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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
第一章:シーアルーン陥落編

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035-侵攻準備

数日後。

俺はこの周辺の村を次々と制圧し、全て傘下に置いた。

この辺には小さな集落が複数あり、それらを全て抑えた。

魔物のせいにして、適当に一つか二つを潰して迷宮に持ち帰る予定だ。


「そろそろ、行くか」


この村からは見えないが、俺の視線の先にシーアルーンがある。

俺がこの数日間やっていた事は、地盤固めだ。

まず、一般人が通過しても問題ない程のアリバイ作り。

情報を集めて、正体を看破する系統のスキルや道具がないかも調べた。

その結果、とても希少でこんな所に来る騎士が持っているものではないと分かったのでこれは一度放置する。


「順調だな」


俺は井戸を覗き込んで笑う。

この村の地下には既に、蟲の巣が作られている。

水脈に沿って移動ルートも作られていて、水は汚染されていて飲めなくなっている。

それじゃ俺が困るので、水を浄化する機能を持つハイブ生物を生み出した。

時間はかかるが水筒一杯くらいなら賄える。


「大型のハイブ生物も入ってこられるようになったからな...」

「旅の方、メリジーヌ様がお呼びです」

「すぐに行く」


俺は村人に呼ばれ、村の中心部にある聖堂跡へと向かう。

かつては名もなき神を崇め奉っていたこの聖堂も、今は地下へと続く入り口である。

といっても、あんまり広く空洞を作ると地盤が脆くなるので、入り口というか穴だ。


「メリジューヌ、どうした」

「シュルルル...」

「そうか、抜けないか...」


都市の周囲の岩盤を抜くには、時間が掛かるらしい。

アレほど大きな都市なら、もしかすると水道があるのではないかと思い、地下からの侵攻を企てたが、上手くいかないもんだな。


「どれくらいかかる」

「シュル...シュルル」

「190時間...8日くらいか、分かった。やってくれ」

「シュルルル」


メリジューヌは肯定の意思を示すと、身をくねらせて地下道を通っていく。

俺はそれを見届けてから、地上に上がる。

普段通りに動く村は、俺の存在を気に留めない。

ただし、俺が話しかければまるで何年も親しかったかのように応じる。

それが、堕落の副産物なのだ。


「今日の昼は軽くしてくれ」

「承知しました、旅の方」


俺は間借りしている家へと戻る。

旅の人間が、村長の家に泊まったりするのは不自然だからな。

外から見て不自然にならないように、俺も振る舞う。

全てはシーアルーンを奪い、あいつらへの復讐を敢行するまでは。

そして。

溢れる激情を一度にぶつけて、生きる気力まで失わないように、ゆっくり、ゆっくりと進めていく。


『ハイブ全体ニ告グ、俺ハ明朝、攻略目標ヘ旅立ツ。侵攻ノ準備ヲ始メヨ』


俺は〈堕落〉して指示を出す。

ネットワークを通じて、ハイブ全体が動き出す。

こいつら自体は人間との交戦は初めてだが、だからこそ、だ。

俺とあいつらの実力差、ハイブ生物と人類の実力差がわからないなら、全力の交戦は一度だけ、たった一度だけで全てを決するのが一番のはずだ。

人間は対策を組む知能があるからこそ、動物達との領土争いに勝ってきたはずだしな。


『交戦ハ回避セヨ、メリジューヌノ指示ニ従エ』


末端が勝手に戦い始めるとまずい。

釘は打っておこう。


「よし」


俺は額の汗を袖で拭う。

交易商と一緒にシーアルーンへと向かい、そこで潜入しつつ情報を集める。

そういう手筈で行く。

ハイブ側の動きも、既にメリジューヌに手配済みだ。

ハイブ化と同時に進化していった彼女は、今はもう人間でいうところの中学生くらいの知能がある。

脳が三つあるので、優等生が三人分だ。

多分、俺より賢いんじゃないかね...


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