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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
序章

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002-異世界召喚

「おお!」

「成功だ!」


どうやら居眠りしていたらしい。

周囲の状況は大きく変化しているようだ。

そう認識した脳味噌が覚醒して、俺は眼を開く。

そこは、どこかの建物の中に見えた。

冷たい床に、一定間隔で置かれた篝火。

知らない人間が、俺の前に立っている。


「うわっ!?」


唐突に、俺のものじゃない声が響く。

とはいえ、聞きなれた声だ。

振り返ると、クラスの皆もそこにいた。

何だこれ?

ファンタジー無双モノに染まった右脳は「これは異世界召喚だ」と言い、冷静にいようとする左脳は「これは集団誘拐に違いない」と言う。

俺が混乱で動けない中、すぐに動いたのは、


「ここはどこですか? そして、あなた達は誰ですか?」


小林凛(こばやし りん)、典型的な学級委員長。

素早く状況を把握して、恐れずに問う。

それは俺には絶対出来ない事だった。


「わ、我々は....」

「それは、私がご説明しましょう」


その時、反対側から声が聞こえた。

反対側には扉があったらしく、そこから入ってきた人物が発言したのだ。

老人、に見える。

だけど、ただものじゃない風格を持っていた。


「勇者様、異なる世界へようこそ。私の名はテレン・スケイア、この国で筆頭魔法使いを指名されています。.....単刀直入に言えば、あなた方をここにお招きしたのは、あなた方に魔王を倒していただきたいからに他ならないのです」

「マオウ?」

「おい、嘘だろ?」


困惑の声が広がる。

とはいえ、それを不安に思っているのは少ないようだ。

何でそう楽しめるんだ?

家に帰りたい。

ポケットを探るとスマホがあったが、圏外で電池も少ない。

電池が切れそうなのは古いモデルだからだろうな.....


「ま、待って――――」

「まずは警察に連絡させてください、それから家に連絡を」

「連絡を取る手段をお持ちなのですか!? であれば、異界より軍隊を....」

「あの....」


俺の声はそこから始まった暫くの言い合いにかき消されてしまった。

「家に帰る事は出来ますか」、そう聞きたかっただけなのだが。

流石にカーストを無視して声を上げるなんてことは出来ない。


「すげえ、マジで異世界なのかよ!」

「はしゃぐな、ユウト!」

「そうだよ、帰れるかも分かんないんだから!」


そして、俺たちは外へ出た。

狭くて湿っぽい最初の部屋から長い通路を抜けて、外へと出た瞬間に日差しが目に飛び込んで来て、失明するかと思った。

周囲は見渡す限りの草原で、遠くに巨大な山がいくつも見える。

確実に日本ではないな、富士山クラスの大きさだぞ、あれは。

少なくともこの場にいる全員ではないにせよ、その殆どが事実と共に把握したことだろう。

これは――――異世界召喚だと。


「勇者の皆様方には、これより適性検査を受けて頂きます。そのため、森を抜けますが....多少、危険もございます。ご注意を」

「分かりました」


何がどう分かったのか俺には分からない。

列をなして森を抜ける間、俺は見たことも無いデカイ鳥が木々の間を飛ぶのを見た。

当然、殿(しんがり)だ。

フフフハハ、男の役目だ、こういうのは。

...悲しくなんかない。


「こちらの建物になります」

「立派な建物.....」

「ローマの神殿みたいだな」

「ご明察です、こちらは光の神テス・ノクリカ様を祀る神殿となっております」


神殿と呼ばれた建物に入っていくと、中は暗かった。

唯一の光源は、天井の採光窓から差し込む光に照らされた水晶だけだ。

神秘感の演出、凝ってるな....。


「一人ずつお並びになってお待ちください」


そう言われたので、皆が並ぶ。

自然に出席番号順になり、出席番号18番の俺は真ん中あたりとなった。

何をするんだろうか?

そう思っていると、テレンと自称した男が前に進み出る。


「あなた方には世界を渡る際に、特別な「能力(スキル)」を授けられています。しかし、それは確認しなければ分かりません。それ故に、この装置を使って調べます」

「スキル!?」

「すげえ、ブラックラックみたいなヤツか!」


BLACK-CLACKという流行りのゲームを持ち出す陽キャども。

俺は面白さを感じなかったので、プレイしていない。

話が合わず、彼等と話すためにやってみたが、やはり面白さが微塵も理解できなかった。

しかし、スキルか....

いいスキルを引けたら、俺も一目置かれるか?

あいつらと対等に話せないだろうか?

そんな淡い期待を抱きつつ、俺は順番を待った。


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