097-チェックメイトへ向けて
「行クゾ!」
俺の号令と共に、命令を待ち望んでいたハイブ兵どもが都市内部へと侵入を開始する。
流石に発達した都市だけある、取水口付近の警戒術式を破壊し、水路から内部へと忍び込んだ。
都市の地下を張り巡らせるようにして水路は存在していて、各所にハイブ兵が待機して機を待っていた。
そして今がその時だ。
「出払ッタカ」
全てのハイブ兵が市街に突入した。
小型ハイブ兵どもは、出口が狭すぎて一度詰まったが、もうすでに八割程度が市街に入り込んでいる。
では俺も上がるか。
「ヨッ、ト」
俺は地上へと出る。
既に喧騒は地獄絵図へと変遷していて、都市に警報が鳴り響いている。
魔族共には、ハイブ兵を都市内でどうにかする手段は無いだろうな。
「見エテイルゾ」
「ちっ、化け物め!」
アンニュイに佇む暇もないらしい。
背後から狙われているのを察知した俺は、飛んできた魔法を触手で弾き落とす。
そして、姿勢を低くして一気に速度を引き上げる。
そいつの背後に回り込み、頭に触手を突き刺す。
「―――〈侵蝕堕落〉」
「ぎっ、がぁあああ!?」
「何ヲシテイル、早ク情報ヲ寄越セ」
「は....はい、何をお望みでしょうか!」
「指示ガ出テノ行動カ?」
「いえ.....私達は哨戒行動中の警備隊です、ベノムドミネーター様」
そうか、警邏。
見回りの警官隊みたいなのか。
一瞬全て見抜かれていて待ち伏せされたかと思っていたが、そうではないらしい。
「ヨシ。オ前ハ仲間ノ所ニ戻リ、最大出力デ自爆シロ」
「はい!」
ハイブ兵どもが暴れている裏で、俺は俺でやることを決めた。
「帰るべき場所」を特定するのも面倒だ、適当にハイブ兵化させて自爆させればそれで済む。
今回はこいつらを資源として利用する気はこれっぽっちもない。
魔王を堕落できれば、生き残ったやつらは堕落させて生かしてやってもいいんだが。
「溶ケロ!」
麻痺毒を発射して、警備隊の注意を引きつけながら堕落させていく。
その上で、
「オ前達ハソレゾレノ拠点ニ戻リ、最大出力デ自爆シロ。対象ガ被ッタ場合ハ周辺ノ避難場所ヲ狙エ」
「「「はい!」」」
堕落させ、人間爆弾として送り込む。
こいつらの最大出力の自爆なら、閉所空間での殺傷力は最大まで高まる。
そして、数分もすれば市内各所から爆発音が聞こえてくる。
「ウム、イイ感ジダナ」
都市内の防衛は警備隊に頼っているようで、警備隊の拠点を二十か所潰した時点でハイブ兵の交戦報告は減っていった。
それにしても、こいつらは魔族の筈だろ?
なんで自分で魔法を使って応戦しないんだ?
「オイ、何故応戦シナカッタ?」
適当に捕まえた女魔族に話を聞く。
腹が大きかったから捕まえるのは楽だった。
「は...はい、一般人は市内で魔法を使う事を規制されています、仮に誰かに当たれば重罪です」
「馬鹿ダナ」
それで身を守れなければ意味がないだろうに。
俺は息を吐き、妊婦の魔族に命じた。
「病院に駆け込むふりをして自爆しろ」
「はい」
どうやらこの勝負、俺の勝ちだな。
これだけ人口がいても、遵法意識が邪魔をして手を出せないらしい。
好都合だ、このまま制圧させてもらおう。
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