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箱館・怪談散歩  作者: オブチアスマ


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第19歩 記憶にございません

怖い話や心霊スポットが好きだという人に会う事がある。


この話は日常の中で発生した出来事で何もわざわざ心霊スポットなどに

行かなくたって人はいつ・どこで、あやかしに出会うかわからない・・・

そんな、お話です…


 昔、月曜深夜、私がコンビニで夜勤をしていると

毎晩の日配品が届いた。

早い話が牛乳やお弁当など冷蔵保管が必要な商品だ。


検品作業中に運送トラックのドライバーさんが唐突に口を開いた。

「いやあー昨日えらい目に遭っちゃってさあ」と言う。


「どうした?」聞くと、話はこうだった。


 前日ドライバーのTさんは休みだった、休みの前夜・土曜日の夜、職場の仲間数人と街に呑みに出かけた。


 一軒目は焼鳥屋さんで二軒目はビルの中にあるスナックへ行った。


Tさんは何杯か飲んで顔が熱くなってきた。


仲間に

「ちょっと上で涼んでくる」と伝えてビルの屋上に出て煙草に火をつけた。


繁華街の景色を見ながら、ふと向かいのビルの屋上に目をやると


 女が立っている。

  

『あー女がいるなあー』と思いながら見ていると

その女は、ゆっくりとこちらに手招きをはじめた。

―おいで、おいで―と繰り返す。


「そこ迄は憶えてるんだけど・・・」

Tさんは気が付くと屋上で寝転がっていて仲間にビンタされていた。


「おい、どうしたあっ、しっかりしろ!」

 

 仲間の話ではTさんの帰りが遅いので屋上に来てみると

Tさんは金網をよじ登り

今にも屋上から飛び降りようとしていたのだという。


「おれ殺されるところだったんだ・・・」

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