第三章:夢で逢えたら 2話
事務所に着くと、いつものようにみんなせかせかと働いていた。
何人かの人に挨拶を交わしてから、自分のデスクにつき、仕事に取り掛かる。
仕事をしながら進藤のくだらない話を聞いて、昼はコンビニのパンで済ませ、その後同僚と少し話して、小林沙也ともいくらか話した。
ああ、変わってない。
なんだろう。そう感じる。
変わりつつあったのに。
何故だろう?
なんだか、空しい。
ここ最近、いつもとは違っていて、なんだか楽しかった。
何かが変わっていくのを感じていた。
なのに・・・
ふと思い出されるのは、夢の中の彼女が顔を伏せて小さくなっている姿。
ああ、そうか。
彼女が笑ってくれると、なんだかこっちまで楽しくなった。
彼女が話を聞いてくれるのが嬉しかった。
やっぱり、彼女のことを知りたい。
そう思うのはいけないのだろうか?
迷惑だろうか?
「あーー・・・」
イスの背もたれに体を預け、天井を見る。
「どうした?」
となりの進藤が、少し笑いながら聞いてくる。
「いや、別に。ちょっとした考え事です」
慌てて体を起こす。
「へぇ、考え事」
「あんまり興味なさそうですね」
「だってお前、こっちから深く聞いても言わなさそうだし。相談に乗ってほしいです、とか可愛げのあること言われたことないし? 悪かったなー、相談も持ちかけられない頼りなさそうな先輩で」
なんか、少しふてくされてる・・・?
「じゃ、あの・・・相談に乗ってほしいんですけど」
「“じゃ”ってなんだよ。“じゃ”って」
「いいじゃないですか別に。そんな細かいこと」
「まあいいけど」
良いなら言うなよ、面倒くさい。
「で、相談って?」
「仕事しながらでいいんで」
パソコンの方を目で見て促す。
「そうか」
二人してパソコンに向き直る。
「あの、例えば、進藤さんがすごく知りたいことを誰か一人が知っていたとして、でもそれをその人に聞くのは迷惑かもしれない。傷つけてしまうかもしれない。でも、それでも知りたいとしたら、どうしますか?」
「そんなの、簡単だ。その人に聞けばいいだろ」
「迷惑かもしれないのに?」




