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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
序章

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025-すべてが変わった朝

不思議な夢を見ていた気がした。

どこかの、誰かの声がした、そんな気がする。


「ってぇ......」


痛みは無いのだが、痛みを感じて目を開ける。

――――目の前に、化け物がいた。


「っ!」


慌てて起き上がったが、様子が変だ。

というよりも....これは、俺の方が変なのか。

俺はこいつを、知っている。

知っているというか、そう....昔から知っている近所の猫のような感覚だ。

こいつが何をするのか、こいつがどういう生き物なのか、それが分かるような気がした。


「おい、お前......」


俺がそう言うと、そのバケモノは暗闇から姿を完全に現した。

デカい蛇、コブラのような奴だ。

左右に普通の少し小さな蛇の頭がついている。

本体から伸びている、触手のようなもので俺を捕まえたらしい。

危機感を感じないのは、こいつは絶対俺を襲わないという確信が何故かあるからだ。


「シュルル」

「これは.....」


俺は目の前にあるものを見た。

死んだ魔物? だ。

意図が分からない。


「いや.....そうか。〈堕落(フォールンダウン)〉」


俺は姿を変じて、先ほどの姿――――ベノムドミネーターへと変わった。

これは願望の中の俺の記憶にあった自称だ。


「――――飯、カ」

「シュルル....」


目が強化されて、暗闇が見えるようになった俺は戦慄した。

暗闇の部分、俺から見えないようになっていた部分に、あの白い虫が無数に整列していた。

少しおかしくもあるが、どうやらこいつらはこの目の前にいる魔物の配下らしい。

餌を喰らって雌雄同体で数を増やし、育った個体は同じネットワーク内に入る。

第六層の下はこうなっていたらしい。

落ちてきたやつは全員魔物の餌か。


「コノママデハ、食エルカ....イヤ」


この身体なら食える気がする。

俺は腕を伸ばし、そこから無数の触手を突き出させた。


「コンナ事マデ.....」


ついさっきまでの非力さはどこへやら。

俺は獣の死体を力づくで解体して、肉を食べる。

生で全く美味しくないが、こいつが持ってきてくれたのなら有難く頂くことにする。

ベノムドミネーターの姿である限り、大抵の毒は大丈夫だ。

何しろこの姿自身が毒を幾つも扱えるようだからな。


「散レ」


俺はそう命じた。

虫たちが一斉に散っていく。

ん? これ、腕の触手はどうやって仕舞うんだ?

まあいいか......


「コノ辺ハ全テオ前タチノ巣ナノカ?」

「シュルルル」


肯定の意思が返ってきた。

なるほど、じゃあ六層のボスはこいつなのか。


「他ノ階層ニイル魔物ハ、アノ虫共ニ勝テル強サカ?」

「シュルル」


結構強いと。

じゃあ、戻るか.......

あいつらに.....

いや。

どうして、あいつらに、この――――得た力で、いいところを見せてやらないといけない?

俺は......殺されかけた。

どうせ感謝もしてない筈だ。

虫の地獄の中で、俺は........俺の中で、きっと何かが変わった。

復讐だ。

誰に対してとか、何かに対してとかじゃない。

強いて言うならば、自分の過去に対する復讐をしたい。

――――ただ、それだけだ。

そこに正義も、理想も、美学も、正当性もない。

この力で、俺は世界に対して復讐(全員不幸にしてやる)を実行する。


「そのためにもまずは、後を追わないとな」


あいつらがどうなったにせよ、まずは外に出なければいけない。

俺は上を見た。

どうやって上がるか.....


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