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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
第二章:ハイブ拡大編

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069-魔王国への侵略

さて、勇者を十人堕落させることができた今、次の目標が必要だ。

今までは舞台装置が揃わなかったので大きく動けなかったが、大胆に行く必要が出て来たと俺は感じている。

ちまちま動き続けると、本当にあいつらが英雄になってしまうだろうな。

いや、英雄になっていただく事自体は俺も望むところだ。

人生の絶頂から引き摺り落とす方が、復讐にはなりうる。

だが漁夫の利は狙いたい。

つまりは、


「次の目的地は魔王国だ」


会議の場で、俺はそう宣言した。

場所はハイブ本拠地、地下五層。

その場には白石、黒田、小林の三人と、メリジューヌ、今回の迷宮で新たに仲間に迎えたシリウス(瀕死だったボス魔物)が揃っている。

命名の理由? 尻が薄いから...ではなく、昔見た映画で同じように黒い犬に変身するやつがいたからだ。

といっても犬ではないから大きさは桁違いだが...


「けどさー、魔王国に攻め入ってどうすんの? 私たちはいいけど、ハルキ様は正式な勇者扱いじゃないから、名誉は手に入らないでしょ」


黒田がそう言ってくる。

実際、その通りだろう。

だが俺は構わないと思っている、何故なら。


「俺たちの目的は魔王を倒す事ではないからな」

「内側から支配する、ということ?」

「そうだ」


小林は鋭いな。

俺は漁夫の利を狙う、勇者であるあいつらは必ず魔王国へと攻め入るが、その時すでに魔王軍が俺の傘下にあるのなら、潰し合いの中に介入もできるし、強化して勇者を打ち負かすこともできる。

挫折なんてなさそうな人生のあいつらにはよく効くだろう。


「シュルルル...」

「ああ、そうだ。次もこっそりと行うぞ、少なくとも異変が外に伝わらないようにしてから、大きな攻勢に出る必要がある」


計画としては、魔王国外周部の都市を堕落させていき、事実上の包囲状態を作りたい。

そのためには地理を知る必要があるが、調べる方法がないな...


「坂本、生物との情報共有の最大範囲はわかるか?」

「基本的に制限はない...かな? 大丈夫、私が...いれば...」


自信なさげに振る舞う坂本だが、仕事モードとのギャップが面白いな。

その気になれば腹を破って生物を吐き出せる娘が...いや、

こんな視点はよくない。

俺は図に乗りすぎている。


「分かった。では坂本は、小型の鳥型ハイブを複数放って地図を作ってくれ」

「う、うん!」

「黒田は穴掘り用の屍兵の用意を、小林は引き続きハイブの生産を続けてくれ」

「分かったわ」

「了解」


今回も、ハイブの本拠地からトンネルを伸ばす形で兵を送り込む。

幸いにして蟲が中心だから、穴掘りと巣作りに関しては得意だ。

穴を掘り、巣作りの要領で補強する。

もうすでに作業を開始しておいた方がいいだろう。


「出発は一週間後、明日シーアルーンに買い出しに行ってくる」

「あたしも付き合うー」

「ああ」


旅に必要なものの他に、隊商の手配が必要だ。

シーアルーンは余剰物資を積んで前線の街へと向かう。

その際に勇者が同行して治安を回復する...という名目だ。

これをやるために、シーアルーン側と無理のない調整をしないとな。


「では、解散」

「はーい」


俺も出かける支度をするか。

立ち上がった俺は、誰かに手を掴まれた。

振り返ると、白石が俺を見ていた。

蛇のような視線だ。

俺は溜息を吐く、こいつらを辱める為に堕落させたのに、俺がそれだけはと尻込みするのは逆に失礼だ。


「後悔するなよ」

「うん」


俺は白石を連れて、最奥へと向かった。


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