第18歩 夜中の歩行者
現代怪談ともなれば余計な情報は極力削ぎ落とし怪異にだけ目を向けて書けば良いのかもしれない。
良い時も悪い時も、街に愛着を持ち笑ったり泣いたりしながら生活する人々の隙間に現れた怪異たち。
その怪異を起こした原因が、あるのだとしたら、それらも、かつては街に愛着を持ち懸命に生きた人々の証しであったり、古くからいる、あやかし達の思いが見えてくるのではないでしょうか・・・
私が中学生の頃とにかく母とは意見が合わず会話の少ない親子だった。
その頃、母は私の同級生の実家が経営する水産加工場に働きに出ていた。
工場は朝が早く母は夜中二時半に家を出ていた。
通勤には住宅街を通り抜け通っていた。
その道は私の小学生時代の通学路でもあった。
ある日、妙な笑みを浮かべた母が、おかしな事を語りだした。
「けさ、変な事あって・・・」
夜中、工場へ行こうと住宅街を抜け遠く突き当たりに学校の校舎が見える見通しの良い一本道まで来たとき学校の方から、こちらに向かって誰かが歩いてくる。
白い服を着た人だ、一本道なので、こちらもそのまま歩いたが何かがおかしい。
自分は前に進んでいて前方の白い人も、こっちに歩いて来るが一向に距離が縮まらない。
「あれ?・・・」
益々おかしいと思い目を凝らして前方の白い人をよく見てみると照明も無い暗い道でボウッと全体的に発光しているように見える。
そして足だけが動いている。
お互い前に進みつつも、やはり距離は縮まらない。
星空の綺麗な真夜中、辺りは静まり返っている。
段々と気持ち悪くなってきた母は道を引き返し脇道から表通りに出て工場へ行ったという。
私はその白い人は死者なのかと思い母に、その服装を聞いてみた。
「着物だった?それとも洋服?」
だが、その返事は曖昧で
―ボウッと全体的に光っていて服の判別はできなかったという。




