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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
第一章:シーアルーン陥落編

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033-旅風情?

二日後。

俺は幌馬車の中で、恐ろしいほどの振動に襲われていた。

歯がぶつかって鳴るほどの揺れだ。


「旅の方、大丈夫ですかい? 馬車に乗るのは初めてで?」

「構わ、ない。このまま、行け」

「へい」


これにもそのうち慣れる。

そんな事よりも、商品を傷つけないようにしなければ。

こいつらが破産すると、もう潜在ハイブとしては使えなくなる。

まあ、そうならないように模倣しつつ動くだろうが...


「この辺、の...村には、なぜ交易に?」

「ああ、そりゃ細々とですけど需要はあるもんでさあ」

「そう、なのか」


俺が揺れで喋りづらいのに対して、商人は澱みない。

これが慣れというやつなんだろうな。

そして会話が続かない。

力を手にしても、別に経験が得られるわけでは無いし、自信が湧いて来るものでも無い。

それでも他にやる事もない、本体への情報共有以外で話を進めよう。


「今日、は...野営、か?」

「へい、明日になれば村に着くんですが...っとお!」


馬車が何かに乗り上げたらしく、初めて商人の話し方が乱れた。

俺も舌を噛んだ。


「野営か...水はどうしてるんだ?」

もう(・・)要らんでしょうが...普段は小川があるんで、そこから汲んどりますね」

「なるほど」


この中で水が要るのはいまだに人間の俺だけだ。

だが一応、商人たちは普通に四人分作るつもりでいるらしい。

職務に忠実過ぎて、ただの学生の俺がこいつらをまとめ上げられるのか少し不安になって来る。

...いや、その結果を掴み取ったのは俺だ。

例えどんなに悪い結果となったとしても、結果を生み出し続けていく。


「暗、くなってき、たな...この辺、では魔物、は?」

「出ますが、奥で休んでるやつが倒してくれるんでさ」

「ああ、なる、ほど」


商品を売ってる時も出てこないと思ったら、護衛だったのか。

別に勇者なしでもやって行けるんじゃないか?

そう思ったのだが、


「この辺の出身でさ、安くやっとくれてるだけなんで...普通なら金貨を毎日10は払わんと雇えませんで」


そうか。

つまり絶対数が少ないと。

全体的に希少だからこそ、高い金を支払わないと雇えないというわけか。

俺は外を見る。

差し込んでくる光がなくなり、馬車の中が暗くなる。


「そろ、そろ...野営か?」

「もう少し進んでからですなあ、ここじゃ馬車を隠せないんで」


確かに、後ろに広がる景色は草原だ。

まだ進むという訳か。


「それに、暗くなれば何をしても大丈夫でしょ?」

「.....そうか」


本当に危なくなれば本性を剥き出して敵を殲滅するという訳か。

出発前に確認したが、御者台に立っているのが重戦術型、奥にいるのが軽戦型、俺の隣で喋ってるのが斥候型だ。

良いバランスだな。

この分類は「俺」のものだが、よくまとめたと思う。

主にさっきから喋ってるのが斥候型なのも、こいつらの中で一番コミュニケーションに長け、人類の中に潜伏する事がうまいからだ。


「意外といけるな」

「でしょう? 決め手は豆でさぁ、一緒に煮込むと味わい深くなるんです」


そして夜。

俺は野営を始めた三人に混じって夕食を食べる。

質素なものだが、食えるだけありがたい。

特に、堂々と食えるのがいい。

俺はこの糧を受け取ってもいいのだと思えるのがいい。

どっちにしろ彼等は演じるために食っているわけで、生きていくためにこれが必要なのは俺だけだ。

スープにたっぷり浸したパンを食べながら、俺はそんな事を考えていた。


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