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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
第二章:ハイブ拡大編

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074-『深淵』の目覚め

サバンの城壁の外に立った俺は、高い城壁を見上げる。

俺たちがこの世界に召喚された時、王家はこの街を見捨てたという。

本当の思惑がどうだったかは知らない、ただ哀れだと思った。

その仇討ちというわけでもない。

ただ、


「悪く思うなよ」


お前たちは二度屈する。

一度は魔王軍に、次は俺の深淵教団(アビサル・カルト)に。


「...〈堕落(フォールンダウン)〉」


俺は自分の姿が光に包まれるのをその目で見た。

ベノムドミネーターとは随分な違いだ、しかも目立つ。


「お前! そこで何をしている!」


そして案の定見つかった。

自分の姿を省みる暇もなく、俺は地面を蹴って空へと跳んだ。

高かった城壁が、あっという間に眼下へと移行する。


『聞け』


俺は風に属する拡声の魔法を使う。

からっきしだった才能が、この姿では満ち溢れている。

満ち溢れすぎて、一部を除いて詠唱も要らないらしい。


『俺の名前はドゥームロード。真の救済を持って、お前たちを深淵の苦悶より救いに来た』


「俺」が喋っている。

慣れない感覚だ、自分自身が別の何かの代弁をしている。

そう、劇を演じるような。


「第三分隊! 攻撃開始!」


眼下から、無数の魔法弾が飛んでくる。

そうだろうな、ここはあらゆる地点から射線が通ってしまう。

だが、無駄だ。

世界を手中に収めた「俺」はそこまで弱くない。


『頭が高い!』


重力魔法を使い、斥力で魔法を跳ね除ける。

この姿の時は、ベノムドミネーターの時と同じく、自分の能力が手に取るようにわかる。

それは魔法も一緒だ。


『神の怒りを知れ』


俺が神様に怒りたいところだけどな。

こんな目に遭わせやがって。


『〈神雷(ケラウノス)〉』


格好つけるように、魔法の名前を口ずさむ。

詠唱がいらないので、コレは本当に無駄な行動だ...照れ隠し? かな。


「ぎゃあああああ!」

「ぐわあああああ!」


空から雷霆が降り注ぎ、俺の目から見えていた全ての魔族を狙い撃ちにする。

あの様子じゃ生きてはいないな。

今回は少しは生かさないとならない、儀式を始めよう。


『深淵の闇よ、我が命に応え呼応せよ。脈動し、邪なる息吹を吐き出させよ...〈第一封印(ファーストシール)解除《・アンロック》〉』


儀式魔法とやらには詠唱が要るらしいので、俺は厨二病丸出しの詠唱をさっさと終わらせる。

直後、街の地面が無数に隆起していく。

隆起した地面の下は地下ではない、深淵教団(アビサル・カルト)が提唱する、深淵の闇の世界、第三の世界に繋がっているのだ。

自分でも何言ってるかわからんが、よーするに深淵教団とは、教祖の「俺」が仕掛けた盛大なマッチポンプらしい。

深淵の神とやらも「俺」の操り人形に過ぎず、深淵の怪物に殺されたくなければ入信し救いを得よ、というひどい詐欺を仕掛ける宗教だ。


「なんだああ!?」

「化け物だ!」


蟲どもと合わせて這い出してきたのは、不気味なほどに黒い六脚の虫のような深淵生物だ。

高い魔法耐性と高い魔法適正、知性を併せ持つとか。

だがあくまで深淵第一層の生物、もっと深くなればより強くなる。

現地で軍団を用意するベノムドミネーターとは、扱い方が違いすぎるな。


「くそ! 攻撃が効かない!」

「バカな、魔法剣だぞ! 人間には通じたはず!」


眼下で苦戦する魔族達を見て、俺は暫し悦に浸る。

そして我に返った。


「おっと危ない」


俺がするべきことは都市の陥落じゃないからな。

次に移ろう。



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