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箱館・怪談散歩  作者: オブチアスマ


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第80歩 退職間近に

 Fさんはレストランで器具の故障があり


「上の階にある機械倉庫に工具箱があるので取って来て欲しい」と頼まれ

普段、使用しない裏階段を上がって工具を持ち戻ろうと

階段を下りていて

ふと上の階に続く踊り場を見ると

上半身だけの女の人が居るのを見てしまった。


虚空を見つめて漂う上半身、この世の者で無いのは明らかだ。


『うーやばい』

向こうに気付かれないうちに工具箱を手に取り、そそくさとレストランに戻った。


 その辺(あたり)から、売り場のエレベーターが無人で勝手に動くようになった。


点検も行われたが原因がわからないようだった。


 そして朝晩の出退勤時、出入り口で持ち物チェックを受ける。

警備室のメンバーが変わり何人か続けて警備員さんが辞めていった。



 ある日、職場の仲間が噂していた。

「警備員が辞めていく原因は屋上から飛び降り亡くなった女性の霊のせいじゃないか」

噂を聞いて何も知らなかったFさんが

「それはいつのこと?」」と聞いてみると

Fさんが裏階段の踊り場で上半身だけの女性を見た時と一致した。


 程なく、この有名大型スーパー自体が閉店することになり

「ほかのレストランを任せるのでそちらに移動してくれ」と

Fさんは会社に頼まれたが店長などやったことがなく

責任重大そうだったので、

あっさり閉店と同時にレストランを退職することになった。

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