位ランクが勝つと思うな。
「まあ、剣や原初魔法使える俺は、
あまり打撃使わんから大丈夫やろ」
「……なら、多少は任せるぞ」
「つまり、サイレンも戦うんか?」
「もちろん……
実践をしないと鈍ってしまいそうでな。
私としても魔法を使いたい」
「戦いながら見る暇あるかな」
「……ヤバいと思ったら集中しろよ」
「はいよ」
そして、
サイレンは依頼書を受付まで持っていく。
「……依頼を受ける」
「わかりました。
カードをお願いしますね。
そして、依頼書にサインを」
俺達はカードを渡して、
サイレンがサラサラと依頼書にサインをする。
「依頼受理完了しました。
頑張ってくださいね」
「……コガワから草原まで近い。
今回は徒歩で行こう」
「ほいよ。
話変わるんやけど、
【グラットンベア】って強いん?」
「……練人はまだ早いぞ」
「てことは強いん?」
「……強いな。
そして、凶暴だ。
食事を邪魔すれば怒って大暴れをする上に、
条件が整えば人も喰らうからな。
その危険度はオークと同等だ。
私は戦ったことはないが、
森林がある場所では頻繁に出没する。
だから上位ランクの冒険者に依頼して、
巡回することもある」
「さよか」
「……何故、聞く?」
「ちょいっとな」




