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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
第二章:ハイブ拡大編

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089-水運の街アノラス

四日後。

三日かけてアノラスの近辺までやってきた俺は、マイティ・ジェネラルのサバイバルキットを使い野営した。

その日は雨だったから、焚き火はできないと判断してのことだ。

翌日、サバンから出発したであろうハイブ軍が集合地点の地面から現れた。

地下にせっせと設営された臨時の拠点の中で、俺は腕組みをして座っていた。

というのも、目の前に座るハイブが原因だ。


「なぜ、ここにいる?」


千葉彩乃が来ていた。

〈胞子姫(スポアプリンセス)〉をスキルに持ち、俺がみんなの所にスパイとして戻したはずのやつだ。

まさか、バレたのか?


「潜伏が露見したわけではありません、ご安心ください」

「ではなぜだ」

「成り行きと同調圧力により、前線行きの役目を押し付けられたため、これを幸いとしてサバンに旅立ちました」


あいつら...いや、まあそうだろうな。

洗脳のような形で、自然とクラスの一人か二人を中心とした輪が出来上がり、それ以外は割とどうでもいいのだ。

最初からどうでもいい組にいた俺はともかく、死者を出して帰ってきた千葉たちの立場は悪かっただろうな。


「どうせならベノムドミネーター様のおそばにと」

「そういう配慮は要らないが、ともかく助かった」


七海たちを置いて来た以上、都市攻撃には不安が残る。

だが千葉が居れば、広範囲かつ恣意的な無力化が可能だ。


「これが終わった後は、しばらくこの都市の管轄を任せる」

「はい」


無理のないタイミングで帰還させればいい。

あいつらも、どうでもいい存在にそこまで固執しないからな。

「あ、帰ってきた」くらいの認識だろう。


「アノラスは人間との戦いを想定していない都市だ、攻めるのは容易い、だが...」

「はい、守りは硬いのですね?」

「そうだ」


魔物は、魔族という存在に対しても敵意を露にするようだ。

アノラスは人間ではなく、魔物に対しての防備を持つ都市だ。

無防備なのは湖に面している面だけであり、それ以外はブ厚い城壁に阻まれている。


「俺の能力で城壁に穴を開ける。その後侵入し、都市を廃墟と化せ」

「はい...今回は仲間を増やさないのですか?」

「ああ」


イビロンと同じく、ハイブの補給基地にするからだ。

幸い、餌は沢山ある。

ここを拠点にして、グロス・ザクラスにどんどんとハイブ兵を送り込む。

首都への突撃も、短期を想定しているわけじゃない。

魔王が思ったより強ければ、ハイブ兵どもを使って首都の魔族を皆殺しにしてやる。

長期でも戦いを終わらせる。


「では、侵攻ルートについての案を聞こう」

「はい、お話します」


俺は千葉に尋ねた。

考えることは俺の仕事じゃない......からな。


「東の城壁付近にハイブ軍を展開し、強襲部隊とは独立した大型で陽動を仕掛けます。そこをベノムドミネーター様が突破口を開き、城門付近のハイブ強襲部隊を侵入させます」

「いい手だが、港から逃げられると厄介だ、そこは考えてあるのか?」

「はい、小型の蟲は全て港付近の湖底で待機させます」


なるほどな。

いざとなれば船に穴を開けて沈ませることも可能だ。

蟲くらい単純だと、水中での活動時間は格段に高まる。


「ではそういう事で決まりだな。末端の動きはそちらで決めておけ、穴を開けるまでは意思疎通はできない」

「わかっています」


俺は「俺」として話している間、ずっと「俺」との差異を感じ始めていた。

俺は「俺」とは違って、この現実に存在する自分自身の筈なのに、何故だかそれが虚構のように思えてきてならなかった。

その理由はわからない。


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