083-デート?
翌日。
俺はアジラスを見に行くことにした。
たまには七海を連れ回すのをやめて、小林を連れて行く事にした。
俺一人だと危険だからな、盾は必要だ。
「行くぞ...って、何だその格好」
「ハルキと出掛けると言ったら、教団員がお洋服をくれたから」
「ふうん」
やたらお洒落な服を着ているなと思ったら、教団員に手渡されたのか。
俺も色々と貢がれているが着てはいない。
多分俺の容姿でいい服を着ると、服に着られる事になりそうだ。
「今日はどこへ行くの?」
「適当に、アジラスを見て回る」
アジラスはもともと大都市だ。
だから、見学して何があるのか見ておくのは悪い事じゃない。
当分の生活の場にもなるしな、ここは。
「朝飯がまだなんだよな、市場に店があるといいんだが」
俺たちは街を歩くが、住民達が俺を教祖と呼んだり敬う気配はない。
当然だ、先日の聖女リュドミラの発表により、俺の表の立場は旅人という事になっている。
リュドミラが色々と手を回している旅人という立場である事を意識して触れ合え、という事だな。
「ここが、市場.....」
「へえ、新鮮だな」
俺は溜息を吐く。
人間側の市場も見たことがあるが、地球でも世界の映像で似たようなものを見たことがある。
だけど、角や獣耳を持つ魔族が闊歩する市場というのは、新鮮だ。
「お、あるな」
オープンテラスのような感じのカフェテリアを発見する事が出来た。
そこでだいぶイメージと違うパンケーキを食い、市場を歩く。
「魔族にも奴隷がいるんだな」
「そうなのよ、でも....人間とはずいぶん扱いが違うみたいだわ」
市場を見回ってまず得た知見は、魔法による加工技術が進んでるという事だった。
薬や飲み物は瓶に入り、食べ物や果物は紙で包まれている。
次に得た知見は、魔族にも奴隷がいるという事だ、ただし――――戦奴、農奴、仕奴という分け方をされていたが。
戦える奴隷、農耕をする奴隷、力仕事や教育によっては使用人にもなれる奴隷と分けられている。
「なるほど、こういう使い道か」
奴隷商人から情報を得た俺たちは、城壁付近の練兵場へ向かう。
戦奴はまさに戦争に使う奴隷で、練兵場で首輪を付けた色々な魔族が訓練をしている光景が見えた。
魔力の高い魔族も、中央から供給される魔封じの首輪をつけられると抵抗できないらしい。
ちなみに深淵教団だが、奴隷の立場は存在する。
信仰を心に宿し、苦しみの中で光を求めろ、というわけだ。
「水はこうして得るわけか」
魔族も水源に頼る事は珍しくないみたいだが、こうした大きな街であれば、水場があるらしい。
魔道具を使い、魔法で生み出した水を貯めている。
魔力を使いたくない魔族向けではあるようで、あまり人気は無いようだが。
「魔族の都市は効率化の果てにあるのかもしれないな」
「そうね....」
建物の配置で術式の効果を高め、防衛術式に必要な魔力は街の中にいる魔族から少しずつ募る。
余った魔力は、こういう装置に供給されている。
だからこそ――――
「今後の方針も、また同じか」
防衛術式の堕落こそが、都市の陥落に必要なものだ。
最も厳重に守られたものが、都市の最も脆弱な弱点となる。
次は最後の「俺」も活躍できるに違いない。
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




