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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
第二章:ハイブ拡大編

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057-仕掛けられた罠

翌朝。

勇者として歓待を受ける九人が泊まる宿にて。


「そろそろ迷宮行かね?」


黒田千尋(くろだ ちひろ)がそう切り出した。

時間は朝、皆で食卓を囲み朝食を楽しむ時間帯である。

だが、この場にいる面々は、倦んできた頃合いであった。

自分たちは迷宮の脅威に苦しんでいるという街を救いにきたのではなかったかと。

このような状態で軟禁同然に甘んじる現状を打開しなければと。


「ええ、行きましょう」

「凛…だけど、都市長の許可がないと」

「自己責任なんでしょ?」


小林凛(こばやし りん)が間髪入れずに頷くが、上野彩葉(うえの いろは)がそれに意義を唱える。

都市長が自分たちの安全を担保しているのだから、勝手に行って何かあったら都市長に迷惑がかかる、と。

だがそれに重ねるように、坂本遥香(さかもと はるか)が口出しする。


「で、でも....私のスキルなら迷宮を素早く攻略できるし、みんなを守ることだってできるし....」

「それに、私なら数日分の食糧だって持っておけるから、補給の心配も要らないでしょう?」


凜が言う。

彼女のスキルである〈無限収納(マジック・ポケット)〉があれば、数日ぶんどころか数か月分の食糧を輸送する事が出来る。

今回、彼女は着いていくうえで王室から予算を預かっており、魔物の素材を既に収納していた。

戦争で使うためである。


「ま、待ってくれよ。俺はもうちょっとこの街に居たいんだけど」

「じゃあ杉浦は留守番な」

「どうしてそうなる!」

「千尋はどうせ残るでしょ? 二人で留守の街を守って」


杉浦直人(すぎうら なおと)が反対するが、西村颯太(にしむら そうた)によって揶揄され、凜もまたそれを重くは受け止めなかった。

発起人である千尋が休むと凜が言ったが、誰もそれを否定しなかった。

彼女のスキルは〈毒姫(ベノム・プリンセス)〉であり、毒を扱えるが戦闘より暗殺や謀略向きのスキルであるからだ。


「わ....分かったよ」


杉浦は渋々頷く。

満更でもなさそうだが、千尋は彼を無視した。


『コノママ続ケルベキカ?』

『ホボ全テヲ迷宮ニ集中サセルベキダ』

『デハ、ソノヨウニ』


裏では、そのような会話が繰り広げられていた。


「ち、千尋ちゃんがいかないなら、私も.....」

「坂本はさっき来るって言っただろ?」

「だ、だよね.....」


今まで発言しなかった、この場のリーダーである中島陽向(なかじま ひなた)が言う。

先に食事を食べ終える事を優先したのだろう。

彼は陽気な性格ではあるが、同時に酷く冷酷でもあった。

会話は聞いていて、かつメンバーを頭の中で決めていた。

そのため、矛盾する発言をした遥香に釘を刺したのだ。


「メンバーは大体わかった、俺の方から都市長に相談しておく。出発するなら今日のうちに用事を済ませておくこと。準備は決まってからでいい」

「ありがとう、陽向」

「いいって事よぉ!」


凜が感謝を述べると、陽向は頭を軽くたたいて見せる。

おどけた様子に、空気が和らぐ。


「俺たちは、世界を救うために呼ばれた英雄なんだ。魔王だけじゃない、皆を救うべきだって思って行動してる。歓迎だけ受けてる訳にもいかないだろ?」

「いい事言うな!」

「やっぱり中島は違うね~」

「はぁ!? 俺が頼りないって言うのかよ!」


会話は続く。

和やかな空気。

張り詰めた様子など全くない。

その中で、三人。

彩乃、千尋、遥香だけが、冷ややかな目でそれを見ていた。


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