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クラスごと異世界転移した俺のハズレスキル『堕落』、実は最強の能力だった。すべてを奪われた俺は、ありえた自分となって復讐する  作者: 黴男
第二章:ハイブ拡大編

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099-正しい世界

ベノムドミネーターへと戻った俺は、魔王城へと歩き出した。

最早この都市に残る住民はただの生き餌以上の価値を持たず、戦える魔族は、追う側から追われる側になった。

俺はゆったりと魔王城へ続く石畳を歩く。

既に城の内部には小型ハイブ兵が侵入しているはずだ。


「無様ダナ」


俺は入り口に倒れている魔族の兵士を見下ろした。

既に死んでいて、目のあった場所に穴が開いている。

既に中で小型ハイブ兵...つまり虫が、餌の塊である魔族を食い荒らしているのだ。


「フフハハ...」


軽く笑って、俺は城内へと入り込む。

普通なら、近衛兵が俺を取り囲むはずだが、とっくに苗床か餌だろう。

不気味なほどに静かだ。

俺が地下で遊んでいる間に、城もだいぶ制圧が進んだと見える。


「(迷いそうだ)」


俺は溜息を吐く。

魔王城の構造なんて頭に入れてないからな。

それにしても、長い戦いだった。

魔王を堕落させる計画を思いついてから、実に一か月程度掛かった。


「(一国を落とすにしては、短すぎるけどな)」


王国だって、十三年掛かっても落とせていないのだからな。

一か月で落とせればいい方だ。

魔王の強さによっては、ここから数か月かかるかもしれないしな。


「ン?」


俺は足を止める。

廊下の先に、誰か立っていることに気付いたからだ。

薄暗くてよく見えないが、女だな。


「────勇者よ、敢えて言いましょう。このベルメリア・アンディスがここから先には通さない、と」

「フフフ....ハハハ.....フハハハハハ!!」


俺は笑う。

ずっとやりたかった笑い方だ。

すごい、俺は凄い。

誰かの上に立てて、こんなに余裕を見せることができる。

胸の中が晴れていく。


「な、何を────」

「〈侵蝕堕落(フォールンダウン)〉────貴様ナド、相手ニモナラン」

「あがっ、ぎゃああああああああ────!?」


この距離なら、彼女にとっての射程であるように、俺にとっての根の射程だ。

ハイブに書き換えた彼女に、俺は命じる。


「魔王ノ部屋マデ案内シロ」

「....ハイ」


そういえば、こいつはリュドミラの親族か?

苗字が同じだったしな、殺さなくてよかったかもしれない。


「静カナ物ダ」

「ハイ、城内の戦闘要員はほぼ全て全滅していまス」


二階、三階と俺は階段を上がっていく。

そして、侵入者を阻むように離された階段を目指し、回廊を歩く。

それを二度繰り返して、俺は七階へと辿り着いた。

目の前には大仰な扉が見える。


「オ前ハココニ残レ」

「ハイ」


俺はベルメリアを扉の前に残して、腐食毒で扉を溶かして開けた。

その先に何が待つとも知らないが、ただ気楽に中へと入り込んだ。

予想していた奇襲はやはりあった。

近衛兵が溶けた扉の左右にいたので、触手を伸ばしてさっくり殺した。

扉の先はそこそこ長い廊下になっているようだ。

差し詰め、ここで不届き者を奇襲で始末するためだろうが、ベノムドミネーターである今の俺には通用しない。

俺は堂々と歩き出した。

この先にいるのは王だ、地球の頃の俺なら、天地がひっくり返っても会えない相手だ。

同時に、槍が降るほどの奇跡を積み重ねなければ、その王冠を引き摺り下ろすこともできないだろう。

だが今は違う。

俺は魔王と会い、その玉座から永遠に引き摺り落とすことができる。

素晴らしい。

これが俺の望んでいた、正しい世界なんだ!

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