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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
第一章:シーアルーン陥落編

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032-外部侵蝕

村で過ごして三日目。

昼食を食べていた俺の元に、リサが入って来る。

彼女はこの村で薬師をしているようで、唯一の医療従事者でもある。


「旅の方、交易商が来ましたわ」

「...分かった、すぐ表に出る」

「ああ、急がなくて大丈夫です、まだ見張りが馬車を見ただけですから」

「助かる」


普通の会話のように思えるが、あくまでハイブ生物の擬態に過ぎない。

俺が人間の姿の時は人間を装えと命令してある。

その証拠に、


「旅の方、食事が終わったら...私と、その...」

「お前たちにその役割を期待していない、黙れ」

「...はい」


やたらと生殖を強調して来る。

願望のIFの俺は、ハイブ生物のボスとしてハイブの生物に遺伝子を注入して卵を作らせていた。

その影響か、ハイブに堕落した生物は雌雄に関係なく俺と生殖したいと思うようだ。

俺もハイブ流のやり方がどうやってやるかは分かっているが、そもそもそんな事をして何になる。

次の世代を残すより、まずは俺にはやる事がある。

絶対数を増やすなら、生物同士で繁殖させた方が効率がいいからな。

今はとにかく数が要る。


「さて、行くか」


どうやら交易商が村に入ってきたようだ。

ハイブ生物たちも既に包囲を完成しているようだ。


「.........〈堕落(フォールンダウン)〉」


俺は姿を変え、村の表へと出る。

そこでは村長が、時間稼ぎをしていた。

気付かれる前に俺は跳躍し、馬車の上から仕掛けに掛かる。


「な...」


気付いたか。

大した動体視力だ。

その瞬間、俺は全身から毒を噴射する。

殺すための毒じゃない、全身麻痺の神経毒だ。

傍目には毒の爆発に見えるだろう、ハイブ生物が離れて行くのが見える。

奴等の耐性でも、この毒は防げない。


「あ...」

「が...」

〈侵蝕堕落(フォールンダウン)〉」


一瞬で俺は「根」を伸ばす。

距離さえ足りていれば、遮蔽物は関係が無い。

馬車の中に二人、御者台に一人。

そいつらを、俺は堕落させる。


『忠義ヲ示セ』

『ハイ』

『ハイ』

『ハイ』


成功か。

俺は頷く。

途端、村のあちこちから人間たちが集まって来る。

俺は素早く全身から中和用の毒をばら撒いて、被害が出ないようにする。

まあ、ハイブになった時点で神経毒くらいでは死なないようだがな。


『以降ハ俺ノ姿ニ合ワセ、擬態ヲ切リ換エロ』

『ハイ』

「よし、では交易を開始しろ」

「おう、分かっとる!」


とりあえず、交易は続けさせる。

経済はいつも通りに回り、そして同じように利益を出す。

その間に俺という居候が加わるというだけで、中身は違えどその役回りは変わらない。

それが「アボミネーション・ハイブ」のハイブ人型兵の特徴だ。

人に紛れ、いつでも発芽して周囲を殲滅する。

それにこいつら、スキルを持っている。

勇者ほど強力では無さそうだが、リサなら調薬というスキルがあり、村長なら折衝というスキルがある。

職を選べ無さそうだが、そもそもその概念はこの世界には無さそうだ。


「...俺は戻るから、後はよしなに」

「明日まで居るから、急がんでいいぞ、旅の方!」


そういえば昼飯が途中だった。

あんまり美味いものでもない、完全に冷める前に食い切ろう。


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