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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
序章

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014-邪魔者

魔物に飛び掛かった俺だが、そいつは意外に大きかった。

だけど俺だって、伊達に頑張ってるわけじゃない。

魔物の足を殴って、とにかく俺に意識を向けさせる。

おかげで、魔物は咥えていた女子を離した。

キャッチする余裕はこっちにないので、伊藤に何とかしてもらおう。


「ぎゃっ!」

「っ、ぼ、僕が相手だっ!」


俺は足を掴んだまま、魔物の注意を引き続ける。

こうしてりゃ、誰か倒してくれるだろ。

そう思っていたが。

誰も。

誰も――――手を出さない。

視界の端で、先ほど魔物が離した女子に皆が集まっているのが見えた。

思い出した、藤原だ。

くそ、そんなに藤原が大事....いや、大事か。

俺は魔物に掴まったまま、必死で耐える。

もういいや、どっちにせよ、俺には誰も興味がないって事だろ。

ここで死ぬのも構わ――――


「悪い!」


次の瞬間、魔物の動きが止まった。

顔を上げると、首が飛んでいた。

内田の仕業らしい。


「.......ありがとう」

「ああ!」


俺が感謝すると、内田は興味なさげに視線を逸らして前へと戻って行った。

魔物の死体の横で、俺は立ち尽くす。

別に、歓声を期待していたわけでも、労いの言葉が欲しかったわけでもない。

ただ沈黙があればいいと思っていた。


「.........痛かったんですけど!」

「佐藤、謝れ!」


背後から声が飛んできた。

同時に、視線が俺に向けられる。


「謝って」

「謝った方がいい」


名前も覚えていない女子に詰められ、言葉に窮した俺を森下が追い詰める。

何でだよ。

なんでなんだよ。

もっと酷い事になる前に、助けようと思っただけなのに。


「佐藤、謝った方がいい。悪い事は言わない――――」

「ごめん!」


俺は謝って、頭を下げる。

内心は想像しないで欲しい。

いや、頭を下げることは何でも無かった。

ただ、ただ――――

いや、こんな事を論じても、仕方がないんだ。

俺はそのまま踵を返して、荷物を背負った。


「何あいつ」

「キッショ」

「そんなに謝りたくないんだ」

「犯罪者だろ!」

「大丈夫だから、藤原さん。行こ」


色んな囁きを耳に入れないようにして、俺は荷物を背負い終わる。

そして、列が動き出すのを待った。


「後列、怪我はないか!」

「大丈夫です!」


伊藤が叫ぶ声が聞こえる。

俺は腕が痛いが、怪我しているわけではないので黙る。


「では、進軍を再開する!」

「はい!」


イォルドの声が返ってきて、伊藤がそれに大声で返していた。

すぐに皆が立ち上がって、剣やら鎧やらの音が響き渡る。

俺はそれを聞いて、距離を取りながらその後を追った。

そして、そこからは順調だった。

列はほとんど止まらず、そして藤原は伊藤の傍にずっと居た。

誰も振り返らなかったので、俺は気楽だった。

三層に降りた後も、それは変わらない。

とはいえ、俺たちは数週間前は学生だった。

結局、四層手前で皆の疲労がピークに達したので、イォルドが野営を命じた。

それに反対する人はいなかったし、居たとしても....いや、ないか。

クラス全体のノリに同調できない人間は、この中では生きていけないのだから。


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