第三章:夢で逢えたら 3話
「でも、自分が知りたいことだろ。答えを知っている人がいるのなら、聞くべきだ。傷つけるかもしれないとしても、本当にわかりたいのなら聞け。相手のためを思うことは大切かもしれない。でも、自分の想いを尊重することだって大切だ。だいたい、そんなこと我慢したって、どうしようもないだろ」
そんなこと我慢したってしょうがない。確かにそうだろう。答えは簡単で、こんなこと普通は悩む必要なんてない。
けど、傷つけてしまうんじゃないかって。不安になる。
多分、今までの俺は相手がどう思うかとかよりも、自分が相手にどう思われるかが大事だったんだと思う。本当は、相手なんてどうでもよかったんじゃないかって。
自分、自分、自分って、自分ばっか大事だったのかもしれない。
本当、嫌になる。
でも、彼女は違う。どうでもよくなんてない。
きっと、今まで出会った人の誰よりも。
夢でしか会えない。
何処に住んでるのかも知らない。
存在してるのかもわからない。
だからこそいろんなことを話せた。
俺が黙って考えてるのを見て、進藤が言った。
「お前さ、あんまり考えないで動いてみたら?」
「・・・何でですか?」
「お前の場合、考えて動いた方が損。選択肢が二つあるのなら、直観的に自分のしたいと思う方を選んだほうがいいぞ。悩めば悩むほどどっちがいいかわからなくなるから」
「でも、悩んでじっくり考えた方が良くないですか?」
そう言うと、進藤はため息を一度ついてから言った。
「ウジウジ悩むより、スパッと決めちまった方が気持ちいいだろ?」
「気持ち良いって・・・」
楽な考え方、最初そう思った。
でも、そんな風に選択できたら良いだろうな、とも思った。
直感的に自分のしたいと思う方、か。
直感で・・・
――よし、決めた。
あんなに迷って悩んでたのに、答えはすぐに出た。
それからもしばらく仕事をして、また早めに事務所を出た。
外の風はやっぱり冷たく、とても寒かった。
体を温めるために、いや本音を言うと、早く部屋に戻って仕事を終わらせ、夢に落ちるために帰り道は走って帰った。
早く、会いたい。
マンションについてもエレベーターを使わないで、階段を走って上った。
エレベーターを待っていられなかったからだ。
息が上がる。でもなぜか足は軽い。




