表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
序章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/64

008-実害

怪我の件をきっかけに、俺の存在は再び思い出されたらしい。

壁のシミと同じだった俺が、あいつらの脳裏に留められるようになった。

それを嬉しい事だとは、よほどのマゾヒストでもない限り思わないだろう。


「わりー、これやってくれよ」

「これって...」

「愛菜と約束あるんだわ、あとで何か奢....いや、何かやるよ」

「分かった」


どうせ守られない約束だが、俺はやることがないので引き受ける。

あいつらみたいに訓練しても意味は無いしな。

神殿での生活は、衣食住は向こうが用意してくれるが、身の回りの事は自分でやる必要がある。

だから俺はこうして、廊下をブラシで掃除していた。

異世界でも似たようなものはあるんだな。


「(意外と楽しいな)」


水をかけてブラシで擦ると、面白いように汚れが浮く。

こういう単純作業は得意な方だ。

いや、自慢には全くならないんだけどな。


「よし」


神殿は結構綺麗で、床の汚れの多くは土埃が中心だった。

俺は吹き抜ける風を浴びながら、アーケード状の回廊を掃除して回る。

気が付くと、だいぶメインの建物から離れてしまっていた。

崩れ落ちた建物も多くあるから、それに通じる通路なんだろうな。

こんな建物を使ってるくらいだし、この国も相当切羽詰まって居そうだ。


「――――」

「っ」


その時、遠くから声が聞こえてきて、俺は慌てて隠れる。

何で隠れたかは分からないが、強烈に嫌な予感がしたからだ。


「でさあ」

「マジか、帰ったら買うわ」


内田と柏木だ!

俺が最も苦手とする相手二人だ。

あいつらはクラスの中心人物でもあって、滅多に二人で行動しない筈なんだが...

ともかく柱の陰に隠れたまま、二人がどこへ向かうのかを目で追う。


「ああ?」

「この辺にいるって聞いたけどな」

「おい、出てこいよ!」


目的は俺か。

なら尚更出てくるわけにはいかない、何をされるかわからないからだ。

あの二人は特に嗜虐心が強い。

要するに、俺が弱いのがいけないんだ。

弱くて抵抗できないから、虫の脚をちぎって遊ぶように弄ばれる。

ここで縮こまっていれば、バレない...


「お、いたいた。何で隠れてんだよー?」

「何もしないからさ、出てきなよ」


しまった。

掃除用具は流石に隠せない。


「よお」

「よ...よお」


久々に声を出した気がする。

精一杯猿真似してみるが、既に手遅れらしい。

肉食獣に見つめられているような気分になっている俺に、素早く柏木が飛び掛かった。

気付いたときには足を掴まれて、地面に引きずられていた。


「や、やめ!」

「お前さ、最近ちょっと調子乗ってるだろ?」

「躾が足りないんじゃないかと思って」


足を抑えられているので、何も出来ない。

そのまま、内田が近づいてくる。


「ほら、ほら~」

「や、やべで!」

「くすぐったいのかよ、ほら、こっちも」


股間に手が伸びてくる。

平気でカンチョウなどと言ったり、局部を触ろうとしてくる。

こいつらの間では当たり前のスキンシップなのかもしれないが、俺には気持ち悪いだけだ。

ずっと、ずうっと同じことをやられて来た。

教師も周囲も止めない。

親に言えるわけもない。

怖いから?

違う。

尊厳を自分自身で守れなかったなんて、情けない事を言えるわけがないからだ。

傲慢だ?

そうだろうな。

味わったことがない人間には、一生分からない。


「...........」


結局ズボンを奪われた俺は、それを探して神殿内を回った。

池に捨てられていたのを見てショックを受けたが、その辺に干して黙って帰った。

後でローブを貰えたが、それで肌寒さが防げても、惨めさが収まるわけでもなかった。


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ