表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
33/41

第三章:夢で逢えたら 4話

鍵を回し、部屋に入るなり急いでコップに水を汲み、それを一気に飲み干した。


ゆっくりと息を整える。

なんだか笑えてきた。


こんなに息を切らせてまで、誰かに会いたいと思ったのは初めてかもしれない。


なんか変な感じだ。

・・・嬉しい・・・のか?

よくわからない。


ささっと急いでシャワーを浴び、サイに餌をやる。

それからすぐに仕事の続きに取り掛かった。



早く、早く、早く。



心の中でそう何度も呟きながら手を動かす。

それと同時に頭もフル回転していた。


その頭の中で、不安も一緒に激しく動く。


会ってどうしよう。

まずなんて言おう。


その不安を頭の隅に追い払う。

けれどすぐにそれはまた動き出す。


あれこれ考えながらも、ちゃんと手を動かしてはいたのだが、結局終わったのは2時だった。


彼女はもう向こうにいるのだろうか・・・。


ふとそんなことを思う。


電気を消し、布団の中へ潜り込む。


ご飯はもう食べる気にならなかった。空腹感は確かにあるが、時間も時間だし、何よりもう疲れてきってしまっていた。


体が重い。

動きを止めると、全部の疲れが下に落ちていく感覚がする。


布団はなんだかすごく冷たかった。

そのせいかいつもより落ちるのに時間がかかった。




何もない白い世界は、今日はなんだか寂しそうだ。

なんだろう。自然とそう思った。

いつもと変わらないはずなのに。


しばらく歩いていると、いつの間にかベンチは現れる。


彼女はもうそこにいた。


今日は膝を抱えて縮こまってはいなくて、前みたいに目をつぶっている。


初めてその姿を見た時のように、まるで寝ているように見えた。


それを見ると、なんだかほっとした。


ここでは足音がたたない。日の光とかもないから影もない。

だからだろうか、俺が近くに行っても彼女は全然気がつかない。



「こんばんは」



俺の挨拶でようやく彼女は気付いたらしく、ゆっくり目を開けてから落ち着いた口調で挨拶を返した。



「こんばんは」



そう言った彼女は笑顔だった。いつもの笑顔。彼女をあまりよく知らない人はそう思ってしまうかもしれない。


でも本当の彼女の笑顔じゃない。

それくらいもうわかる。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
このランキングタグは表示できません。
ランキングタグに使用できない文字列が含まれるため、非表示にしています。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ