060-破壊者の実力
どうやら、かなり手強い相手のようだ。
俺の出る幕じゃ無かったな...と改めて後悔する。
降りてすぐ放った弾は全て迎撃された上、肉薄しようとしたら床を崩された。
氷人形たちはそれでもめげずに杉浦へと向かっていくが、一撃で破壊される。
こいつ、流石に都市防衛に置かれるだけのスキルって訳か。
「どうした! 一人で向かってきた割には大した事ないな!」
「......」
こいつ、こんなキャラだったか?
俺は沈黙の裏でそう思っていた。
だが、かえって好都合だ。
頭脳的に戦われるとこっちが不利だ、何しろ相手は、距離や耐性を無視してこっちを破壊できるようだからな。
下手に足を止めると肉体を吹っ飛ばされるだろう。
幸いにも、白石の援護は続いていて、どこからか氷人形が湧いてきて杉浦と戦っている。
あいつ、剣なんか持ってたんだな。
俺の視点からだが、扱いも上手いと思う。
やっぱり運動部は違うな...
「死ネ」
腕先から毒の弾を放つ。
アレンジもできるっぽいが、感覚が掴めないので今回は無しだ。
移動しながら撃つ上で、照準を合わせるのが精一杯なんでな。
「っと、遠距離からなんて卑怯だぞ!」
戦いですら無い殺し合いに卑怯もクソもあるか。
得意な戦い方を選んで何が悪い。
「ソロソロ、応用ノ時間ト行クカ!」
与えられたスペックだけで戦うのは終わりだ。
俺は右腕から凝固毒を全力で連射し、あいつとの間に壁を張る。
即座に右腕を地面に突き刺し、体内で生成した腐食毒を操って杉浦の足元まで経路を伸ばして、即座に神経毒を噴出させて流し込んだ。
「おわっ!?」
かわされた!?
なんて運動神経だ。
ちっ、しょうがない。
「白石、氷人形ヲ増ヤセ。俺ヲ模倣シロ」
『ハイ、分カリマシタ』
無駄のない形状だった氷人形が、ベノムドミネーターそっくりになって襲い掛かって行く。
あれ一体作るのに5秒ほど掛けている筈だが、スキルのおかげで魔力がほぼ要らない上に呼吸も不要なので詠唱に手間がかからないようだ。
氷人形が寒さのせいか、破壊された時に氷の霧を撒き散らすお陰で、あいつは視界が効かない中での戦いを強いられている筈だ。
「正々堂々戦え! 卑怯者!」
卑怯?
そっちのスキルの方が余程卑怯だ。
お前がスキル使わずに剣で戦うなら、俺も素手で相手してやるよ。
ベノムドミネーターの姿のままでな。
「モウイイ」
俺に真っ向勝負は向いてないらしいな。
と言うわけで、白石。
頼んだ。
「遍く戦士よ、凍えて死ね。吹き下ろす風よ、全てを薙ぎ払え! 〈シバー・ブリザード〉!」
「フンッ!!」
俺の背後から、凄まじい冷風が吹き下ろす。
とはいえ、それはメインではない。
魔法の中では弱い方らしいからな。
俺は全身から毒の粒子を噴出させ、風に乗せる。
「隙あり!」
「馬鹿メ」
俺の肉体が吹き飛ぶ。
...既に捨てた肉体が。
それは凝固毒で作った残像だ!
「がっ、何...」
「勝負アッタナ」
「ひ...ょ...」
また卑怯、か。
殺し合いをしているのに卑怯も何もない筈だ。
俺は杉浦へと歩いて行き、直接触手を伸ばして奴を貫く。
「〈侵蝕堕落〉」
「.........」
流石に神経毒を喰らったら声も上げられないか。
俺はついでに中和しておく。
この神経毒はハイブであっても耐えられない。
俺でも、もし元の姿に戻った時間違って吸ったら詰みだ。
「忠誠ヲ示セ」
『ハイ』
特に勇者だからといって変わることはない。
杉浦だったものは俺を見て、静かに顔を上げる。
薄っぺらいだけの記憶しかない相手に躊躇する程俺も暇ではない。
これで俺の配下がまた一人増えたな。
初の純粋な戦闘系だ、助かる。
↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。




