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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
序章

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028-ファーストステップ

二週間後。

俺は第七層にいた。

何でかというと、ここが一番人間の姿の時の居住性が高いからだ。

一週間かけて全ての層を巣へと変えた蟲達は、外に誰もいないことを報告してきた。

つまりは、俺が外に出る時だ。

全ての層にもう危険はない。

ハイブの苗床になったか、もしくはハイブの支配下に置かれた。


「.........」


俺は蟲柱で修復された階段を登り、第六層へ。

回廊を通って、メリュジーヌが見送りに来ていた。

彼女は女王個体のようで、他に二匹似た個体を仲間に加えている。


『オ前達ハ、ココニ残レ』


俺の命令に、三匹は賛同した。

普通部下なら引き留めるべきだとは思うが、この姿の俺の強さを分かっているのだろう。


『拡大セヨ、人間ニ見ツカル前ニ、防備ヲ固メヨ』


俺はハイブ全体に命じる。

そして、第五層への階段を登り始める。

第五層へと辿り着くと、そこは暗闇の領域だった。

本来の灯りを巣が覆い尽くした結果だろう。

暗視能力を持つ俺なら問題は無い。


「.........」


ここは唯一、この世界で悪く無い思い出のあった場所だが。

それももう色褪せた。

あの時手を伸ばしてもくれなかった奴の優しさや慈悲など、信じるに値しない。


「モウ第四層カ」


何日もかけて横断したように思えるが、やはり脅威の存在が大きいか。

第四層は別に特筆することのない空間だが、地下水が豊富な場所だ。

いくつかの水源から水を得ることができて、この二週間で優先して確保したい場所だった。

今は幼生体どもの水飲み場と化している。


「ユックリ育テヨ」


声をかけて、上へと向かう。

あいつらが大きくなれば、より強い個体となる。

その個体が繁殖すればさらに強くなる。

今でさえ数百匹で魔物を圧倒するくらいだ、いずれは数十、数匹で圧倒できるようになる。

俺は第三層へと向かう。

ここは戦闘個体の休眠場所になっているようだ。

メリュジーヌ達はハイブ化により知能を大幅に引き上げたようで、命令するだけでたちまちこういうものを作り上げた。

薄いピンクの膜の中で眠る蟲供を見た俺は、早々にこの層を立ち去った。

特に語るべき事のない二層を通過し、一層へと出た。


「ヨウヤク、カ...」


ここは平和なので、あっという間に巣に飲み込まれた。

ハイブの新しく生まれた生物達にとっては、下層は人口密集地だ。

隣人トラブルの起きやすい土地に家を建てるリスクより、外に巣を作った方がいい。

古くて強い個体ほど奥に巣を持ち、新しく不安定な世代は外へ拡大していく。

どういう経緯で俺がベノムドミネーターと化したかまではわからないが、こんな生物がこの世界にいるのだろうか?

だとしたら、人類はかなり脅かされているな。

興味は無いが。

ベノムドミネーターの姿を解除して、俺は陽の光の下に出る。

何もかもを撤収した後のようで、本当に何も無いし誰も居ない。

だがかえって好都合だ。

俺は夜を待つ。

太陽の暖かさや風を楽しんでいると、時間はあっという間に過ぎ去っていく。

そろそろ行くか。


「...〈堕落(フォールンダウン)〉」


俺はベノムドミネーターの姿をとり、集落へ向けて駆け出した。


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