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小説作家の冒険者生活  作者: 才練人
〜魔術師の先輩との会合〜 第1章 先輩冒険者との再会

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第101話 ユレイラ達との会話

「最初はグー!

 じゃんけんぽん!」

「……あいこでしょ」


 そして、サイレンがグー、

 俺はチョキで負けた。


「グアア!

 負けた!」

「……勝った。

 ……だが、今回は私の勝ちの方がいいだろ?」

「目の前にサイレンの先輩おるのに!?」

「メリ?」

「……向こうも」

「あいこでしょ!

 あいこでしょ!

 わああん!

 負けた!」

「……勝った」

「シャア!

 一緒の部屋!」

「……いや、むしろ、あっちの方が健全やない!?」

「練人様の言う通りです!」

「メリ〜?」


 女性が普通ユレイラさんのような反応で、

 男性が普通レオさんの反応だ。


 勝ったのはヒューズさんだけど、

 クール系じゃんけん強いな。


「……勝ちは勝ちだ。

 ……私達は今回は一緒の部屋だ」

「シャア!」


 ベンガス、嬉しそうである。


「くそ!

 今月に限って忙しいのに!」

「……?

 何か予定あるのか!?」

「い、いや!

 今までの話が溜まりに溜まって、

 急いで書かへんとなと思っとるねん」


 しばらくは俺達の話を集中的に書かないと間に合いそうにない。

 今でも猛スピードで三章終わらせたところだし。


「……?

 練人くん、何か書いているの?」

「あっ、やべ」

「……練人は小説を書いているんだ」

「小説?」

「ああ……

 私は毎日読んでいるぞ」


 おかげで俺達の小説、百話地味に達成できました。

 これも読んでくださっている皆様のおかげです。


「どんな小説なの?」

「……探偵小説だ」

「探偵?」

「ああ……

 今度読んでみるといい」

「ちょっと引っ張った意味ある?」


 ユレイラさん、俺が小説書いているの気づいていないと思って、

 百話目の話では書いていなかったのに。


 まあ、俺達の小説は今でもサイレンと俺との秘密だ。

 今明かすと、緊張してカッコつけて怪我になりかねないし、

 書かれると思うと人は自然と緊張するものだ。

 サイレンが別格なだけで。


「へ〜

 意外ね〜」

「……練人様、今渡してもよろしいのでは?」

「まあ、ええわ」


 カバンから丁寧に包装した紙の束を渡す。

 とりあえず掴みのために、

 【熊に喰われた男】編でも読ませるかな。


「後で読んでおくわ」

「ちなみにペンネームは『才練人』。

 できれば感想よろしくお願いな」

「ええ……

 それで、サイレンは本当に有言実行するよね」

「ん?」

「……サイレン、十歳の頃から、

 男女同じ部屋で寝ても平気だって言って……」

「……?

 何を言っている、ユレイラ……

 ……冒険者なら普通だろ?」

「……もしかして、サイレンが十歳の時に、

 一緒の部屋に泊まるのを見られちゃいましたか?」

「……サイレン、小さい頃から冒険者ギルドに入り浸っていたのよ。

 そりゃ、私達もサイレンが可愛くて、娘や妹のように扱ってきたの。

 だから、サイレンにとって冒険者と一緒にいた方が気が楽なのよ。

 逆に一般人とか冒険者でもない相手の場合はガードは硬くなり気味だけど」

「……そりゃ、今までのサイレンを見ていればわかるし、

 サイレンからも静かな場所は好きだが、

 冒険者ギルドの中も嫌いではないと言っとったし……」

「そう。

 そうなのよ。

 本当に可愛い妹なのよ。

 クールな今でも私には可愛くて可愛くて……」

「ふむふむ」

「……でもね、冒険者って良くも悪くも自由なのよ。

 偏見とか持って接したりしないけど……

 男と女が一緒の部屋に泊まることも確かにあるの……

 節約のためだったりね……


 他には男と女が一緒になって酒を飲んで、机にだらけきって寝たり、

 肩とか寄せ合って寝たり、酒とか諸々の勢いで一夜をーー」

「そこまで言わんでええ!」

「他には、サイレン、故郷にいた時は彼氏とか大切な異性とか、

 そういうのを作る気はなかったのだけど……

 その理由もアタシ達が原因なのよ」

「というと?」

「男女一緒にやっていれば、ほら恋心とかそういうの芽生えるじゃない?

 一戦を共に戦っていれば気持ちに変化が現れるっていうか」

「……小説などの創作物でもよくありますもんね」

「……仲間とかそう言う区分を気にせずに、

 一緒にデートする冒険者もいたわ。

 それを見られちゃってね……

 “今から急いで作らなくても、いずれできるからいいや”と、

 思うようになって魔法とか冒険者に向けての訓練に、

 気持ちが向くようになって……」

「何言ってるんですか、その筆頭はユレイラさんでしょ」


 そうレオさんはすかさずにツッコミを入れる。


「ユレイラさんが?」

「ううっ、やっぱり、アタシ?」

「サイレンさんの原因の大部分はユレイラさんです。

 ユレイラさんだって勢いで男女一緒の部屋に泊まったり、

 虫とか出たら不気味に思って、

 誰彼構わずに抱きついて助けを求めたり……

 サイレンさんと一緒にいることが多いのはユレイラさんですから」

「あんたもかい!」

「い、いいじゃない……

 反省しているんだから……

 さ、サイレンにも伝えたけど、気にしてないし……

 自分が鈍感なことも自覚してるわよ」

「……せやろうな。

 鈍感で天然かと思ったら、

 意外と男女間の気持ちに理解を示していたり」

「流石、サイレンの最初の仲間ね。

 理解してくれて助かるわ〜」

「……ネーミングセンスも良くて、本当に良かった。

 ……ある意味ではサイレンさんの故郷の冒険者ギルドでは、

 本気で感謝されるわよ」

「……せやろうな。

 シャイニング・ピカドーン・バーニングやったり、

 シャイニング・ピカ・バーニングやったり……

 効果はすごいんやけど、ネーミングが残念やったわ」


 まさか、その名前が俺が何とか変えたとは思うまい。


「……ちなみに練人くん、

 さっきの『あっ、やっべ』はどう言う意味なのかな?」

「あ、ちゃんと聞いてたんやな」


 てっきり話を流してくれたと思ったのに。


「そりゃ、アタシ達冒険者なのよ。

 話の中にバカにはできない情報もあるし、

 聞き漏らしはしないわよ」

「ですよねー」


 さて、どうするか。

 と、言いたいのだが、俺が秘密にしていることは悉く、

 すぐにバレるのがオチなんだ。

 俺が転移者だって話も、サイレンに一瞬でバレたし。


(……ああ、ヤバい。

 もう正体バレたし、今更隠しても意味ないやろと思って、

 今まで転移者だってことが相手にわかっている前提で書きまくったから、

 俺達の話を読んだらすぐにバレてまう!)


 好き放題書いて弊害なのだろうか。

 しかし、バレているのに、隠して書くってのは大変なのである。

 改稿とかもしないといけなかったし、

 百話を書くのは本当に大変なのである。


 俺の拘りと言えばそれまでなのだろうけど、

 基本的には一章につき八話、

 一巻分の文字数は十万二千四百文字でやっているから、

 そのやり方をやめようと思っても、

 書き直して俺が転移者であることを隠そうと思っても、

 もう遅いのだ。


 偶に四千文字や四千八百文字を書いても、

 次に書く文章のための貯金のようなものになっている。


「……何か言えないこと?」

「言いにくいって言うか、

 言うのは恥ずかしいと言うんか……」

「……まさか、えっちなやつ?」

「ちゃうわ」

「じゃあ、何よ」

「え〜と……」

「……私の物語だ」

「え?」

「サイレン?」

「……練人には私の冒険者になる前の話を書いてもらっている」

「サイレンが冒険者になる前?」

「……私としても意義がある。

 ……他にも様々な才能がある子がいるだろう。

 ……そう言う子達がきちんと良い人になれるように、

 才能があってもそれだけで生き残れるほど、

 冒険者の世界は甘くないと伝えるためにも……

 その意義がある」

「……だったら、なんですぐに言ってくれないの?」

「……少しデリケートな話もするからだ。

 ……ほら、あの時のどーー」

「わああああ!」

「……ど?

 何や?」

「え!?

 サイレン、あの時のことを書いてもらうの!?」

「ああ……

 もう話しても大丈夫だろうしな」

「それって、実質あのこともバラすことになるわよ!?」

「……だから、練人も決めかねているんだ」

「……ちょっと考えさせてね。

 ……今日はパーティーに相談するから」

「……ああ」


 ユレイラは急いで自分達パーティーがいる部屋へ入っていった。


「……助かったわ、サイレン」

「……フォローはすると前に言っただろ。

 さっ、入るぞ」

「ほんま、ありがとうな」

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