015-野営
野営と聞いて思い浮かぶのは、何だろうか。
やはり、キャンプか?
とはいえここは現実、閉所で火を焚いていいはずもなく、俺が持ってきた天幕の中で休む組と、見張り組、その中間に分かれている。
まあ内訳は天幕18人、見張り20人、中間は俺1人だ。
元々とさっきの事で居場所がないので、イォルドの手下の騎士から受け取った糧食を齧りながら休む。
浅倉あたりが起きていれば〈聖域展開〉を使って休んでいる最中の皆を強化できそうだが、女子を先に休ませる判断をしたのはイォルドだ。
もし何かが起きた時、彼女が疲れていたら、何にもならないからだ。
空気は流石に読んだのか、天幕は静かだった。
「.......」
俺はこれまで通ってきた道を見ながら、餅みたいな糧食を齧る。
何でこんなに外れた場所にいるかというと、そりゃ当然中央に居たら白い目で見られるからに決まっている。
俺は好きで詰られているわけでもないし、あいつらが俺を普通に扱うための努力なんて無駄な事に力を注ぎたくない。
誤解は解くより薄れるのを待った方がいい。
......美味いなこれ。
餅は餅なんだが、かかっている調味料が美味かった。
これから、こういう戦いを続けていくんだろうな。
でもあいつらはきっと楽なはずだ。
あいつらには強いスキルがあって、俺みたいに疲労困憊になりながら戦う必要はない。
理不尽だと思うのはやめにした、俺だってスキルが強かったら、弱い奴を蔑ろにしていたかもしれないから。
「.........」
疲れているはずなのに眠くない。
徹夜だと割とあるよな、疲れて眠いはずなのに数時間作業していると眠くなくなってくる。
だが、一応引き受けた見張りという役割上はむしろ好都合だ。
イォルドはやっぱりというか、そりゃ当然なのだが、俺の事をあまりよく見てはいない。
向こうからしたら、俺は強い奴らに寄生するゴミ虫なんだろう。
今さら後悔が湧いてきた、こんな思いするくらいならテレンについて行って、文官とやらになった方がよかったかもしれない。
そっちの方がいくらか、理不尽ではなかっただろう。
「おい」
「....ん?」
その時、後ろから声が掛かる。
振り向くと、騎士が一人が立っていた。
「イォルド様がお呼びだ、交代の時間でもある」
「ありがとう」
俺は感謝を述べたが、返ってきたのは顰めっ面と暴言だった。
「...寄生虫め」
「........」
「....悪かった、すまない」
構わねえよ。
俺は立ち上がり、腰が痛むのを我慢しつつ騎士を無視して陣営の中心部へと向かう。
結局、エリートって言ったってガラの悪い奴ばっかりだ。
いや、きっと日本人が優しすぎるだけだろうな。
そして俺は、その優しすぎる日本人にすら見放されていた。
それを悲観はしない。
ただ、自分から動かなければ、いつの間にか排斥されるなんて。
何故人間はこうもアレなんだろうな。
その日はよく眠れなかったが、疲れは取れたような気がした。
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