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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
第二章:ハイブ拡大編

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088-出発

二日後。

俺はパラノラスに集結したハイブ軍を見ていた。

地下の避難所に大穴を開け、そこにハイブ軍を放り込んだ形だ。


「後は任せる、テフヌト」

「グルォア!!」


現地で捕まえた魔物を堕落させ、ハイブ兵の指揮官個体へと変えた。

見た目はライオンとあんまり変わらないが、知性は高いし擬態を解けば一般ハイブ兵と戦闘力では変わりないだろう。


「では、行ってくる」

「おっけー」


俺は城門の前に立ち、パラノラスに残していく七海たちに目を向けた。

現在「勇者」の位置はケラスだ。

すっかり忘れてたが、ケラスを落としたとの報告が来た。

恐らく魔王軍は、ケラスに一番近い同緯度にあるこのパラノラスに、軍を集結させるはずだ。

そこを一網打尽にする。

だがそこに俺は関与せず、俺は一歩先にアノラスへと向かい、堕落させる。

グロス・ザクラスの周囲は情報の交換が盛んで、どんな短時間の襲撃でも襲撃があった事はわかってしまう。

だが、アノラスはケラスと湖を挟んで対角線上に位置する都市だ。

船で行き来する形であり、首都に近いながらも情報の行き来が遅い場所となる。

ここから、俺たちは水中を伝ってグロス・ザクラスへと侵攻する。


「.....でも、どうして、そんなに急ぐ必要がある?」


その時。

小林が俺にそう言った。


「それは勿論、本来の勇者どもにバレないように、迅速に進める必要があるからだ」

「どうして? ここは魔王国内地で、もう慎重に進めてもいい頃だわ」

「それではダメだ、もっと早く、」


言葉に詰まる。

俺は自分がなぜこんなに急いでいるのかを、説明出来なかった。

頭のいい小林を納得させるだけの理由が無かった。

...いや、いい。

こいつらはどうせ絶対服従だ。

誤魔化し切ればいい。


「...いや、この計画はお前たちには秘密だ」

「そう。頑張って、春樹」


堕落させていなければ絶対に貰えないと分かりきっているエールを受け取って、俺は城門から出た。

ここからは徒歩の旅だ、アルーン湖の湖畔まで一日半。

そこからは適当な水棲生物を堕落させ、一気にアノラスへと向かい、同じく湖底を通過するハイブ軍の到着を待つ。


「行ってくる」


誰にも聞こえない言葉を言い訳のように打ち捨てて、俺は歩き出した。

リュドミラ特注の魔道具で、俺の姿と魔力は魔族のものになっている、道中で疑われる事はないだろう。

何より歩いて忘れたかった。


「あ、そーだ!」


その時、背後から声がかかる。

城門から走ってきた七海が、俺の側で立ち止まる。


「アノラスには、既にハイブを出発したもう一人の勇者が向かっているとの事です」

「そうか、わかった」


俺は頷く。

そして再び振り向き、歩き始める。

用意してもらった靴は、今までのよりだいぶ都合がいい。

やはり魔族の加工技術は、人間よりだいぶ発達しているみたいだな。

こっちを先に手に入れたほうが、有益だった。

...だからかもしれないな。

俺が隠した、本末転倒への傾倒を満足させるために、俺は魔族を手中に収めようとしている。

ハイブ兵も、深淵教団員も、グレイラインPMC兵ですら分かりっこないだろう。

この俺が、いつの間にか蹂躙する事に快楽を得ていた事に。

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