表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
第一章:シーアルーン陥落編

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

48/70

047-絶望の挟撃

そこからは、凄惨と言って差し支えのない戦いが繰り広げられた。

文字通り、凄惨であった。

ハイブ魔物に追い詰められていた守備隊は、背後から猛然とやってくる人間の集団に、義勇軍が援護しに来てくれたのだと錯覚した。

疲れ果て、思考能力が低下していたために気付くのが遅れたのだ。

総大将が異変に気付き、矢を射掛けさせる前に、ハイブ兵士はその真の姿を剥き出しにした。


「うわぁ!」

「化け物だ!」


それに青ざめたのは、何も守備隊だけではない。

総大将もまた、顔から血の気が失せていた。

無理もない。

化け物と化け物に挟み撃ちになっていて、逃げる場所がないのである。

加えて、化け物はシーアルーンから出てきた。

周辺に都市のないこの場所では、シーアルーンが唯一の逃げ込める場所で、多くの守備隊を連れたまま補給もなしに何十kmも行軍というのは、不可能だ。


「お前たち、死ぬ準備は出来ているか」

「と...とっくにですよ」

「仕方ねえっ、やるだけやるか」


総大将の言葉に、陣地の者たちは覚悟を決めた。

彼等は一般兵士とは異なる教育を受けている。

どんな時も躊躇わずに戦い、そして死ぬ。

魔物との戦いは過酷だ、だからこそ情や恐怖に流されていては戦えない。

しかし今回は別だ、生きて帰れる保証はない。


「せめて勇者殿だけは逃す! 王には面目ないが、王都にこいつらを連れて行く事態だけは避けるぞ!」

「応!!!」


長弓隊による矢の雨が、ハイブ兵士に向けて降り注ぐ。

だが、この近距離であっても...当たったところで彼等に効果はない。

強化された外皮が、鏃の侵入すら防いでいるのだ。


「勇者様に逃げるように促しました!」

「よし、では死ぬぞ、今すぐ死ぬぞ。だが、最後に死なねば兵が混乱する! せいぜい俺を守ってくれ!」

「応!」


七海が陣地から離れて行くのを期待した守備隊は、方陣を組んで生き残るためではなく、少しでも数を減らすために戦う。

当然、士気は低い。

だが一人逃げても、殺されるだけだ。

全員で逃げても、逃げ切れない。

それが分かっていない程頭の悪い兵士は、この場にはいない。

指揮者が居なくとも回るこの現状では、総大将の役割は士気を繋ぐことだけだった。

だが、その士気も徐々に下がって行く。


「ああ、ああ...母さんが、母さんが化け物に!」

「落ち着け!」

「俺も化け物になるのか! 俺は化け物になりたくない!」


ハイブ化した人間を見て、取り乱す者が多数。

それを狙ってか、多くが人の姿へと擬態し直して行く。

逆側では、ハイブ魔物と決死の戦闘が繰り広げられているものの、ハイブ兵士側が瓦解した事でその頑張りも無駄となった。

方陣が決壊し、雪崩れ込んだハイブ兵士が擬態を解いて脆弱な人間の身体をまるで弄ぶように切り裂き、食い千切り、引き裂いた。

悲鳴と断末魔、怒号と嗚咽だけが数分間続いた。


「サテ」


それが収まった頃、人間だったモノを踏み付け、ベノムドミネーターが現れた。

都市以外の全員を不要とした以上、ハイブ生物達に容赦は無かった。

人間は全員が殺され、食べやすいように徹底的に破壊された後だった。

その光景に吐き気を覚えつつ、吐けないことを不思議に思いながら、彼は右手を翳す。

いまだに前方で戦い続ける少女を見据えて。

その周囲で、凍りついて動かないハイブ生物に視線を移し。


「...俺ガ抑エル、手ヲ出スナ」


一歩踏み出した。


↓小説家になろう 勝手にランキング投票お願いします。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ